Solaris 10 5/08 ご使用にあたって

ファイルシステム

Solaris 10 リリースのファイルシステムに関するバグ情報について説明します。

x86: Dell SAS6i/R で raidctl が VD の作成に失敗する (6669169)

Dell SAS 6 HBA (LSI 1068) ファームウェアの 0.20.46.00-IR 以降のバージョンでは互換性が確保されないため、lsiutil および raidctl(1M) コマンドで仮想ドライブを正常に構成できないことがあります。失敗したあと、物理ドライブはオフライン状態となり、アクセスできなくなります。Solaris 10 5/08 リリースに含まれている raidctl(1M) のほかに、ITImpt パッケージのバージョン 5.07.04 の lsiutil も影響を受けます。

次のエラーメッセージが表示されます。


# /usr/sbin/raidctl -C "0.3.0 0.4.0" -s 64k 0
Creating RAID volume will destroy all data on spare space of member
disks, proceed (yes/no)?

Operation failed

回避方法: SAS 構成ユーティリティーを使用して仮想ドライブを構成します。SAS 構成ユーティリティーにアクセスするには、BIOS ブートシーケンス中にプロンプトが表示されたら、Ctrl + C キーを押します。

x86: ブート中に ata がタイムアウトになる (6586621)

Intel マルチプロセッサシステムでのシステムのブート中に ata ドライバがタイムアウトになることがあります。これらのタイムアウトは、HBA コントローラが従来の ata ドライバにバインドされたドライブ上に、ルートデバイスが置かれている場合に発生します。これらのタイムアウトにより、システムのブート中に一時ハングアップ、深刻なハングアップ、またはパニック状態が発生して、次のようなコンソールメッセージが表示されます。


scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset bus, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: early timeout, target=0 lun=0
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: abort request, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: abort device, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset target, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset bus, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: early timeout, target=0 lun=0
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):

回避方法: 次のいずれかを選択してください。


注 –

パフォーマンスの低下を防ぐためには、回避方法 5 が使用できるようになるまで、回避方法 3 または回避方法 4を一時的にのみ使用するようにしてください。


ZFS legacy マウントで zoneadm install が失敗する (6449301)

`add fs サブコマンドで ZFS ファイルシステムをマウントするように非大域ゾーンを最初に構成して mountpoint=legacy を指定すると、そのあとでゾーンのインストールを行うときに失敗します。次のエラーメッセージが表示されます。


ERROR: No such file or directory:
cannot mount </zones/path/root/usr/local> in non-global zone to install:
the source block device or directory </path/local> cannot be accessed

回避方法: 非大域ゾーンをインストールしてから、ZFS ファイルシステムへのアクセスを追加します。

ZFS および UNIX/POSIX 準拠に関する問題

ZFS は POSIX 準拠のファイルシステムとして設計されており、ほとんどの場合、ZFS は POSIX に準拠しています。ただし、次の 2 つの極端な状況では、ZFS は POSIX 準拠テストに適合しません。

  1. ZFS ファイルシステム容量統計の更新。

  2. 100 パーセント満杯のファイルシステムによる既存のデータの変更。

関連する CR:

fdisk -E は ZFS が使用するディスクを警告なしに一掃する可能性がある (6412771)

fdisk -E コマンドを使用して ZFS ストレージプールによって使用されているディスクを変更する場合、そのプールは使用不可になり、入出力エラーまたはシステムパニックを引き起こすことがあります。

回避方法:

ZFS ストレージプールによって使用されているディスクの変更に fdisk コマンドを使用しないでください。ZFS ストレージプールによって使用されているディスクにアクセスする必要がある場合は、format ユーティリティーを使用してください。一般に、ファイルシステムが使用中のディスクを変更するべきではありません。

ZFS と他社製のバックアップ製品の問題

Veritas NetBackup 製品および Brightstor ARCserve Backup 製品に関する問題は次のとおりです。

Veritas NetBackup は ZFS/NFSv4 ACL を含むファイルをバックアップおよび保持しない (6352899)

Veritas NetBackup 製品は、ZFS ファイルのバックアップに使用でき、この構成はサポートされています。ただし、この製品は ZFS ファイルからの NFSv4 スタイル ACL 情報のバックアップまたは復元を現在サポートしていません。従来のアクセス権ビットおよびその他のファイル属性は正しくバックアップおよび復元されます。

ユーザーが ZFS ファイルをバックアップまたは復元しようとすると、ZFS ファイルの NFSv4 スタイル ACL 情報はそのままドロップされます。ZFS ファイルから ACL 情報がドロップされたことを示すエラーメッセージは表示されません。

ZFS/NFSv4 ACL のサポートは開発中で、次の Veritas NetBackup リリースで利用可能になる予定です。

回避方法 1:

Solaris 10 8/07 リリース以降では、tar および cpio の両方のコマンドは NFSv4 スタイル ACL を含む ZFS ファイルを正しく処理します。

tar コマンドに -p オプションを使用して、または cpio コマンドに -P オプションを使用して、ZFS ファイルをファイルに書き込みます。次に、Veritas NetBackup を使用して tar または cpio アーカイブをバックアップします。

回避方法 2:

Veritas NetBackup を使用する代わりに、ZFS send および receive コマンドを使用して ZFS ファイルをバックアップします。これらのコマンドは ZFS ファイルのすべての属性を正しく処理します。

UNIX (Solaris) 版 BrightStor ARCserve Backup クライアントエージェントと ZFS サポート

UNIX (Solaris) 版 BrightStor ARCserve Backup (BAB) クライアントエージェントを使用して、ZFS ファイルのバックアップと復元を行うことができます。

ただし、ZFS の NFSv4 スタイル ACL はバックアップ時に維持されません。従来の UNIX ファイルのアクセス権と属性は維持されます。

回避方法: NFSv4 スタイル ACL を使用している ZFS ファイルを維持するには、tar コマンドに -p オプションを指定するか cpio コマンドに -P オプションを指定して、ZFS ファイルを 1 つのファイルに書き込みます。その後、この tar アーカイブまたは cpio アーカイブを BAB でバックアップします。

ZFS GUI は、各ウィザードの起動時に /usr/lib/embedded_su をチェックする必要がある (6326334)

embedded_su パッチのない Solaris 10 6/06 より前のリリースを実行するシステムに Solaris 10 8/07 または Solaris 10 5/08 リリースの SUNWzfsg パッケージを追加する場合、ZFS 管理アプリケーションウィザードは十分に機能しません。

embedded_su パッチのないシステム上で ZFS 管理アプリケーションを実行しようとすると、ZFS 構成を参照することしかできません。次のエラーメッセージが表示されます。


/usr/lib/embedded_su: not found

回避方法:

embedded_su パッチ (119574-02) を、Solaris 10 6/06 より前のリリースを実行するシステムに追加します。

パニック時にファイルシステムの同期に失敗する (6250422)

ターゲットに対して発生する (Solaris iSCSI ソフトウェアイニシエータを使用して接続される) ファイルシステムの入出力によってホストがパニック状態に陥った場合、入出力はターゲットデバイスのフラッシュまたはターゲットデバイスへの同期を実行できないことがあります。このフラッシュまたは同期の不能によってファイルシステムが破壊される場合があります。エラーメッセージは表示されません。

回避方法:

UFS などのジャーナリングファイルシステムを使用します。Solaris 10 以降では、UFS ロギングはデフォルトで使用可能になっています。UFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「ファイルシステムの新機能」を参照してください。

一部の Solaris Express または Solaris 10 リリースからのアップグレードにはファイルシステムの再マウントが必要

NFSv4 サーバーを Solaris Express 6/05 から Solaris Express 7/05 以降にアップグレード (すべての Solaris 10 アップデートを含む) したあと、プログラムによってEACCES エラーが検出されることがあります。さらに、ディレクトリが間違って空になっているように見えることもあります。

これらのエラーを回避するには、クライアントのファイルシステムをいったんマウント解除してから再マウントします。マウント解除がうまくいかない場合は、umount -f を使用して強制的にファイルシステムをマウント解除する必要があります。あるいは、クライアントをリブートしてもかまいません。

NFSv4 アクセス制御リストの関数が正しく動作しないことがある

ネットワーク上のクライアントとサーバーが、異なる以前の Solaris 10 リリースでインストールされている場合、NFSv4 アクセス制御リスト (ACL) の関数が正しく動作しないことがあります。対象となる ACL 関数とその関数を使用するコマンド行ユーティリティーは次のとおりです。

これらの関数とユーティリティーについては、それぞれのマニュアルページを参照してください。

たとえば、次の構成を含むネットワークではエラーが検出される可能性があります。

次の表に、異なる Solaris 10 リリースがインストールされているクライアントとサーバーの構成における ACL 関数の結果を示します。

操作 

クライアントの S10 OS 

サーバーの S10 OS 

結果 

get ACL 

S10 ベータ版 

S10 OS 

正しくない ACL * が作成されます 

get ACL 

S10 OS 

S10 ベータ版 

正常に機能します 

set ACL 

S10 ベータ版 

S10 OS 

正常に機能します 

set ACL 

S10 OS 

S10 ベータ版 

Error: EOPNOTSUP 

回避方法: NFSv4 ACL の機能を正しく動作させるには、サーバーとクライアントの両方で Solaris 10 OS の完全なインストールを実行します。

Solaris NFSv4 クライアントと NFSv4 サーバーとの間にアクセスに関する問題がある

現在の Solaris 10 バージョンでは、NFSv4 アクセス制御リスト (ACL) の Solaris 実装は RFC 3530 仕様に準拠しています。しかし、Solaris 10 ベータ版 (Beta 2 または Beta 1) を使用する NFSv4 クライアントではエラーが発生します。これらのクライアントでは、現在の Solaris 10 リリースを使用している NFSv4 サーバー内にファイルを作成することができません。次のエラーメッセージが表示されます。


NFS getacl failed for server_name: error 9 (RPC: Program/version mismatch)

回避方法: なし。

サイズの大きなディスクの場合に、mkfs コマンドを使用してファイルシステムを作成できないことがある (6352813)

ディスクジオメトリによっては、8G バイトより大きなサイズのディスク上に mkfs コマンドを使用してファイルシステムを作成できないことがあります。生成されるシリンダグループのサイズは、1K バイトのフラグメントを使用するには大きすぎます。シリンダグループのサイズが大きいため、メタデータのサイズが大きくなり、1 ブロックに収めることができません。

次のエラーメッセージが表示されます。


With 15625 sectors per cylinder, minimum cylinders
per group is 16. This requires the fragment size to be
changed from 1024 to 4096.
Please re-run mkfs with corrected parameters.

回避方法: 代わりに、newfs コマンドを使用してください。または、mkfs コマンドを使用するときに、4096 などのより大きなフラグメントサイズを割り当ててください。

1T バイトよりも大きなデバイスでシステムクラッシュダンプが失敗する (6214480)

システムでは、1T バイト以上のパーティションにダンプを生成することができません。システム上にこのようなデバイスがある場合は、システムパニックが発生したあとにシステムをブートすると、次のようなエラーが発生することがあります。

回避方法: システムのダンプデバイスのサイズを 1T バイト未満に設定してください。

smosservice コマンドで OS サービスを追加すると、ディスク容量不足のメッセージが表示される (5073840)

smosservice コマンドを使用して OS サービスを UFS ファイルシステムに追加すると、利用可能なディスク容量が不足しているというメッセージが表示されます。このエラーは、EFI ラベル付きディスクの UFS ファイルシステムでのみ発生します。

回避方法: 次の回避方法を完了してください。

  1. SMI VTOC ディスクラベルを適用します。

  2. ファイルシステムを作成し直します。

  3. smosservice コマンドを再実行します。