Oracle Solaris Trusted Extensions 管理の手順

Procedureラベル付きゾーンからファイルに再ラベル付けできるようにする

ユーザーがファイルに再ラベル付けできるようにする場合、この手順が前提条件となります。

始める前に

大域ゾーンでセキュリティー管理者役割になります。

  1. 構成を変更するゾーンを停止します。


    # zoneadm -z zone-name halt
  2. 再ラベル付けできるようにゾーンを構成します。

    ゾーンに適切な特権を追加します。ウィンドウ特権により、ユーザーはドラッグ&ドロップ操作と、カット&ペースト操作を使うことができます。

    • ダウングレードを可能にするには、ゾーンに file_downgrade_sl 特権を追加します。


      # zonecfg -z zone-name
       set limitpriv=default,win_dac_read,win_mac_read,win_dac_write,
       win_mac_write,win_selection,file_downgrade_sl
       exit
    • アップグレードを可能にするには、ゾーンに sys_trans_label および file_upgrade_sl 特権を追加します。


      # zonecfg -z zone-name
       set limitpriv=default,win_dac_read,win_mac_read,win_dac_write,
       win_mac_write,win_selection,sys_trans_label,file_upgrade_sl
       exit
    • アップグレードとダウングレードの両方を可能にするには、ゾーンに 3 つの特権をすべて追加します。


      # zonecfg -z zone-name
       set limitpriv=default,win_dac_read,win_mac_read,win_dac_write,
       win_mac_write,win_selection,sys_trans_label,file_downgrade_sl,
       file_upgrade_sl
       exit
  3. ゾーンを再起動します。


    # zoneadm -z zone-name boot

    再ラベル付けを許可するユーザーおよびプロセスの要件については、setflabel(3TSOL) のマニュアルページを参照してください。ユーザーによるファイルの再ラベル付けを承認する方法については、「ユーザーによるデータのセキュリティーレベルの変更を有効にする」を参照してください。


例 10–6 internal ゾーンからのアップグレードを可能にする

この例でセキュリティー管理者は、このシステム上の承認ユーザーがファイルをアップグレードできるようにします。ユーザーによる情報のアップグレードを可能にすることで、管理者はさらに高いセキュリティーレベルでユーザーが情報を保護できるようにします。大域ゾーンで、管理者は次のゾーン管理コマンドを実行します。


# zoneadm -z internal halt
# zonecfg -z internal
 set limitpriv=default,sys_trans_label,file_upgrade_sl
 exit
# zoneadm -z internal boot

これで、承認ユーザーは internal 情報を internal ゾーンから restricted にアップグレードできます。



例 10–7 restricted ゾーンからのダウングレードを可能にする

この例でセキュリティー管理者は、このシステム上の承認ユーザーがファイルをダウングレードできるようにします。管理者がゾーンにウィンドウ特権を追加しないため、承認ユーザーはファイルマネージャーを使用してファイルに再ラベル付けはできません。ファイルを再ラベル付けする場合、ユーザーは setlabel コマンドを使用します。

ユーザーによる情報のダウングレードを可能にすることにより、管理者はセキュリティーの下位のユーザーがファイルにアクセスできるようにします。大域ゾーンで、管理者は次のゾーン管理コマンドを実行します。


# zoneadm -z restricted halt
# zonecfg -z restricted
 set limitpriv=default,file_downgrade_sl
 exit
# zoneadm -z restricted boot

これで、承認ユーザーは setlabel コマンドを使用して、restricted 情報を restricted ゾーンから internal または public にダウングレードできます。