Solaris 10 OS のインストール時またはインストール後に発生するバグ情報について説明します。
ローカライズされた Solaris インストーラは、常に EUC または ISO8859 ロケールで実行されます。このため、インストールログは EUC または ISO8859 エンコーディングで作成されます。
回避方法: 端末を介してローカライズされた CLI (コマンド行インタフェース) インストールを実行している間は、端末のロケールを EUC または ISO8859 ロケールにする必要があります。
Solaris 10 5/09 リリースから WAN ブートイメージをインストールするときに、インストールが失敗します。次のエラーメッセージが表示されます。
boot_file=/wanboot/wanboot.u-137111-04 root_file=/miniroot/miniroot.s10-1008 |
回避方法: インストールを続行するには、Solaris 10 5/09 ミニルートイメージにパッチを適用する必要があります。ネットワークインストールミニルートイメージにパッチを適用するには、次の手順を実行します。
次の手順では、ネットワーク上に Solaris 最新リリースが実行されているシステムがあり、そのシステムにネットワークを経由してアクセスできると仮定しています。
Solaris 最新リリースが実行されているシステム上で、スーパーユーザーとしてログインするか、同等の役割になります。
作成したインストールイメージの Tools ディレクトリに移動します。
# cd install-server-path/install-dir-path/Solaris_10/Tools |
たとえば /net/installserver-1 のように、ネットワーク上のインストールサーバーシステムへのパスを指定します。
新しいインストールイメージを作成し、そのイメージを Solaris 最新リリースが実行されているシステム上に置きます。
# ./setup_install_server remote_install_dir_path |
新しいインストールイメージを作成する Solaris 最新リリース上のパスを指定します。
このコマンドにより、Solaris 最新リリース上に新しいインストールイメージが作成されます。このイメージにパッチを適用するには、このイメージを Solaris 最新リリースが実行されているシステム上に一時的に置きます。
Solaris 最新リリース上で、ネットワークインストールのブートアーカイブを展開します。
# /boot/solaris/bin/root_archive unpackmedia remote_install_dir_path \ destination_dir |
Solaris 最新リリース上のネットワークインストールイメージへのパスを指定します。
展開されたブートアーカイブを含むディレクトリのパスを指定します。
Solaris 最新リリース上で、展開したブートアーカイブにパッチを適用します。
# patchadd -C destination_dir path-to-patch/patch-id |
たとえば /var/sadm/spool のように、追加するパッチのパスを指定します。
適用するパッチ ID を指定します。
patchadd -M コマンドを使用すると、複数のパッチを指定できます。詳細については、patchadd(1M) のマニュアルページを参照してください。
patchadd -C を使用する前には必ず、パッチの README を読むか、ご購入先におたずねください。
Solaris 最新リリース上で、ブートアーカイブを作成します。
# /boot/solaris/bin/root_archive packmedia remote_install_dir_path \ destination_dir |
パッチを適用したアーカイブをインストールサーバー上のインストールイメージにコピーします。
# cd remote_install_dir_path # find boot Solaris_10/Tools/Boot | cpio -pdum \ install-server-path/install_dir_path |
Solaris 10 10/08 より前のリリースの Solaris Flash アーカイブをインストールしようとすると、アーカイブのインストールに失敗します。Solaris 10 10/08 以降のリリースでは、Solaris 10 10/08 以降のアーカイブであればインストールできます。 次のエラーメッセージが表示されます。
bootadm: biodev command failed for disk: /dev/dsk/<c0t2d0s0>. bootadm: 1s_bootdisk(): cannot determine BIOS disk ID "hd?" for disk: /dev/dsk/<c0t2d0s0> bootamd: get_grubroot(): cannot get (hd?, ?,?) for menu. menu not on bootdisk: /dev/rdsk/<c0t2d0s0> |
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
Solaris 10 10/08 以降のリリースの Solaris Flash アーカイブをインストールします。
以前のリリースの Solaris Flash アーカイブをインストールする必要がある場合は、そのリリースからブートし、アーカイブを展開します。
次のコマンドを使用してシステムをブートしようとすると、インストールに失敗します。
# boot -F wanboot -vV -o prompt |
その結果、システムパニックが発生します。次のエラーメッセージが表示されます。
wanboot: panic - boot: can't alloc ramdisk memory |
この問題は、Sun4u と Sun4v の両プラットフォームタイプで発生します。この問題は、Solaris 10 10/08 リリースで起こりました。
回避方法: wanboot プログラムを使用してシステムをブートしないでください。代わりに、インストールメディアから直接システムをブートしてください。
カスタム JumpStart によるインストール中に、th_TH.ISO8859-11、th_TH.TIS620、ko_KR.EUC、ko_KR.UTF-8、zh_TW.EUC、zh_CN.EUC、zh_CN.GBK、zh_CN.UTF-8 などの一部のアジア語ロケールを使用できません。system_locale キーワードを使用してロケールを sysidcfg ファイル内に設定しているときに、次のエラーメッセージが表示されます。
xx_xx.xxxxx is not a valid system locale |
JumpStart によるインストールが停止され、対話式インストールが開始します。
回避方法: 長いロケール名ではなく、短めのロケール名 (th_TH、ko、ko.UTF-8、zh_TW、zh、zh.GBK、zh.UTF-8 など) を使用します。
Solaris Trusted Extensions を Solaris 10 11/06 または Solaris 10 8/07 リリースから Solaris 10 10/08 リリースまたは最新の Solaris 10 5/09 リリースにアップグレードする間に、Solaris Trusted Extensions の prodreg エントリが削除されません。エラーメッセージは表示されません。
回避方法: Solaris Trusted Extensions を最新のリリースにアップグレードしたあとで、次のように手動で prodreg エントリを削除してください。
# prodreg unregister -f -r -u "Solaris Trusted Extensions" -i 1 |
Solaris 10 5/09 リリースに含まれている NVidia SATA コントローラ MCP55 および CK804 チップセット用のドライバで ATAPI CD/DVD デバイスがサポートされません。
SATA CD/DVD デバイスを使用したシステムのインストールまたはアップグレード中に、Solaris インストーラが起動し、機能しているように見えますが、次のエラーメッセージを表示して失敗します。
ERROR: The disc you inserted is not a Solaris OS CD/DVD |
または
There were problems loading the media from /cdrom |
通常のシステムオペレーション中に、SATA CD/DVD ドライブが設定されず、使用できません。
回避方法: USB CD/DVD を使用します。
Solaris のアップグレード中、削除されるパッチを確認するために「Detailed Analysis」を選択するとパッチがパネルに表示されますが、このパネルはスクロールできません。削除されるパッチの完全なリストは表示できません。
回避方法: analyze_patches スクリプトを手動で実行します。
# cd <cdrom>/Solaris_10/Misc # ./analyze_patches -R rootdir -N netdir -D databasedir |
コマンドのオプションは次のとおりです。
rootdir は、インストールされたシステムのルートです。デフォルトのルートディレクトリは / です。
netdir は、インストールする OS イメージのルートへのパスです。デフォルトのパスは /cdrom/cdrom0 です。netdir は、Solaris_10_606 ディレクトリを含んでいるディレクトリへのパスです。NFS マウントポイントから patch_analyzer を実行する場合は、このオプションを使用する必要があります。
OS イメージ内の /Misc ディレクトリ以外のディレクトリからスクリプトを呼び出す場合、プログラムはパッチ解析に使用するデータベースを見つけることができません。-D オプションを使用して、データベースへのパスを指定してください。このデータベースは OS イメージの Solaris_10_606/Misc/database ディレクトリにありますが、これが見つからないとスクリプトは正しく動作しません。
Solaris シリアルインストールの間、システムにはキーボードが接続されていませんが、キー配列の選択を求めるプロンプトが表示されます。
回避方法: キー配列を選択します。キーボードを接続したときに、必要に応じて kbd コマンドを -s オプションとともに使用すれば、キー配列を変更できます。
driver.conf ファイルが parent 属性を使って変更されている場合、NULL ポインタ間接参照によって Solaris OS にパニックが発生することがあります。次のエラーメッセージが表示されます。
System panic: BAD TRAP: type=31 rp=2a101d31200 addr=8 mmu_fsr=0 occurred in module "pcie" due to a NULL pointer dereference |
回避方法: PCI Express (PCIe) ベースの SPARC システムに Solaris 10 5/09 OS をインストールする場合は、まず driver.conf ファイルが変更されているかどうかを次の手順で確認します。
/kernel/drv ディレクトリに移動します。
driver.conf ファイルに parent 属性が設定されているかどうかを確認します。parent 属性が設定されている場合で、親の最後のノードに pci というワードが含まれているときは、その行をコメントにします。必ずプロパティー全体をコメントにしてください。次に例を示します。
# name="ACME,simple" parent="/pci@7c0/pci@0/pci@9" # unit-address="3,1" debug-mode=12; name="ACME,example" parent="pseudo" instance=1; name="ACME,scsi" parent="/pci@7c0/pci@0/pci@9/scsi" unit-address="3,1" debug-mode=12; |
次のディレクトリにある driver.conf ファイルに対して、手順 2 を繰り返します。
/usr/kernel/drv
/platform/`uname -i`/drv
/platform/`uname -m`/drv
Solaris 10 5/09 OS をインストールします。
パッチ 127747-01 をインストールします。
手順 1 および 3 に示されたディレクトリに移動します。手順 2 でコメントにした driver.conf ファイル内の行をすべてコメント解除します。
ディスクに Linux がインストールされている場合、別のパーティションに Solaris OS をインストールすると、Linux パーティションは GRUB メニューに表示されません。エラーメッセージは表示されません。
回避方法: GRUB メニューの menu.lst ファイルを編集して、Linux を GRUB メニューに追加します。次の手順を実行します。
Solaris OS をブートします。
/boot/grub/menu.lst にある menu.lst ファイルを編集します。詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。
512M バイトのシステム上でのインストールは、次の条件のときにメモリーが不足してハングアップすることがあります。
OS のネットワークインストールイメージを使用してインストールする。
Solaris インストールプログラムが次のウィンドウ環境である。
グラフィカルユーザーインタフェース (GUI)。
-text オプションまたは下記のメニューの「3. Solaris Interactive Text (Desktop session)」。
利用可能なメモリーが使い果たされると、GUI インストール処理は速度が低下し、最終的に失敗します。ウィンドウ環境への表示が正しく行われません。
回避方法:
この問題を回避するには、最初にインストールを開始するときに非ウィンドウ環境を選択してください。インストールメディアから起動しているときに、次のメニューが表示されます。
----------- 1. Solaris Interactive (default) 2. Custom JumpStart 3. Solaris Interactive Text (Desktop session) 4. Solaris Interactive Text (Console session) 5. Apply driver updates 6. Single user shell Enter the number of your choice. ----------- |
このとき、「4. Solaris Interactive Text (Console session)」を選択します。この非ウィンドウ環境ではテキストのみのインストールが開始され、大量のメモリーを消費するプロセスは発生しません。
x86 ベースのシステムに Solaris 10 5/09 OS をインストールすると、次のエラーメッセージが表示されます。
/sbin/dhcpinfo: primary interface requested but no primary interface is set |
このエラーはインストールには影響がなく、インストールは成功します。
回避方法: このエラーメッセージは無視してください。
CD メディアを使用して Solaris インストールプログラムを実行しているときに、問題が発生することがあります。Solaris 10 5/09 SOFTWARE CD - 4 から Solaris ソフトウェアをインストールしたあとに、次のプロンプトが表示されます。
Press Reboot now to continue. |
「Reboot」を押しても、システムが応答しない場合があります。インストールは成功します。ただし、このエラーにより、インストールプログラムが正常に終了しません。つまり、標準のインストール後クリーンアップとシステムリブートを実行することができません。
次の例のようなエラーメッセージが、/tmp/disk0_install.log ファイルに記録されます。
Exception in thread "Thread-70" java.lang.IndexOutOfBoundsException: Index: 6, Size: 5 at java.util.ArrayList.add(ArrayList.java:369) at com.sun.wizards.core.WizardTreeManager. actualExitButtonPressed(WizardTreeManager.java:1499) at com.sun.wizards.core.WizardTreeManager. exitButtonPressed(WizardTreeManager.java:1486) at com.sun.wizards.core.AutonextController. run(AutonextController.java:736) at java.lang.Thread.run(Thread.java:595) |
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
回避方法 1: 次の手順を実行します。
システムをシャットダウンしてから、電源を再投入します。
システムが起動したあとに CD を要求されたら、適切な CD を挿入します。CD が挿入されても、追加のソフトウェアはインストールされません。すぐに、通常のリブートが実行されます。
回避方法 2: 次の手順を実行します。
端末ウィンドウを開きます。
スーパーユーザーとしてログインします。
.instsuccess ファイルへのアクセスを作成または変更します。
# touch /tmp/.instsuccess |
Java プロセスを停止します。
# pkill -9 java |
CD メディアが要求されないまま、システムがリブートします。
カスタム JumpStart インストール方式を使用して x86 ベースのシステムへのインストールを行う場合は、スライス 2 をオーバーラップスライスとして明示的に構成すると、エラーが発生します。インストールの完了後に、システムが正常にリブートされません。次のエラーメッセージが表示されます。
Cannot find Solaris partition |
オーバーラップスライス 2 (c0t0d0s2 など) は、シリンダ 0 ではなくシリンダ 1 から始まるように設定されるので、この失敗が発生します。
回避方法: カスタム JumpStart プロファイルで、スライス 2 をオーバーラップスライスとして構成する filesys キーワードエントリを削除します。たとえば、次のようなキーワードエントリを削除します。
filesys c0t0d0s2 all overlap |
エントリを削除したあと、カスタム JumpStart インストールを実行します。