情報ラベル、機密ラベル、または認可上限のセクションに記述した語句のうち、それまでにエンコーデングファイルに指定したいくつかの語句のビットをすべて含んでいるコンパートメントビットやマーキングビットを指定したものを、「エイリアス」と呼びます。エイリアスのもっとも単純な例は、それまでに指定した語句のコンパートメントビットとマーキングビットの指定とそっくり同じ指定を持つ語句です。エイリアスによって、それまで定義した語句にさらに名前が追加されます。付録 B 「説明付きのエンコーディングサンプル」に示す語句 WARNING は、語句 WNINTEL のエイリアスです。語句に 2 つ以上の名前を関連付ける場合は、入力名 (inname=) を使用するのがよいでしょう。第 4 章「情報ラベルのエンコーディング」の 「キーワード iname=」を参照してください。
さらに複雑なエイリアスは、それまでに指定した複数の語句に指定したビットを含んでいるコンパートメントビットやマーキングビットを持つ語句です。付録 B 「説明付きのエンコーディングサンプル」に示す SYSHI という語句がこれに相当します。SYSHI を入力することは、付録 B 「説明付きのエンコーディングサンプル」に示す CC SB bravo1 bravo3 SA alpha1 project X/project Y LIMDIS ORCON org x/org Y D/E all eyes NOFORN を指定するのに相当します。
エイリアスは、ラベルを入力したり追加したりする際に使用できます。たとえば、+alias と入力すると、既存のラベルにエイリアスを追加できます。しかし、ラベルから語句を削除するためにエイリアスを使用することはできません。たとえば、-alias と入力して、既存のラベルからエイリアスを削除することはできません。また、エイリアスとエイリアスに指定されている語句に、同じ flag= 指定がなされていると、エイリアスは出力ラベルには決して表示されません。たとえば、WNINTEL という語句に上記の WARNING というエイリアスが定義されているとします。次の表では、このエイリアスを使用して TOP SECRET というラベルがどのようにして変更できるか、または変更できないかを示します。
表 7–1 エイリアスを使用した変更
ラベル |
入力した変更 |
コメント |
---|---|---|
TOP SECRET |
+WARNING |
既存のラベルにエイリアスを追加する。すると、エイリアス自身ではなく、エイリアスに指定された語句 (WNINTEL) がラベルに表示される |
TOP SECRET WNINTEL |
-WARNING |
「WARNING」がラベルに存在しないため、エラーが発生する |
TOP SECRET WNINTEL |
-WNINTEL |
エイリアスが指定された語句が削除される |
TOP SECRET |
|
エイリアスが指定された語句は削除された |
エイリアスを持つ語句をフラグと組み合わせると、オプションにより出力ラベルで使用できるエイリアスを作成することができます。システムではフラグ機能を使用していませんが、このフラグ機能を使用するためのアプリケーションを作成することができます。たとえば、NORMAL NAME として通常表示する語句を、特定の条件下では ALTERNATIVE NAME として表示しなければならない場合があります。次のエンコーディングを使用するとこれが可能になります。
name= NORMAL NAME; markings= 34; name= ALTERNATE NAME; markings= 34; flags= 1;
通常の環境では、ラベルには NORMAL NAME と表示されますが、フラグ 1 が指定された語句だけを使用するよう変換ソフトウェアに明示的に指示すると、ラベルには ALTERNATIVE NAME と表示されます。このような要領でアプリケーションでフラグ機能を使用する方法については、[DDS-2600-6215-91] を参照してください。