この節では、Solaris 10 3/05 リリースの次のような新しいインストール機能について説明します。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris OS のインストールにいくつかの変更が加えられ、より簡単で統一された方法でインストールできます。
変更内容は次のとおりです。
今回のリリースには、1 枚のインストール DVD と数枚のインストール CD が付いています。Solaris Operating System DVD には、すべてのインストール CD の内容が含まれています。
Solaris Software 1 – ブート可能な CD は、この CD だけです。この CD から、Solaris インストール用グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) またはコンソールベースのインストールを利用できます。また、どちらのインストールを利用する場合でも、選択したソフトウェア製品だけをインストールすることもできます。
その他の Solaris Operating System CD – これらの CD には次のものが含まれます。
Solaris パッケージ (必要に応じてインストールします)
サポートまたは非サポートのソフトウェアが入っている ExtraValue ソフトウェア
インストーラ
ローカライズされたインタフェースソフトウェアおよびマニュアル
Solaris Installation CD はなくなりました。
CD または DVD のどちらでインストールする場合も、GUI インストールがデフォルトです (十分なメモリーがある場合)。ただし、text ブートオプションを使用してコンソールベースのインストールを指定することもできます。
インストール手順が単純化され、ブート時に言語サポートを選択し、ロケールを後で選択できます。
GUI またはコンソールを使用しない Solaris カスタム JumpStart インストール方式には変更はありません。
OS をインストールするには、Solaris Software - 1 CD または Solaris Operating System DVD を挿入してから、次のいずれかのコマンドを入力します。
デフォルトの GUI インストールの場合 (システムメモリーが十分にある場合) は、boot cdrom と入力します。
コンソールベースのインストールの場合は、boot cdrom - text と入力します。
新しい text ブートオプションのある CD または DVD メディアを使用して Solaris OS をインストールする方法について | |
CD メディアによるインストールサーバーの設定方法の変更について |
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、ソフトウェアのインストールに GUI を使用するか、ウィンドウ表示環境を使用するか、またはウィンドウ表示環境を使用しないかを選択できます。十分なメモリーがある場合は、デフォルトで GUI が表示されます。メモリー不足により GUI を表示できない場合はデフォルトで別の環境が表示されます。ブートオプション nowin または text を使用すると、デフォルト動作を変更できます。ただし、システムのメモリー量による制限や、リモートでインストールする場合の制限があります。また、Solaris インストールプログラムがビデオアダプタを検出できなかった場合、プログラムは自動的にコンソールベースの環境で表示されます。
具体的なメモリー要件については、「システム要件と推奨事項」を参照してください。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、カスタム JumpStart インストール方式を使用して Solaris OS をインストールおよびアップグレードした場合、新しくカスタマイズすることで次のことが可能になります。
Solaris フラッシュインストールと追加パッケージ
カスタム JumpStart プロファイルの package キーワードが拡張され、Solaris フラッシュアーカイブを追加パッケージとともにインストールできるようになりました。たとえば、2 台のマシンに同じ基本アーカイブをインストールし、それぞれのマシンに別のパッケージを追加することができます。これらのパッケージは、Solaris OS ディストリビューションに含まれている必要はありません。
Solaris ディストリビューションに含まれない追加パッケージのインストール
package キーワードが拡張され、Solaris ディストリビューションに含まれないパッケージもインストールできるようになりました。追加パッケージをインストールするために、インストール後スクリプトを作成する必要がなくなりました。
Solaris OS パッチをインストールする機能
カスタム JumpStart プロファイルの新しい patch キーワードを使用して、Solaris OS のパッチをインストールできます。この機能を利用して、パッチファイルに指定されているパッチをインストールできます。
詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムを使用してインストール時に複数のインタフェースを構成できます。これらのインタフェースは、システムの sysidcfg ファイルに事前に構成できます。また、インストール時に構成することもできます。詳細については、次のドキュメントを参照してください。
以前の Solaris リリースでは、Solaris ソフトウェアの 32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントが、個別のパッケージとして配布されていました。Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、パッケージが簡略化され、32 ビットコンポーネントと 64 ビットコンポーネントのほとんどが 1 つのパッケージで配布されています。この統合されたパッケージには元の 32 ビットパッケージの名前が使用され、64 ビットパッケージは配布されなくなりました。
64 ビットパッケージがなくなったことで、インストールが簡素化され、パフォーマンスも向上します。
パッケージ数が減ったことで、パッケージのリストが含まれるカスタム JumpStart スクリプトが簡素化されます
ソフトウェア機能を 1 つのパッケージにまとめるだけなので、パッケージシステムも簡素化されます
インストールするパッケージ数が少ないため、インストール時間が短縮されます
64 ビットパッケージの名前は、次の規則に基づいて変更されます。
64 ビットパッケージに対応する 32 ビットパッケージがある場合には、64 ビットパッケージには 32 ビットパッケージの名前が付きます。たとえば、/usr/lib/sparcv9/libc.so.1 などの 64 ビットライブラリは、以前は SUNWcslx パッケージで配布されていましたが、今後は SUNWcsl パッケージとして配布されます。64 ビットの SUNWcslx パッケージは配布されなくなります。
対応する 32 ビットパッケージがない場合は、名前から接尾辞「x」が削除されます。たとえば、SUNW1394x は SUNW1394 になります。
この変更により、64 ビットパッケージへの参照を削除するために、カスタム JumpStart スクリプトなどのパッケージインストールスクリプトの修正が必要になる場合があります。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris オペレーティングシステムをインストールする場合に、JumpStart インストール方式を使用して空のブート環境を作成できます。空のブート環境には、必要なときに備えて Solaris フラッシュアーカイブを格納しておくことができます。
詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の第 8 章「カスタム JumpStart (リファレンス)」を参照してください。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、インストール時に限定ネットワークソフトウェアグループ (SUNWCrnet) を選択または指定することにより、有効なネットワークサービスが少なくても、よりセキュリティー保護されたシステムを構築できます。限定ネットワークソフトウェアグループでは、システム管理ユーティリティーとマルチユーザーのテキストベースコンソールが利用できます。SUNWCrnet は、ネットワークインタフェースを有効にします。インストール時に、ソフトウェアパッケージを追加したり、必要に応じてネットワークサービスを使用可能にすることによって、システムの構成をカスタマイズすることができます。
詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムにより、Virtual Table of Contents (VTOC) から既存のスライスをロードできます。インストーラのデフォルトのディスクレイアウトを使用するのではなく、インストール時にシステムの既存のディスクスライステーブルをそのまま使用できるようになりました。
Solaris 10 3/05 以降のリリースでは、Solaris インストールプログラムの新機能として、ブートディスクパーティションレイアウトが採用されています。ブートディスクパーティションのデフォルトのレイアウトは、Sun x86 ベースのシステムのサービスパーティションと調和します。このインストールプログラムを使用すれば、既存のサービスパーティションをそのまま使用できます。
デフォルトのブートディスクレイアウトには、次のパーティションが含まれます。
1 番目のパーティション – サービスパーティション (システムの既存サイズ)
2 番目のパーティション – x86 ブートパーティション (約 11M バイト)
3 番目のパーティション – Solaris オペレーティングシステムパーティション (ブートディスクの残りの領域)
このデフォルトのレイアウトを使用する場合は、Solaris インストールプログラムからブートディスクレイアウトの選択を要求されたときに、「デフォルト」を選択します。
サービスパーティションが現在作成されていないシステムに Solaris OS x86 ベースのシステムをインストールすると、Solaris インストールプログラムは新しいサービスパーティションを作成しません。このシステムにサービスパーティションを作成するには、最初にシステムの診断 CD を使用してサービスパーティションを作成してください。サービスパーティションを作成してから、Solaris オペレーティングシステムをインストールします。
サービスパーティションの作成方法については、お手元のハードウェアのマニュアルを参照してください。
詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』を参照してください。