Solaris 10 8/07 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)

ProcedureSolaris Live Upgrade を使用して Solaris フラッシュ差分アーカイブを作成する方法

システムの更新を管理するには、Solaris Live Upgrade を使用して OS のコピーを作成し、新しいブート環境を作成します。このコピーを、マイナーチェンジが加えられたマスターシステムと比較できます。こうして作成された Solaris フラッシュ差分アーカイブを、クローンシステムにインストールできます。

Solaris Live Upgrade の概要については、『Solaris 10 8/07 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 2 章「Solaris Live Upgrade (概要)」を参照してください。

  1. lucreate コマンドを実行して、変更されていないマスターシステムから新しいブート環境を作成します。

    この新しいブート環境はマスターシステムの正確なコピーであり、差分アーカイブの作成に使用できます。

  2. スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。

    役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。

  3. 2 つのブート環境の状態をチェックします。


    # lustatus copy_BE
    
    boot environment   Is        Active  Active     Can	    Copy
    Name               Complete  Now	 OnReboot   Delete	 Status
    ------------------------------------------------------------------------
    master_BE          yes       yes     yes        no       -     
    copy_BE            yes       no      no         yes      -  
  4. 次のいずれかの操作を行い、マスターイメージを更新します。

    • パッケージを削除します。

    • パッケージまたはパッチを追加します。

    • 構成ファイルを変更します。

    • クローンシステム上にある周辺装置のサポートを追加します。

  5. (省略可能) カスタムスクリプトを作成します。「カスタムスクリプトの作成」を参照してください。

  6. 差分アーカイブを作成します。

    1. 新しく作成されたブート環境をマウントします。


      # lumount BE_name /a
      
    2. マスターシステムとブート環境を比較して、差分アーカイブを作成します。


       # flarcreate -n archive_name -A new_BE_dir\  options path/filename
      
      archive_name

      アーカイブに付ける名前を指定します。

      -A new_BE_dir

      新しいシステムイメージと new BE_dir 引数で指定されたイメージを比較して、差分アーカイブを作成します。

      options

      オプションの一覧は、flar コマンド」を参照してください。

      path

      アーカイブファイルを保存するディレクトリへのパスを指定します。パスを指定しない場合、アーカイブファイルは現在のディレクトリに保存されます。

      filename

      アーカイブファイル名を指定します。

    3. 新しいブート環境をマウント解除します。


      # luumount copy_BE
      

    flarcreate コマンドは終了コードを返します。

    • 作成に成功した場合、返される終了コードは 0 です。

    • 障害が発生した場合、返される終了コードは 0 以外です。

  7. JumpStart プロファイルを使用して Solaris フラッシュ差分アーカイブをインストールします。

    インストールするクローンシステムが元のマスターシステムの複製でない場合、インストールに失敗します。

    次のプロファイル例では、デバイス c1t1d0s0 に差分アーカイブ test.diff がインストールされます。


    JumpStart profile
    -----------------------
    install_type  flash_update
    archive_location http server /rw/test.diff
    root_device c1t1d0s0

例 3–16 Solaris Live Upgrade による差分アーカイブの作成

この例では、現在のブート環境の名前は master_BE です。新しいブート環境の名前は copy_BE です。ルート (/) ファイルシステムと /usr ファイルシステムは、それぞれ s0s3 に配置されています。lustatus コマンドにより、新しいブート環境のコピーが完了したことが報告されます。マスターシステムに SUNWman パッケージを追加します。SUNWman パッケージの追加によってマスターシステムが更新されたあと、flarcreate コマンドにより、変更されたマスターと変更されていない新しいブート環境の比較が行われ、差分アーカイブが作成されます。


# lucreate -c master_BE  -m /:/dev/dsk/c0t1d0s0:ufs \
-m /usr:/dev/dsk/c0t1d0s3:ufs -n copy_BE
# lustatus
# pkgadd SUNWman
# lumount copy_BE /a
# flar create -n test.diff -c -A /a /net/server/export/test.diff
# luumount copy_BE

クローンシステムに差分アーカイブをインストールします。アーカイブのインストール手順については、『Solaris 10 8/07 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「カスタム JumpStart インストールを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする方法」を参照してください。

次の図は、lucreate コマンドで新しいブート環境が作成される様子を示しています。

この図については本文中で説明しています。