Solaris 10 10/09 インストールガイド(インストールとアップグレードの計画)

アップグレード用のチェックリスト

Solaris OS のアップグレードに必要な情報を収集する際に、次のチェックリストを使用します。ただし、チェックリストに記載されているすべての情報を収集する必要はありません。使用するシステムに関連する情報だけを収集してください。アップグレードをネットワークを使用して行う場合は、インストールプログラムが現在のシステム構成から情報を取得します。

ホスト名や IP アドレスのような、システムの基本的な識別情報は変更できません。インストールプログラムによってシステムの基本的な識別情報を入力するように求められる場合がありますが、元の値を入力する必要があります。Solaris インストールプログラム を使用してアップグレードを行う場合は、値を変更するとアップグレードが失敗します。

表 5–2 アップグレード用のチェックリスト

アップグレード用の情報 

説明/例 

答 – アスタリスク (*) はデフォルトを示します 

ネットワーク接続 

このシステムはネットワークに接続されていますか。 

接続されている/接続されていない* 

DHCP 

このシステムでは、DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) を使ってネットワークインタフェースを構成しますか。 

DHCP はインストールに必要なネットワークパラメータを提供します。 

はい/いいえ* 

DHCP を使用しない場合は、ネットワークアドレスをメモします。 

IP アドレス 

DHCP を使用しない場合は、このシステムの IP アドレスを指定します。 

例: 172.31.255.255 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# ypmatch host-name hosts
 

サブネット 

DHCP を使用しない場合、このシステムはサブネットの一部ですか。 

「はい」の場合は、サブネットのネットマスクを指定します。 

例: 255.255.255.0 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# more /etc/netmasks
 

IPv6 

このマシンで IPv6 を使用可能にしますか。 

IPv6 は TCP/IP インターネットプロトコルの 1 つで、より強固なセキュリティーを追加し、インターネットアドレスを増やすことで、IP アドレスの指定を容易にします。 

はい/いいえ* 

ホスト名 

このシステムのホスト名。 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# uname -n
 

Kerberos 

このマシンに Kerberos セキュリティーを構成しますか。 

「はい」の場合は、次の情報を収集します。 

はい/いいえ* 

デフォルトのレルム: 

 

管理サーバー: 

 

一次 KDC: 

 

(省略可能) 追加 KDC:

 

Kerberos サービスは、ネットワーク経由でのセキュリティー保護されたトランザクションを提供するクライアントサーバーアーキテクチャーです。 

 

システムでネームサービスを使用する場合は、次の情報を指定します。 

ネームサービス 

このシステムではどのネームサービスを使用しますか。 

稼働中のシステムについてこの情報を調べるには、次のコマンドを入力します。 


# cat /etc/nsswitch.conf

ネームサービスの情報は 1 か所に保管されているので、ユーザー、マシン、およびアプリケーションはネットワーク上で相互に通信できます。たとえば、ホスト名とアドレスまたはユーザー名とパスワードなどの情報が保管されています。 

NIS+/NIS/DNS/ LDAP/使用しない 

 

ドメイン名 

システムが属するドメインの名前を指定します。 

インストール時に、デフォルトの NFSv4 ドメイン名を選択できます。あるいは、カスタムの NFSv4 ドメイン名を指定することもできます。 

 
 

NIS+ および NIS 

ネームサーバーを指定しますか、それともインストールプログラムにネームサーバーの検索を任せますか。 

ネームサーバーを指定する場合は、次の情報を指定します。 

指定/検索* 

サーバーのホスト名: 

 
  • NIS クライアントの場合、サーバーのホスト名を表示するには次のコマンドを入力します。


    # ypwhich
    
  • NIS+ クライアントの場合、サーバーのホスト名を表示するには次のコマンドを入力します。


    # nisping
    
 

サーバーの IP アドレス: 

 
  • NIS クライアントの場合、サーバーの IP アドレスを表示するには次のコマンドを入力します。


    # ypmatch nameserver-name hosts
    
  • NIS+ クライアントの場合、サーバーの IP アドレスを表示するには次のコマンドを入力します。


    # nismatch nameserver-name 
    hosts.org_dir
    

ネットワーク情報サービス (NIS) は、マシン名やアドレスなどのさまざまなネットワーク情報を 1 つの場所で管理することによって、ネットワーク管理を容易にするためのサービスです。 

 
 

DNS 

DNS サーバーの IP アドレスを指定します。DNS サーバーの IP アドレスを少なくとも 1 つ、最大 3 つまで指定します。 

 

サーバーの IP アドレス: 

 

サーバーの IP アドレスを表示するには、次のコマンドを入力します。 


# getent hosts dns
 

DNS 検索を行うときに検索するドメインのリストを入力できます。 

 

検索するドメインのリスト: 

 

ドメインネームシステム (DNS) は、インターネットが TCP/IP ネットワーク用に提供するネームサービスです。DNS は、ホスト名から IP アドレスに変換するサービスを提供します。数値表現の IP アドレスの代わりにマシン名を使用するので、通信が簡単になります。また、メール管理用のデータベースとしての働きもします。 

 
 

LDAP 

LDAP プロファイルに関する次の情報を指定します。 

 

プロファイル名: 

 

プロファイルサーバーのホスト名: 

 

LDAP プロファイルでプロキシ資格レベルを指定した場合、この情報を収集します。 

 

プロキシバインドの識別名: 

 

プロキシバインドのパスワード: 

 

LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) は、TCP/IP を使って動作するディレクトリを更新したり検索したりするときに使用される、比較的単純なプロトコルです。 

 

デフォルトルート 

デフォルトルート IP アドレスを指定しますか、それとも Solaris インストールプログラム に IP アドレスの検索を任せますか。

デフォルトルートは、2 つの物理ネットワーク間のトラフィック転送用のブリッジを提供します。IP アドレスは、ネットワーク上の各ホストを識別する一意の番号です。 

次のうちから選択できます。  

  • IP アドレスを指定できます。指定された IP アドレスを使用して /etc/defaultrouter ファイルが作成されます。システムをリブートすると、指定された IP アドレスがデフォルトルートになります。

  • Solaris インストールプログラムに IP アドレスを検出させることができます。ただし、システムは、ICMP ルーター発見プロトコルを使用して自らを通知するルーターの存在するサブネット上になければなりません。コマンド行インタフェースを使用している場合は、システムの起動時に IP アドレスが検出されます。

  • ルーターが存在しない場合、または今回はソフトウェアに IP アドレスを検出させない場合は、「なし」を選択します。リブート時に、ソフトウェアが自動的に IP アドレスの検出を試みます。

検出*/指定/なし 

時間帯 

デフォルトの時間帯をどのように指定しますか。 

地域*  

GMT との時差 

時間帯ファイル 

root パスワード 

システムのルートパスワードを指定します。 

 

デフォルトインストールまたはカスタムインストール 

デフォルトのインストールを実行しますか、それともインストールをカスタマイズしますか。 

  • デフォルトインストールを選択すると、ハードディスク全体がフォーマットされ、事前に選択されている一連のソフトウェアがインストールされます。

  • カスタムインストールを選択すると、ハードディスクの配置を変更したり、必要なソフトウェアを選択してインストールしたりできます。


注 –

テキストインストーラでは、「デフォルトインストール」か「カスタムインストール」かの選択は表示されません。デフォルトインストールを実行するには、テキストインストーラに表示されるデフォルト値をそのまま使用します。カスタムインストールを実行するには、テキストインストーラの画面で値を編集します。


デフォルトインストール*/カスタムインストール 

キーボード 

この機能は、次のリリースで新たに加わりました。 

  • Solaris 10 10/06 以降のリリース (SPARC の場合)

  • Solaris 10 8/07 以降のリリース (x86 の場合)

キーボードが自己識別型である場合は、インストール時にキーボードの言語および配列が自動的に設定されます。キーボードが自己識別型でない場合は、インストール時にユーザーがキーボード設定の配列を選択できるように、 サポートされているキー配列の一覧が sysidkdb ツールによって提供されます。

SPARC: 以前は、USB キーボードのインストール時の自己識別値を 1 としていました。そのため、自己識別型でないキーボードはすべて、インストール時に必ず米国英語 (U.S. English) キー配列に設定されていました。

詳細は、『Solaris 10 10/09 インストールガイド (ネットワークインストール)』「sysidcfg ファイルによる事前設定」を参照してください。

 

ロケール 

どの地域のサポートをインストールしますか。 


注 –

ロケールは、NIS または NIS+ によって事前に設定できます。詳細は、『Solaris 10 10/09 インストールガイド (ネットワークインストール)』「sysidcfg ファイルキーワード」を参照してください。


 

SPARC: 電源管理 (電源管理システムをサポートする SPARC システムの場合のみ) 

電源管理システムを使用しますか。 


注 –

システムに Energy Star バージョン 3 以降がある場合、この情報の入力は求められません。


はい/いいえ 

自動的なリブートまたは CD/DVD 取り出し 

ソフトウェアをインストールした後に自動的にリブートしますか。 

ソフトウェアをインストールした後に CD/DVD を自動的に取り出しますか。 

はい*/いいえ 

はい*/いいえ 

ディスク容量の再割り当て 

インストールプログラムに、ディスク上のシステムを自動的に再配置させますか。 

「はい」の場合は、どのファイルシステムを自動配置しますか。 

例: //opt/var

「いいえ」の場合は、システム構成用の情報を指定する必要があります。 

はい/いいえ* 

tip ラインを介してインストールを行う場合の指示

ウィンドウ表示が横 80 桁、縦 24 行以上あるか確認します。詳細は、tip(1) のマニュアルページを参照してください。

tip ウィンドウの現在の大きさを調べるには、stty コマンドを使用します。詳細は、stty(1)のマニュアルページを参照してください。

 

Ethernet 接続の確認 

システムがネットワークに接続されている場合は、Ethernet コネクタまたはそれに類似したネットワークアダプタがシステムに装着されていることを確認します。 

 

Solaris Live Upgrade の使用 

 

Prestoserve ソフトウェアがシステムに存在するかの確認 

Prestoserve ソフトウェアを使用している場合、init 0 コマンドを使ってシステムをシャットダウンしてからアップグレードプロセスを開始すると、データが失われることがあります。シャットダウンについての説明は、Prestoserve の資料を参照してください。

 

必要なパッチの確認 

最新のパッチリストは http://sunsolve.sun.com から入手できます。

 

計画の章とほかの関連マニュアルの確認 

  • 計画の章全体または特定の節を、第 4 章システム要件、ガイドライン、およびアップグレード (計画)で確認します。

  • http://docs.sun.com の『Solaris 10 10/09 ご使用にあたって』やベンダーのリリースノートを参照して、使用するソフトウェアが新しい Solaris リリースでもサポートされていることを確認します。

  • 10 10/09 Sun ハードウェアマニュアル』を参照して、使用するハードウェアがサポートされていることを確認します。

  • システムに添付されている資料を参照して、使用するシステムやデバイスが Solaris リリースでサポートされていることを確認します。