Solaris Trusted Extensions が構成された Solaris システムでは、非大域ゾーンが使用されます。これらのシステムのアップグレード方法は、ゾーンを使用する Solaris システムのアップグレード方法と同じであり、注意事項も同じです。
ZFS ゾーン– 現在のところ、ZFS ゾーンが構成されている Solaris システムはアップグレードできません。ZFSゾーンが構成されている Solaris Trusted Extensions システムの場合は、代替手段としてゾーンを再作成します。ゾーンを再作成するには、次の手順を実行してください。
まず、tar -T コマンドを使用してすべてのデータをバックアップします。
次に、ゾーンを削除します。
システムをアップグレードし、すべてのゾーンを再構成します。
すべてのゾーンが構成されたあとで、すべてのデータを復元します。
NFSv4 ドメイン– アップグレード後に、各ラベル付きゾーンを起動すると、NFSv4 ドメインの入力を求めるプロンプトが表示されます。このプロンプトが表示されないようにするには、アップグレードを行う前に、各ラベル付きゾーンの /etc/default/nfs ファイルに正しい NFSMAPID_DOMAIN 値を追加します。詳細は、CR 5110062 を参照してください。
Live Upgrade– ゾーンが構成されている Solaris システムの Live Upgrade に影響を及ぼすバグが 2 つあります。
これらのバグは、Solaris Trusted Extensions が構成されているシステムの Live Upgrade にも影響します。回避方法も同じです。
ネームサービス– インストール時にシステムでネームサービスを使用するように構成した場合、それがアップグレード中に使用されるネームサービスと異なっているときは、ブート後に大域ゾーンで正しいネームサービスを使用することができます。
たとえば、システムのインストール時にネームサービスとして NIS を使用するように指定した場合、あとでシステムを LDAP クライアントに変換したときは、luactivate ブートを使用して、大域ゾーンで使用するネームサービスを NIS に戻すことができます。この原因は CR 6569407 です。
回避方法としては、/var/svc/profile ディレクトリの name_service.xml シンボリックリンクを調整して、現在使用されているネームサービスに対応する正しい xml ファイルを指すようにします。たとえば、インストール時にネームサービスとして NIS を指定した場合、name_service.xml は ns_nis.xml へのシンボリックリンクになります。そのあとでシステムが LDAP クライアントに変換された場合、Live Upgrade 中に使用されたネームサービスが LDAP であれば、次のコマンドを実行します。
# ln -fs ns_ldap.xml name_service.xml |
これは、Live Upgrade を開始する前または lucreate コマンドを実行する前に行うようにしてください。ただし、lucreate の前にこのコマンドを実行しなかった場合は、luactivate コマンドを実行したあとで次の手順を実行します。
新しいブート環境を lumount でマウントします。
# lumount <BE_name> |
ブート環境の /var/svc/profile ディレクトリに移動します。
# cd /.alt.<BE_name>/var/svc/profile |
name_service.xml リンクを適切に設定します。次に例を示します。
# ln -fs ns_ldap.xml name_sevice.xml |
ブート環境を luumount でマウント解除します。
# luumount <BE_name> |
上記の手順を実行せずにシステムをブートした場合は、ネームサービスに関連する適切な SMF クライアントサービスを手動で起動する必要があります。