Solaris 10 5/08 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)

Solaris フラッシュアーカイブの作成 (例)

ファイルシステムを複製する際、全く同じようにコピーすることも、カスタマイズしてディレクトリやファイルのいくつかを除外することもできます。異なるオプションを使用して、同じ結果を得ることも可能です。使用する環境に最も適したオプションを使用してください。

次の例に示すファイルシステムは、わかりやすくするために大幅に簡略化されています。これらの例では、マスターシステムのファイル構造は、/var/usr、または /opt などのファイルシステム名の代わりに、次のようなファイル構造を使用します。


/aaa/bbb/ccc/ddd
/aaa/bbb/fff
/aaa/eee
/ggg

注意 – 注意 –

flarcreate のファイル除外オプションは、注意して使用してください。一部のディレクトリを除外する際、気づかずにシステム構成ファイルなどの他のファイルがアーカイブに残ってしまう場合があります。この場合、システムの整合性が損なわれるため、インストールが失敗してしまいます。ディレクトリやファイルの除外は、大規模なデータファイルなど、システムを破綻させることなく容易に削除可能なデータに対して行うのが最善です。


Solaris フラッシュアーカイブの作成 (さまざまな例)


例 3–6 完全な複製アーカイブの作成

この例では、アーカイブの名前は archive1 です。このアーカイブは、マスターシステムそのものがコピーされ、その後圧縮されます。アーカイブはマスターシステムの完全な複製で、archive1.flar に格納されます。


# flarcreate -n archive1 -c archive1.flar

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のように入力します。


# flar info -l archive1.flarlost+found
export
export/home
export/home/lost+found
var
var/sadm
var/sadm/install
var/sadm/install/admin
var/sadm/install/admin/default
var/sadm/install/logs
var/sadm/install/contents
var/sadm/install/.lockfile
var/sadm/install/.pkg.lock
var/sadm/pkg
var/sadm/pkg/SUNWocfd
var/sadm/pkg/SUNWocfd/install
var/sadm/pkg/SUNWocfd/install/copyright
var/sadm/pkg/SUNWocfd/save
var/sadm/pkg/SUNWocfd/save/pspool
var/sadm/pkg/SUNWocfd/save/pspool/SUNWocfd
.....
.....
    usr/bin/sparcv7
usr/bin/sparcv7/savecore
usr/bin/sparcv7/gcore
....
....
usr/lib/diff3prog
usr/lib/madv.so.1
usr/lib/mpss.so.1
usr/lib/cpu
usr/lib/cpu/sparcv8plus
....
....
devices/pseudo/udp6@0:udp6
devices/pseudo/udp@0:udp
devices/pseudo/tcp@0:tcp
devices/pseudo/iwscn@0:iwscn
devices/pseudo/wc@0:wscons
devices/pseudo/tcp6@0:tcp6
devices/pseudo/sctp6@0:sctp6
var/fm/fmd/ckpt
var/fm/fmd/rsrc
kernel/drv/st.conf
kernel/drv/st.conf
kernel/drv/st.conf
kernel/drv/st.conf
#


例 3–7 大規模なファイルを含むアーカイブの作成

この例では、個別ファイルのいくつかは 4G バイトを超えています。デフォルトのアーカイブユーティリティー cpio は、これらの大規模なファイルを処理できません。-L pax によるコピー方法は、大規模な個別ファイルを含むアーカイブを作成する際に使用します。アーカイブの名前は archive1 になります。このアーカイブは、マスターシステムそのものがコピーされ、その後圧縮されます。アーカイブはマスターシステムの完全な複製で、archive1.flar に格納されます。


# flarcreate -L pax -n archive1 -c archive1.flar

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のように入力します。


# flar info -l archive1.flar
aaa
aaa/bbb
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
aaa/bbb/fff
aaa/eee
aaa/eee
ggg


例 3–8 代替 root (/) ファイルシステムからアーカイブを作成する

この例では、アーカイブの名前は archive4 です。このアーカイブは、マスターシステムそのものがコピーされ、その後圧縮されます。アーカイブはマスターシステムの完全な複製で、archive4.flar に格納されます。-R オプションは、別のディレクトリツリーからアーカイブを作成する場合に使用します。


# flarcreate -n archive4 -c -R /x/yy/zz archive4.flar


例 3–9 アーカイブを作成して、アーカイブについて記述するキーワードを追加する

この例では、アーカイブの名前は archive3 です。このアーカイブは、マスターシステムそのものがコピーされ、その後圧縮されます。オプションで、アーカイブ識別セクションに説明を追加できます。この説明により、後でアーカイブを識別するのが容易になります。キーワード、およびその値と書式については、「Solaris フラッシュのキーワード」を参照してください。


# flarcreate -n archive3 -i 20000131221409 -m pumbaa \
 -e "Solaris 8 Print Server" -a "Mighty Matt" -U "Internal Finance" \
 -T server archive3.flar 

アーカイブの作成後に、詳細な説明を含むアーカイブ識別セクションにアクセスできます。アーカイブ識別セクションの例を、次に示します。


section_begin=identification
     files_archived_method=cpio
     files_compressed_method=compress
     files_archived_size=259323342
     files_unarchived_size=591238111
     creation_date=20000131221409
     creation_master=pumbaa
     content_name=Finance Print Server
     content_type=server
     content_description=Solaris 8 Print Server
     content_author=Mighty Matt
     content_architectures=sun4u
     creation_node=pumbaa
     creation_hardware_class=sun4u
     creation_platform=SUNW,Sun-Fire
     creation_processor=sparc
     creation_release=5.9
     creation_os_name=SunOS
     creation_os_version=s81_49
     x-department=Internal Finance

Solaris フラッシュアーカイブの作成とファイルのカスタマイズ (例)


例 3–10 アーカイブから除外するファイルとディレクトリおよびアーカイブに含めるファイルとディレクトリを指定してアーカイブを作成する

この例では、アーカイブの名前は archive2 です。このアーカイブは、マスターシステムからコピーされますが、完全な複製ではありません。/aaa ディレクトリ以下の内容はアーカイブから除外されますが、/aaa/bbb/ccc の内容はアーカイブに含まれます。


# flarcreate -n archive2 -x /aaa -y /aaa/bbb/ccc  archive2.flar

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のように入力します。除外されたディレクトリ (/aaa) であっても、コピーされたファイル (/aaa/bbb/ccc) が下位に存在する場合、そのディレクトリも表示されていますが、実際にアーカイブに含まれているのはコピーされたファイル ( /aaa/bbb/ccc) だけです。


#flar info -l aaa
aaa
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
aaa/bbb
ggg


例 3–11 アーカイブから除外するファイルとディレクトリおよびアーカイブに含めるファイルとディレクトリをリストで指定してアーカイブを作成する

この例では、アーカイブの名前は archive5 です。このアーカイブは、マスターシステムからコピーされますが、完全な複製ではありません。

exclude ファイルには、次のリストが含まれています。


/aaa

include ファイルには、次のリストが含まれています。


/aaa/bbb/ccc

/aaa ディレクトリ以下の内容はアーカイブから除外されますが、/aaa/bbb/ccc の内容はアーカイブに含まれます。


# flarcreate -n archive5 -X exclude -f include  archive5.flar

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のように入力します。除外されたディレクトリ (/aaa) であっても、コピーされたファイル (/aaa/bbb/ccc) が下位に存在する場合、そのディレクトリも表示されていますが、実際にアーカイブに含まれているのはコピーされたファイル ( /aaa/bbb/ccc) だけです。


# flar info -l archive5.flar
aaa
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
aaa/bbb
ggg


例 3–12 アーカイブから除外するファイルとディレクトリをリストで指定し、アーカイブに含めるディレクトリを直接指定してアーカイブを作成する

オプション -x-y-X、および -f は組み合わせて使用できます。この例では、オプション -X および -y が組み合わせて使用されています。アーカイブの名前は archive5 です。このアーカイブは、マスターシステムからコピーされますが、完全な複製ではありません。

exclude ファイルには、次のリストが含まれています。


/aaa

-y オプションにより、ディレクトリ /aaa/bbb/ccc がアーカイブに含まれます。次のコマンドにより、アーカイブが生成されます。


# flarcreate -n archive5 -X exclude -y /aaa/bbb/ccc  archive5.flar

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のように入力します。除外されたディレクトリ (/aaa) であっても、コピーされたファイル (/aaa/bbb/ccc) が下位に存在する場合、そのディレクトリも表示されていますが、実際にアーカイブに含まれているのはコピーされたファイル ( /aaa/bbb/ccc) だけです。


# flar info -l archive5.flar
aaa
aaa/bbb
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
ggg


例 3–13 -z オプションを使用し、除外するファイルとディレクトリおよび含めるファイルとディレクトリをリストで指定して、アーカイブを作成する

この例では、アーカイブの名前は archive3 です。これは、マスターシステムからコピーされますが、同一のコピーではありません。選択するファイルおよびディレクトリが、filter1 ファイルに含まれます。ファイル内では、ディレクトリにプラス記号 (+) またはマイナス (-) 記号が付けられ、アーカイブから除外するかアーカイブに含めるかが示されます。この例では、ディレクトリ /aaa に除外されることを示すマイナス記号が、サブディレクトリ /aaa/bbb/ccc にアーカイブに含めることを示すプラス記号が付けられています。filter1 ファイルには、次のリストが含まれています。


- /aaa
+ /aaa/bbb/ccc

次のコマンドにより、アーカイブが生成されます。


# flarcreate -n archive3 -z filter1 archive3.flar 

アーカイブのファイル構造を確認するには、次のコマンドを入力します。除外されたディレクトリ (/aaa) であっても、コピーされたファイル (/aaa/bbb/ccc) が下位に存在する場合、そのディレクトリも表示されていますが、実際にアーカイブに含まれているのはコピーされたファイル ( /aaa/bbb/ccc) だけです。


# flar info -l archive3.flar
aaa
aaa/bbb
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
ggg