Solaris 10 11/06 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)

ネットワーク上のシステム用のプロファイルサーバーの作成

ネットワーク上のシステム用にカスタム JumpStart インストールを設定する際には、サーバー上に JumpStart ディレクトリと呼ばれるディレクトリを作成する必要があります。JumpStart ディレクトリには、重要なカスタム JumpStart ファイル (rules ファイル、rules.ok ファイル、プロファイルなど) がすべて置かれます 。JumpStart ディレクトリは、プロファイルサーバーのルート (/) ディレクトリに作成する必要があります。

JumpStart ディレクトリがあるサーバーを「プロファイルサーバー」と呼びます。プロファイルサーバーは、インストールサーバーまたはブートサーバーと同じにすることも、あるいはまったく異なるサーバーとすることもできます。プロファイルサーバーは、異なったプラットフォームのシステムにカスタム JumpStart ファイルを提供できます。たとえば、x86 サーバーは、SPARC ベースのシステムと x86 ベースのシステムの両方に、カスタム JumpStart ファイルを提供できます。


注 –

プロファイルサーバーの作成後、システムがそのサーバーにアクセスできるように設定する必要があります。詳しい手順については、「すべてのシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるようにする方法」を参照してください。


ProcedureJumpStart ディレクトリをサーバー上に作成する方法


注 –

この手順では、システムでボリュームマネージャーを実行していると仮定しています。ディスク管理にボリュームマネージャーを使用しない場合は、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』で、ボリュームマネージャーを使用しないでリムーバブルメディアを管理する方法を確認してください。


  1. JumpStart ディレクトリを作成するサーバーを見つけます。

  2. スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  3. サーバーに JumpStart ディレクトリを作成します。


    # mkdir -m 755 jumpstart_dir_path
    

    jumpstart_dir_path は、JumpStart ディレクトリの絶対パスです。

    たとえば、次のコマンドは、ルート (/) ディレクトリに jumpstart というディレクトリを作成し、アクセス権を 755 に設定します。


    # mkdir -m 755 /jumpstart
    
  4. 次のエントリを追加して、/etc/dfs/dfstab ファイルを編集します。


    share -F nfs -o ro,anon=0 jumpstart_dir_path
    

    たとえば、次のエントリは /jumpstart ディレクトリを共有します。


    share -F nfs -o ro,anon=0 /jumpstart
    
  5. shareall と入力し、Enter キーを押します。

  6. サンプルのカスタム JumpStart ファイルを JumpStart ディレクトリにコピーするかどうかを決定します。

    • コピーしない場合は、手順 9 に進みます。

    • コピーする場合は、次の表を利用して次に行う作業を決定します。

    サンプルのコピー元 

    参照先 

    プラットフォームに対応した Solaris Operating System DVD または Solaris SOFTWARE - 1 CD 

    サーバーの CD-ROM ドライブに、Solaris Operating System DVD または Solaris SOFTWARE - 1 CD を挿入します。 

    ボリュームマネージャーが自動的に CD をマウントします。 

    ローカルディスク上にある、プラットフォームに対応した Solaris Operating System DVD または Solaris SOFTWARE - 1 のイメージ

    Solaris Operating System DVD または Solaris SOFTWARE - 1 イメージが置かれたディレクトリに移動します。コマンド例を示します。 


    cd /export/install

  7. サンプルのカスタム JumpStart ファイルをプロファイルサーバー上の JumpStart ディレクトリへコピーします。


    # cp -r media_path/Solaris_10/Misc/jumpstart_sample/* jumpstart_dir_path
    
    media_path

    CD、DVD、またはローカルディスク上のイメージのパス

    jumpstart_dir_path

    カスタム JumpStart ファイルの例を配置する、プロファイルサーバー上のパス

    たとえば、次のコマンドは、jumpstart_sample ディレクトリをプロファイルサーバー上の /jumpstart ディレクトリにコピーします。

    • SPARC システムの場合:


      cp -r /cdrom/cdrom0/s0/Solaris_10/Misc/jumpstart_sample/* /jumpstart
      
    • x86 システムの場合:


      cp -r /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Misc/jumpstart_sample/* /jumpstart
      
  8. サンプル JumpStart ファイルを更新し、それらのファイルがサイトの環境内で動作するようにします。

  9. root が JumpStart ディレクトリを所有していて、そのアクセス権が 755 に設定されていることを確認します。

  10. ネットワーク上のシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるように設定します。

    詳しい手順については、「すべてのシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるようにする方法」を参照してください。

すべてのシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるようにする

プロファイルサーバーを作成する際に、システムがカスタム JumpStart インストール中にプロファイルサーバーにアクセスできるようにする必要があります。このためには、次の方法があります。

コマンドまたはファイル 

アクセスの提供 

参照先 

add_install_client コマンド

ネットワークインストールでシステムを追加するたびに、add_install_client コマンドに -c オプションを使用してプロファイルサーバーを指定します。


注 –

NFS を使用していない場合は、別の方法を使用してアクセスを提供する必要があります。

  • SPARC システムでは boot コマンドを使用します

  • x86 システムでは GRUB メニューを編集します


システムのブート時に JumpStart ディレクトリの場所を指定します 

  • SPARC システムではboot コマンドを使用してシステムをブートします。システムのブート時にプロファイルサーバー上の JumpStart ディレクトリの場所を指定します。カスタム JumpStart 構成ファイルは、圧縮して 1 つのファイルにする必要があります。続いて、圧縮されたその構成ファイルを HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーに保存します。

  • x86 システムでは、システムをブートするときに GRUB メニューのブートエントリを編集して、プロファイルサーバーの JumpStart ディレクトリの場所を指定します。カスタム JumpStart 構成ファイルは、圧縮して 1 つのファイルにする必要があります。続いて、圧縮されたその構成ファイルを HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーに保存します。

    GRUB メニューのエントリを編集する場合は、圧縮ファイルの場所を指定します。

/etc/bootparams ファイル

/etc/bootparams ファイルにワイルドカードを追加します。

「すべてのシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるようにする方法」

Procedureすべてのシステムがプロファイルサーバーにアクセスできるようにする方法

次に示す手順は、ネットワークインストールの情報を次の場所に格納している場合にのみ実行してください。

次に示す手順は、同じタイプのシステム (たとえばすべて SPARC システム) で実行する必要があります。

次のような場合には、この手順を実行しないでください。

前述の場合には、SPARC システムでは boot コマンドを使用し、x86 システムでは GRUB メニューを使用してください。


注 –

DHCP サーバーにネットワークインストールの情報を格納することもできます。


  1. インストールサーバーまたはブートサーバーにスーパーユーザーとしてログインします。

  2. テキストエディタを使用して /etc/bootparams を開きます。

  3. このエントリを追加します。

    * install_config=server:jumpstart_dir_path
    
    *

    すべてのシステムにアクセスできるように指定するワイルドカード文字

    server

    JumpStart ディレクトリがあるプロファイルサーバーのホスト名

    jumpstart_dir_path

    JumpStart ディレクトリの絶対パス

    たとえば、次のエントリはすべてのシステムが、sherlock というプロファイルサーバーにある /jumpstart ディレクトリにアクセスできるようにします。

    * install_config=sherlock:/jumpstart

    注意 – 注意 –

    この手順を使用した場合、インストールクライアントを起動したときに次のエラーメッセージが表示されることがあります。

    WARNING:getfile:RPC failed:error 5:(RPC Timed out).

    このエラーメッセージの詳細については、「ネットワークからのブート時のエラーメッセージ」を参照してください。


    これで、すべてのシステムはプロファイルサーバーにアクセスできるようになりました。