インストールサーバーには、ネットワーク上でシステムをインストールするために必要なインストールイメージが含まれます。Solaris ソフトウェアをネットワークからインストールするためには、インストールサーバーを作成する必要があります。必ずしも個別のブートサーバーを設定する必要はありません。
DHCP を使用してインストールパラメータを設定する場合や、インストールサーバーとクライアントが同じサブネット上に存在する場合は、個別のブートサーバーは不要です。
インストールサーバーとクライアントが同じサブネット上に存在せず、DHCP を使用していない場合は、サブネットごとにブートサーバーを作成する必要があります。サブネットごとにインストールサーバーを作成することもできますが、インストールサーバーはより多くのディスク容量を必要とします。
SPARC CD メディアまたは x86 CD メディアを使用して SPARC インストールサーバーを作成するには、この手順を使用します。
この手順では、システムでボリュームマネージャーを実行していると仮定しています。メディアの管理にボリュームマネージャーを使用していない場合は、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』を参照してください。
インストールサーバーとして使用するシステム上で、スーパーユーザーになるか、同等の役割になります。
このシステムには CD-ROM ドライブが必要です。さらに、システムは、このサイトのネットワークに接続されネームサービスに登録されている必要があります。ネームサービスを使用する場合は、システムがすでに NIS、NIS+、DNS、LDAP のいずれかのネームサービスに登録されていなければなりません。ネームサービスを使用しない場合は、サイトのポリシーに従ってシステムの情報を供給する必要があります。
Solaris SOFTWARE - 1 CD をシステムのドライブに挿入します。
CD イメージ用のディレクトリを作成します。
# mkdir -p install_dir_path |
CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。
マウントされたディスクの Tools ディレクトリに移動します。
ドライブ内のイメージをインストールサーバーのハードディスクにコピーします。
# ./setup_install_server install_dir_path |
CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。
setup_install_server コマンドは、Solaris SOFTWARE のディスクイメージをコピーする十分なディスク容量があるかどうかを調べます。利用できるディスク容量を調べるには、df -kl コマンドを使用します。
ほかのシステムがインストールサーバーをマウントできるように設定する必要があるかどうかを判断します。
インストールサーバーとクライアント (インストールしているシステム) が同じサブネット上にある場合、あるいは、DHCP を使用している場合、ブートサーバーを作成する必要はありません。手順 7 に進みます。
インストールサーバーがインストールするシステムと同じサブネット上に存在せず、DHCP を使用していない場合は、次の手順を実行してください。
インストールサーバーのイメージへのパスが適切に共有されていることを確認します。
# share | grep install_dir_path |
CD イメージがコピーされているインストールイメージへのパスを指定します。
インストールサーバーのディレクトリへのパスが表示されて、anon=0 がオプションに表示される場合、手順 7 に進みます。
インストールサーバーのディレクトリのパスが表示されないか、オプション内に anon=0 と示されない場合は、次の作業へ進みます。
次のエントリを /etc/dfs/dfstab ファイルに追加し、インストールサーバーが利用できるように設定します。
share -F nfs -o ro,anon=0 -d "install server directory" install_dir_path |
nfsd デーモンが動作していることを確認します。
インストールサーバーで Solaris 最新リリースまたはその互換バージョンが実行されている場合は、次のコマンドを入力します。
# svcs -l svc:/network/nfs/server:default |
nfsd デーモンが稼働している場合は、手順 d に進みます。nfsd デーモンが稼働していない場合は、このデーモンを起動します。
# svcadm enable svc:/network/nfs/server |
インストールサーバーで Solaris 9 OS またはその互換バージョンが実行されている場合は、次のコマンドを入力します。
# ps -ef | grep nfsd |
nfsd デーモンが稼働している場合は、手順 d に進みます。nfsd デーモンが稼働していない場合は、このデーモンを起動します。
# /etc/init.d/nfs.server start |
インストールサーバーを共有します。
# shareall |
ルート (/) ディレクトリへ移動します。
# cd / |
Solaris SOFTWARE - 1 CD を取り出します。
Solaris SOFTWARE - 2 CD をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。
マウントされた CD の Tools ディレクトリに移動します。
CD-ROM ドライブ内の CD をインストールサーバーのハードディスクにコピーします。
# ./add_to_install_server install_dir_path |
CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。
ルート (/) ディレクトリへ移動します。
# cd / |
Solaris SOFTWARE - 2 CD を取り出します。
Solaris LANGUAGES CD をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。
マウントされた CD の Tools ディレクトリに移動します。
SPARC CD メディアの場合、次のように入力します。
# cd /cdrom/cdrom0/s0/Solaris_10/Tools |
x86 CD メディアの場合、次のように入力します。
# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools |
CD-ROM ドライブ内の CD をインストールサーバーのハードディスクにコピーします。
# ./add_to_install_server install_dir_path |
CD イメージをコピーするディレクトリを指定します。
ルート (/) ディレクトリへ移動します。
# cd / |
(省略可能) setup_install_server によって作成されたネットインストールイメージ上のミニルート内のファイルにパッチを適用します。ブートイメージに問題がある場合は、ファイルにパッチを適用する必要があります。
SPARC ベースのインストールイメージの場合は、patchadd -C コマンドを使用してミニルート内のファイルにパッチを適用します。
# patchadd -C install_dir_path path-to-patch/patch-id |
ネットワークインストールのミニルートのパスを指定します。
たとえば /var/sadm/spool のように、追加するパッチのパスを指定します。
適用するパッチ ID を指定します。
patchadd -C を使用する前には必ず、パッチの README を読むか、ご購入先におたずねください。
x86 ベースのインストールイメージの場合は、次の手順に従って x86 ネットワークインストールのミニルートにパッチを適用します。
次の手順では、ネットワーク上に x86 システム版 Solaris 最新リリースが実行されているシステムがあり、そのシステムにネットワークを経由してアクセスできると仮定しています。
x86 システム版 Solaris 最新リリースが実行されているシステム上で、スーパーユーザーとしてログインするか、同等の役割になります。
手順 4 で作成したインストールイメージの Tools ディレクトリに移動します。
# cd install-server-path/install-dir-path/Solaris_10/Tools |
たとえば /net/installserver-1 のように、ネットワーク上のインストールサーバーシステムへのパスを指定します。
新しいインストールイメージを作成し、そのイメージを x86 システム版 Solaris 最新リリースが実行されているシステム上に置きます。
# ./setup_install_server remote_install_dir_path |
新しいインストールイメージを作成する、x86 システム版 Solaris 最新リリース上のパスを指定します。
このコマンドにより、x86 システム版 Solaris 最新リリース上に新しいインストールイメージが作成されます。このイメージにパッチを適用するには、このイメージを x86 システム版 Solaris 最新リリースが実行されているシステム上に一時的に置く必要があります。
x86 システム版 Solaris 最新リリース上で、ネットワークインストールのブートアーカイブを展開します。
# /boot/solaris/bin/root_archive unpackmedia remote_install_dir_path \ destination_dir |
x86 システム版 Solaris 最新リリース上の x86 ネットワークインストールイメージへのパスを指定します。
展開されたブートアーカイブを含むディレクトリのパスを指定します。
x86 システム版 Solaris 最新リリース上で、展開されたブートアーカイブにパッチを適用します。
# patchadd -C destination_dir path-to-patch/patch-id |
たとえば /var/sadm/spool のように、追加するパッチのパスを指定します。
適用するパッチ ID を指定します。
patchadd -M コマンドを使用すると、複数のパッチを指定できます。詳細は、patchadd(1M) のマニュアルページを参照してください。
patchadd -C を使用する前には必ず、パッチの README を読むか、ご購入先におたずねください。
x86 システム版 Solaris 最新リリース上で、x86 ブートアーカイブを圧縮します。
# /boot/solaris/bin/root_archive packmedia destination_dir \ remote_install_dir_path |
パッチを適用したミニルートをインストールサーバー上のインストールイメージにコピーします。
# cp remote_install_dir_path/boot/x86.miniroot \ install-server-path/install_dir_path/boot/x86.miniroot |
ブートサーバーを作成する必要があるかどうかを判断します。
DHCP を使用しているか、あるいはインストール対象のシステムと同じサブネット上にインストールサーバーが存在する場合は、ブートサーバーを作成する必要はありません。「CD イメージを使用してネットワークからインストールするシステムの追加」に進みます。
DHCP を使用しておらず、インストールサーバーとクライアントが異なるサブネット上にある場合は、ブートサーバーを作成する必要があります。「CD イメージを使用したサブネット上でのブートサーバーの作成」に進みます。
次の例は、インストールサーバーの /export/home/cdsparc ディレクトリに次の CD をコピーしてインストールサーバーを作成する方法を示しています。この例では、インストールサーバーで Solaris 最新リリースが実行されていると仮定します。
Solaris SOFTWARE CD (SPARC 版)
Solaris LANGUAGES CD (SPARC 版)
Solaris SOFTWARE - 1 CD (SPARC 版) をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。
# mkdir -p /export/home/cdsparc # cd /cdrom/cdrom0/s0/Solaris_10/Tools # ./setup_install_server /export/home/cdsparc |
個別のブートサーバーがある場合は、次の手順を追加します。
次のパスを /etc/dfs/dfstab ファイルに追加します。
share -F nfs -o ro,anon=0 -d "install server directory" \ /export/home/cdsparc |
nfsd デーモンが稼働しているかどうかを確認します。nfsd デーモンが稼働していない場合、このデーモンを起動して共有します。
# svcs -l svc:/network/nfs/server:default # svcadm enable svc:/network/nfs/server # shareall |
引き続き、次の手順を実行します。
ブートサーバーが不要であるか、個別のブートサーバーを設定する手順を完了している場合は、作業を続行します。
# cd / |
Solaris SOFTWARE - 1 CD (SPARC 版) を取り出します。CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE - 2 CD (SPARC 版) を挿入します。
# cd /cdrom/cdrom0/s0/Solaris_10/Tools # ./add_to_install_server /export/home/cdsparc # cd / |
インストールする Solaris SOFTWARE CD ごとに、前述のコマンドを繰り返します。
CD-ROM ドライブに Solaris LANGUAGES CD (SPARC 版) を挿入します。
# cd /cdrom/cdrom0/s0/Solaris_10/Tools # ./add_to_install_server /export/home/cdsparc |
次の例を使用して SPARC ベースのインストールサーバー上に x86 ネットワークインストールイメージを作成します。次の例では、Solaris SOFTWARE CD (x86 版) をインストールサーバーの /export/home/cdx86 ディレクトリにコピーしてクロスプラットフォームのインストールサーバーを作成する方法を説明します。この例では、インストールサーバーで Solaris 最新リリースが実行されていると仮定します。
Solaris SOFTWARE CD (x86 版)
Solaris LANGUAGES CD (x86 版)
Solaris SOFTWARE - 1 CD (x86 版) をシステムの CD-ROM ドライブに挿入します。
# mkdir -p /export/home/cdsparc # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools # ./setup_install_server /export/home/cdsparc |
個別のブートサーバーがある場合は、次の手順を追加します。
次のパスを /etc/dfs/dfstab ファイルに追加します。
share -F nfs -o ro,anon=0 -d "install server directory" \ /export/home/cdsparc |
nfsd デーモンが稼働しているかどうかを確認します。nfsd デーモンが稼働していない場合、このデーモンを起動して共有します。
# svcs -l svc:/network/nfs/server:default # svcadm enable svc:/network/nfs/server # shareall |
引き続き、次の手順を実行します。
ブートサーバーが不要であるか、個別のブートサーバーを設定する手順を完了している場合は、作業を続行します。
# cd / |
Solaris SOFTWARE - 1 CD (x86 版) を取り出します。CD-ROM ドライブに Solaris SOFTWARE - 2 CD (x86 版) を挿入します。
# cd /cdrom/cdrom0/Solaris_10/Tools # ./add_to_install_server /export/home/cdsparc # cd / |
インストールする Solaris SOFTWARE CD (x86 版) ごとに、前述のコマンドを繰り返します。
CD-ROM ドライブに Solaris LANGUAGES CD (x86 版) を挿入します。
# cd /cdrom/cdrom0/Tools # ./add_to_install_server /export/home/cdsparc |
インストールサーバーを設定したあと、クライアントをインストールクライアントとして追加する必要があります。ネットワーク経由でインストールするクライアントシステムの追加方法については、「CD イメージを使用してネットワークからインストールするシステムの追加」を参照してください。
DHCP を使用しておらず、クライアントシステムがインストールサーバーとは異なるサブネット上にある場合は、ブートサーバーを作成する必要があります。詳細は、「CD イメージを使用したサブネット上でのブートサーバーの作成」を参照してください。
setup_install_server コマンドと add_to_install_server コマンドの詳細は、install_scripts(1M) のマニュアルページを参照してください。