Solaris 10 リリースのネットワーク接続に関するバグ情報について説明します。
nxge ドライバで kstat を実行すると、システムパニックが発生することがあります。ただし、この状態はまれにしか発生しません。
回避方法: nxge ドライバで kstat を実行しないでください。
NFS サーバーと、RDMA (Remote Direct Memory Access) を使用しているクライアントとの間で接続エラーが発生することがあります。このエラーにより、バッファープールの資源が使い果たされ、システムがパニックになります。次のエラーメッセージが表示されます。
rpcib: WARNING: rib_rbuf_alloc: No free buffers! |
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
TCP が有効になるように NFS サーバーを設定します。/etc/default/nfs ファイルで、(NFSD_PROTOCOL=tcp) に変更します。
proto=tcp マウントオプションを使用してクライアント側から NFS ファイルシステムをマウントします。
詳細は、mount_nfs(1M) および nfs(4) のマニュアルページを参照してください。
iSCSI ターゲットまたはアレイから send target 応答の一部として複数の IP アドレスが返された場合、イニシエータはこれまでのリリースのようにリスト内の最初のアドレスだけを考慮するのではなく、最後のアドレスだけを考慮します。その結果、最後の IP アドレスが不正または無効な場合は、このターゲットへの接続が失敗します。
回避方法: send target 応答で、各エントリについて異なるターゲットポータルグループタグ (TPGT) を返します。イニシエータは接続を成功させるために、すべての IP アドレスに対して接続を確立しようとします。
システム DOI (Domain of Interpretation) を設定できません。Solaris 管理コンソールを使用して新しいトラステッドネットワークテンプレートを作成するとき、Solaris 管理コンソールによって DOI が 0 に設定され、Solaris Trusted Extensions が正しく機能しません。さまざまなエラーメッセージが表示されます。
回避方法: Solaris 管理コンソールを使用して DOI を 1 に設定します。
この Solaris リリースでは、IP 転送はデフォルトで無効になっています。この設定は、ほかのシステム構成に関係なくIPv4 と IPv6 の両方に適用されます。以前はデフォルトで IP パケットを転送していた複数の IP インタフェースを持つシステムには、もうこの自動機能はありません。マルチホームシステムでの IP 転送を有効にするには、管理者は手動でいくつかの設定手順を実行する必要があります。
回避方法: コマンド routeadm を実行して IP 転送を有効にできます。routeadm を使用して行われた構成変更は、システムのリブート時にも保持されます。
IPv4 転送を有効にするには、routeadm -e ipv4-forwarding と入力します。
IPv6 転送を有効にするには、routeadm -e ipv6-forwarding と入力します。
有効になった IP 転送の設定を現在実行しているシステムに適用するには、routeadm -u と入力します。
IP 転送の詳細については、routeadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
ゾーンの IP アドレスが IP ネットワークマルチパス (IPMP) グループの一部になるようにゾーンを構成できます。構成方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「IP ネットワークマルチパス機能を共有 IP 非大域ゾーンに拡張する方法」を参照してください。
IPMP グループに含まれるすべてのネットワークインタフェースが失敗すると、その IPMP グループに属している IP アドレスを持つゾーンはブートしません。
次の例は、ゾーンをブートしようとした場合の結果を示しています。
# zoneadm -z my-zone boot zoneadm: zone 'my-zone': bge0:1: could not set default interface for multicast: Invalid argument zoneadm: zone 'my-zone': call to zoneadmd failed |
回避方法: グループ内のネットワークインタフェースの少なくとも 1 つを修復してください。
DataDigests が有効になっている場合に、Internet SCSI (iSCSI) ターゲットが CRC (巡回冗長検査) エラーを報告することがあります。iSCSI イニシエータにデータを転送したあとに入出力バッファーを更新するユーザーアプリケーションでは、CRC が正しく計算されないことがあります。ターゲットが CRC エラーを返すと、iSCSI イニシエータは正しい DataDigest CRC を含むデータを再転送します。データの整合性は維持されます。ただし、データ転送のパフォーマンスに影響します。エラーメッセージは表示されません。
回避方法: DataDigest オプションは使用しないでください。
2 つの IP ノード間に複数の IP トンネルを設定し、ip_strict_dst_multihoming またはその他の IP フィルタを有効にした場合、パケットが失われることがあります。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
まず、2 つの IP ノード間に IP トンネルを 1 つだけ設定します。次に、addif オプションを指定した ifconfig コマンドによって、トンネルにアドレスを追加します。
2 つの IP ノード間のトンネルで ip_strict_dst_multihoming を有効にしないでください。