UFS ファイルシステムの場合、システムをアップグレードするには、3 つの方法があります。Solaris Live Upgrade、Solaris インストールプログラム、およびカスタム JumpStart です。
ZFS ルートプールの場合は、Solaris Live Upgrade を使ってアップグレードします。ZFS のアップグレードについては、『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 12 章「ZFS の Solaris Live Upgrade (計画)」を参照してください。
次の表に、特定の条件下でシステムをアップグレードする際の制限事項を示します。
問題 |
説明 |
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ZFS ルートプールの場合の、ほかのアップグレード制限事項 |
ZFS ルートプールのアップグレードは、Solaris Live Upgrade を使ってしか行えません。要件と制限事項については、『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 12 章「ZFS の Solaris Live Upgrade (計画)」を参照してください。 |
別のソフトウェアグループへのアップグレード |
システムのソフトウェアグループを、アップグレード時に別のソフトウェアグループに変更することはできません。たとえば、システムにエンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループがインストールされている場合には、開発者システムサポートソフトウェアグループにアップグレードするオプションはありません。ただし、アップグレード中に、インストール済みのソフトウェアグループに属していないソフトウェアをシステムに追加することはできます。 |
非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレード |
Solaris インストールプログラムである Solaris Live Upgrade または JumpStart を使用して、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。次の制限が適用されます。
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Veritas ファイルシステムでのアップグレード |
Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムでは、次のような条件で Veritas VxVM ファイルシステムを使用している場合、システムをアップグレードする機会が与えられません。
Veritas VxVM が構成されている場合にアップグレードを行うには、次のいずれかの方法を使用します。
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Solaris インストールプログラムによる標準の対話式アップグレードか、カスタム JumpStart インストールによる自動的なアップグレードを実行できます。Solaris Live Upgrade を使用すると、稼働中のシステムをアップグレードできます。
アップグレードプログラム |
説明 |
詳細 |
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Solaris Live Upgrade |
現在稼働中のシステムのコピーを作成することができます。このコピーはアップグレード可能で、リブートすると、アップグレードしたコピーが稼働システムになります。Solaris Live Upgrade を使用すると、Solaris OS のアップグレードに必要なシステム停止時間を短縮できます。また、Solaris Live Upgrade では、アップグレードに関連する問題も回避できます。たとえば、アップグレード中に電源障害が発生すると、アップグレードを回復することができなくなります。しかし、Solaris Live Upgrade では、現在実行中のシステムではなく、コピーをアップグレードするので、この問題は起こりません。 |
Solaris Live Upgrade を使用する際のディスク容量割り当てを計画するには、『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の「Solaris Live Upgrade の要件」を参照してください。 |
Solaris インストールプログラム |
対話式 GUI のガイドに従ってアップグレードを実行できます。 |
『Solaris 10 10/08 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによる UFS ファイルシステムのインストール (作業)」 |
カスタム JumpStart プログラム |
自動アップグレードを行うことができます。プロファイルファイルを使用し、必要に応じてプリインストールスクリプトやポストインストールスクリプトも使用して、必要な情報を指定します。アップグレード用にカスタム JumpStart プロファイルを作成するときは、install_type upgrade を指定します。さらに、実際にアップグレードを行う前に、システムの現在のディスク構成およびシステムに現在インストールされているソフトウェアに対して、カスタム JumpStart プロファイルが目的どおりのことを実行しようとしているかを確認する必要があります。アップグレードしようとしているシステム上で、pfinstall - D コマンドを実行して、プロファイルをテストします。ディスク構成ファイルを使用してアップグレード用プロファイルをテストすることはできません。 |
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Solaris フラッシュのインストール機能では、マスターシステムからインストール全体のコピーを作成し、これを多数のクローンシステムに複製できます。このコピーは Solaris フラッシュアーカイブと呼ばれます。アーカイブは、どのインストールプログラムを使用してもインストールできます。
非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。
アーカイブが非大域ゾーンに作成された場合
アーカイブが、非大域ゾーンがインストールされている大域ゾーンに作成された場合
また、ZFS ルートプールのアーカイブを作成することや、ZFS ルートプールにアーカイブをインストールすることもできません。
Solaris フラッシュアーカイブを作成する際、デフォルトのコピー方法として cpio ユーティリティーが使用されます。個別のファイルのサイズを、4G バイトより大きくすることはできません。大規模な個別ファイルが存在する場合、flarcreate コマンドに -L pax オプションを指定すると、pax ユーティリティーにより、個別ファイルのサイズ制限なしでアーカイブが作成されます。個別のファイルサイズを 4G バイトより大きくできます。
アーカイブのインストールについては、次の表を参照してください。
インストールプログラム |
参照先 |
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Solaris Live Upgrade |
『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の「ブート環境への Solaris フラッシュアーカイブのインストール」 |
カスタム JumpStart | |
Solaris 対話式インストール |
『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の第 4 章「Solaris フラッシュアーカイブのインストールと管理 (作業)」 |
WANboot |
『Solaris 10 10/08 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 13 章「WAN ブートによるインストール (作業)」 |
Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションとカスタム JumpStart プログラムの upgrade キーワードはどちらも、ディスク容量の再配置機能を提供します。この再配置により、ディスクスライスのサイズが自動的に変更されます。アップグレードするのに十分な容量が現在のファイルシステムにない場合、ディスク容量を割り当て直すことができます。たとえば、アップグレードに伴ってファイルシステムの容量を増やす必要があるのは、次のような場合です。
新しいリリースで、システムに現在インストールされている Solaris ソフトウェアグループに新たにソフトウェアが追加されている。特定のソフトウェアグループに含められる新しいソフトウェアは、インストールの対象となるようにアップグレード時に自動的に選択されます。
新しいリリースに、システム上の既存のソフトウェアよりもサイズが大きいソフトウェアが存在する。
自動配置機能を使用すると、ファイルシステムに必要な容量を確保するようにディスク容量の再配置が行われます。自動配置機能では、デフォルトの制約にもとづいて容量の再配置が試みられます。このため、この機能によって容量の再配置が行われない場合は、ファイルシステムの制約を変更する必要があります。
自動配置機能には、ファイルシステムの容量を増やす能力はありません。自動配置機能では、次の処理によって容量の再配置が行われます。
変更の必要なファイルシステム上の必須ファイルをバックアップする。
ファイルシステムの変更にもとづいてディスクパーティションを再分割する。
アップグレードの前にバックアップファイルを復元する。
Solaris インストールプログラムの自動配置機能が、ディスク容量をどのように再配置するかを決定できない場合は、カスタム JumpStart プログラムを使用してアップグレードを行う必要があります。
カスタム JumpStart によるアップグレードでアップグレード用プロファイルを作成する際に、ディスク容量が問題になることがあります。アップグレードするのに十分なディスク容量が現在のファイルシステムにない場合は、backup_media キーワードと layout_constraint キーワードを使用してディスク容量を再配置することができます。プロファイル内での backup_media および layout_constraint キーワードの使用例については、『Solaris 10 10/08 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「プロファイルの例」を参照してください。
最初の Solaris 10 3/05 リリースに続く次のいずれかのリリースにアップグレードする場合に、パッチアナライザはシステムの解析を実行します。
Solaris 10 1/06 リリース
Solaris 10 6/06 リリース
すでに Solaris OS を実行していて、個別のパッチをインストール済みの場合、以降の Solaris 10 リリースにアップグレードしたときの動作は次のとおりです。
上記のリリースの 1 つでその一部として提供されているすべてのパッチが、システムに再び適用されます。これらのパッチはバックアウトできません。
システムにすでにインストールされていたパッチのうち、上記のリリースの 1 つに含まれていないものは、すべて削除されます。
パッチアナライザを使用すると、削除されるパッチがどれであるかを判断できます。パッチアナライザの詳しい使用方法については、『Solaris 10 10/08 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の付録 C「アップグレード時のパッチアナライザの使用 (作業)」を参照してください。
Solaris OS のアップグレードを行う前に、既存のファイルシステムのバックアップを行うことを強くお勧めします。ファイルシステムをテープなどのリムーバブルメディアにコピーすれば、データの損失や損傷、破壊などを防止できます。
システムのバックアップを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 23 章「UFS ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)」を参照してください。
非大域ゾーンがインストールされている場合にシステムのバックアップを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 26 章「Solaris のゾーン管理 (概要)」を参照してください。
以前のリリースでは、再起動メカニズムによって電力損失などの問題が発生したあともアップグレードを続行できました。Solaris 10 10/08 リリース以降、再起動メカニズムは信頼できなくなりました。問題が発生した場合は、アップグレードが再起動されないことがあります。