Oracle Solaris 10 リリースのファイルシステムに関するバグ情報について説明します。
sendmail パッチ 142436–03 およびそのリビジョン 04 - 08 により、config/local_only プロパティーが true に変更されます。
$ svcprop -p config/local_only smtp:sendmail true |
この変更により、sendmail はローカルホストからの要求だけを受け付けるようになります。
回避方法: パッチ 142436–03 またはそのリビジョン 04 - 08 を追加したあとで、sendmail がほかのホストからの要求を受け付けるように、次の変更を加えます。
config/local_only プロパティーを false にリセットします。
# svccfg -s svc:/network/smtp:sendmail setprop config/local_only=false |
sendmail サービスの再表示と再起動を行います。
# svcadm refresh smtp:sendmail # svcadm restart smtp:sendmail |
mdb コマンドを -K オプションを指定して実行し、$q を使って終了してから sync コマンドを実行すると、システムがハングアップすることがあります。
OpenBoot の ok プロンプトで sync コマンドを実行しても、同じ問題が発生する場合があります。
次のエラーメッセージが表示されることがあります。
panic dump timeout ... dump aborted |
回避方法: /etc/system ファイルに dump_plat_mincpu=0 を追加します。または、mdb -K ... $q コマンドの代わりに reboot -d コマンドを使用します。
次のコマンドを使用してシステムを 32 ビットモードでブートすると、正しく書式設定された GRUB メニューエントリを bootadm コマンドで作成できません。
reboot kernel/unix
reboot -- -r
その結果、システムは 64 ビットモードでブートします。不正な menu.lst ファイルが次のように表示されることがあります。
findroot rootfs0 kernel /platform/i86pc/kernel/unix module /platform/i86pc/boot_archive |
前の例では、カーネル行にマルチブート情報が含まれていないため、正しくありません。エラーメッセージは表示されません。
回避方法: /boot/grub/menu.lst ファイルを手動で編集して、次の情報を追加します。
title Solaris 10 10/08 findroot rootfs0 kernel /platform/i86pc/multiboot kernel/unix module /platform/i86pc/boot_archive |
これらの変更を行なったあとで、システムを 32 ビットモードでブートします。
menu.lst ファイルに加えた変更は、システムをリブートしても持続します。
別の方法として、次の例に示すように、ブート時に GRUB メニューを編集して、kernel/unix ブート引数を追加することもできます。
grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot kernel/unix |
ブート時に GRUB メニューを編集して加えた変更は、システムをリブートすると無効になります。
詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「x86 システムのブート動作を変更する」を参照してください。
zpool attach コマンドを使用してディスクを ZFS ルートプールに追加すると、新たに追加したディスクに bootblock 情報がコピーされません。この問題は、初期インストールで作成される、ミラー化された ZFS ルートプールには影響しません。システムは、ミラー化ルートプール内の代替ディスクからブートしません。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
SPARC システムでは、代替ディスクデバイスを特定し、ブート情報をインストールします。次に例を示します。
# installboot -F zfs /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/zfs/bootblk /dev/rdsk/c0t1d0s0 |
x86 システムでは、代替ディスクデバイスを特定し、ブート情報をインストールします。次に例を示します。
# installgrub /boot/grub/stage1 /boot/grub/stage2 /dev/rdsk/c0t1d0s0 |
Intel マルチプロセッサシステムでのシステムのブート中に ata ドライバがタイムアウトになることがあります。これらのタイムアウトは、HBA コントローラが従来の ata ドライバにバインドされたドライブ上に、ルートデバイスが置かれている場合に発生します。これらのタイムアウトにより、システムのブート中に一時ハングアップ、深刻なハングアップ、またはパニック状態が発生して、次のようなコンソールメッセージが表示されます。
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: reset bus, target=0 lun=0 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: early timeout, target=0 lun=0 gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0): Error for command 'read sector' Error Level: Informational gda: [ID 107833 kern.notice] Sense Key: aborted command gda: [ID 107833 kern.notice] Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3 gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0): Error for command 'read sector' Error Level: Informational gda: [ID 107833 kern.notice] Sense Key: aborted command gda: [ID 107833 kern.notice] Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: abort request, target=0 lun=0 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: abort device, target=0 lun=0 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: reset target, target=0 lun=0 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: reset bus, target=0 lun=0 scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0): timeout: early timeout, target=0 lun=0 gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0): Error for command 'read sector' Error Level: Informational gda: [ID 107833 kern.notice] Sense Key: aborted command gda: [ID 107833 kern.notice] Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3 gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0): |
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
パフォーマンスの低下を防ぐためには、回避方法 5 が使用できるようになるまで、回避方法 3 または回避方法 4を一時的にのみ使用するようにしてください。
回避方法 1: BIOS の AHCI を有効にします (システムで使用できる場合)。この設定を有効にするには、Oracle Solaris OS を再インストールする必要があります。
回避方法 2: ata ドライバを使用しないコントローラ上のディスクに Oracle Solaris OS をインストールします。
回避方法 3: シングルプロセッサが有効になるように、BIOS 設定の MP を無効にします。
回避方法 4: シングルプロセッサが有効になるように、Oracle Solaris OS の MP を無効にします。GRUB (Grand Unified Bootloader) メニューから次の手順を実行します。
e と入力して、選択した エントリを編集します。
カーネルで始まる行に移動します。
e と入力して、GRUB 編集モードに切り替えます。
-kd をその行に追加します。
Enter キーを押して変更を受け入れます。
b と入力して、選択した エントリをブートします。
kbmd プロンプトで、次のコマンドを入力します。
use_mp/W 0 :c |
システムのブートを実行する場合は、手順 10 に進みます。そうでない場合は、Solaris 10 10/09 ソフトウェアをインストールします。
インストールの終わりに、システムをリブートします。手順 1 - 7 を繰り返します。
この変更を永続的なものにして、以降のブートで上記の手順を繰り返す必要がないようにするには、次の手順を実行します。
システムのブートが完了したら、スーパーユーザーになります。
/etc/system ファイルを開きます。
次の行を追加します。
set use_mp = 0 |
回避方法 5: マイクロコードの更新を無効にします。次のコマンドを入力します。
# mv /platform/i86pc/ucode /platform/i86pc/ucode.disabled |
マイクロコードの更新は、システムが起動したあとに手動で呼び出すことができます。
# ucodeadm -u /platform/i86pc/ucode.disabled/intel-ucode.txt |
`add fs サブコマンドで ZFS ファイルシステムをマウントするように非大域ゾーンを最初に構成して mountpoint=legacy を指定すると、そのあとでゾーンのインストールを行うときに失敗します。次のエラーメッセージが表示されます。
ERROR: No such file or directory: cannot mount </zones/path/root/usr/local> in non-global zone to install: the source block device or directory </path/local> cannot be accessed |
回避方法: 非大域ゾーンをインストールしてから、ZFS ファイルシステムへのアクセスを追加します。
ZFS は POSIX 準拠のファイルシステムとして設計されており、ほとんどの場合、ZFS は POSIX に準拠しています。ただし、次の 2 つの極端な状況では、ZFS は POSIX 準拠テストに適合しません。
ZFS ファイルシステム容量統計の更新。
100 パーセント満杯のファイルシステムによる既存のデータの変更。
関連する CR:
6362314
6362156
6361650
6343113
6343039
6742203
fdisk -E コマンドを使用して ZFS ストレージプールによって使用されているディスクを変更する場合、そのプールは使用不可になり、入出力エラーまたはシステムパニックを引き起こすことがあります。
回避方法:
ZFS ストレージプールによって使用されているディスクの変更に fdisk コマンドを使用しないでください。ZFS ストレージプールによって使用されているディスクにアクセスする必要がある場合は、format ユーティリティーを使用してください。一般に、ファイルシステムが使用中のディスクを変更するべきではありません。
Brightstor ARCserve Backup 製品に関する問題は次のとおりです。
UNIX (Solaris) 版 BrightStor ARCserve Backup (BAB) クライアントエージェントを使用して、ZFS ファイルのバックアップと復元を行うことができます。
ただし、ZFS の NFSv4 スタイル ACL はバックアップ時に維持されません。従来の UNIX ファイルのアクセス権と属性は維持されます。
回避方法: NFSv4 スタイル ACL を使用している ZFS ファイルを維持するには、tar コマンドに -p オプションを指定するか cpio コマンドに -P オプションを指定して、ZFS ファイルを 1 つのファイルに書き込みます。その後、この tar アーカイブまたは cpio アーカイブを BAB でバックアップします。
embedded_su パッチのない Solaris 10 6/06 以前のリリースを実行するシステムに Solaris 10 10/09 リリースの SUNWzfsg パッケージを追加する場合、ZFS 管理アプリケーションウィザードは十分に機能しません。
embedded_su パッチのないシステム上で ZFS 管理アプリケーションを実行しようとすると、ZFS 構成を参照することしかできません。次のエラーメッセージが表示されます。
/usr/lib/embedded_su: not found |
回避方法:
embedded_su パッチ (119574-02) を、Solaris 10 6/06 より前のリリースを実行するシステムに追加します。
ターゲットに対して発生する (Oracle Solaris iSCSI ソフトウェアイニシエータを使用して接続される) ファイルシステムの入出力によってホストがパニック状態に陥った場合、入出力はターゲットデバイスのフラッシュまたはターゲットデバイスへの同期を実行できないことがあります。このフラッシュまたは同期の不能によってファイルシステムが破壊される場合があります。エラーメッセージは表示されません。
回避方法:
UFS などのジャーナリングファイルシステムを使用します。Oracle Solaris 10 以降では、UFS ロギングはデフォルトで使用可能になっています。UFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の「ファイルシステムの新機能」を参照してください。
すべての Oracle Solaris 10 アップデートで NFSv4 サーバーをアップグレードしたあと、プログラムで EACCES エラーが発生することがあります。さらに、ディレクトリが間違って空になっているように見えることもあります。
これらのエラーを回避するには、クライアントのファイルシステムをいったんマウント解除してから再マウントします。マウント解除がうまくいかない場合は、umount -f を使用して強制的にファイルシステムをマウント解除する必要があります。あるいは、クライアントをリブートしてもかまいません。
ネットワーク上のクライアントとサーバーに、以前の別々の Oracle Solaris 10 リリースがインストールされている場合、NFSv4 アクセス制御リスト (ACL) の関数が正しく動作しないことがあります。対象となる ACL 関数とその関数を使用するコマンド行ユーティリティーは次のとおりです。
acl()
facl()
getfacl
setfacl
これらの関数とユーティリティーについては、それぞれのマニュアルページを参照してください。
たとえば、次の構成を含むネットワークではエラーが検出される可能性があります。
Solaris 10 ベータ版ソフトウェアが稼働しているクライアント
Solaris 10 ソフトウェアが稼働しているサーバー
次の表に、異なる Solaris 10 リリースがインストールされているクライアントとサーバーの構成における ACL 関数の結果を示します。
操作 |
クライアントの S10 OS |
サーバーの S10 OS |
結果 |
---|---|---|---|
get ACL |
S10 ベータ版 |
S10 OS |
正しくない ACL * が作成されます |
get ACL |
S10 OS |
S10 ベータ版 |
正常に機能します |
set ACL |
S10 ベータ版 |
S10 OS |
正常に機能します |
set ACL |
S10 OS |
S10 ベータ版 |
エラー: EOPNOTSUP |
回避方法: NFSv4 ACL の機能を正しく動作させるには、サーバーとクライアントの両方で Oracle Solaris 10 OS の完全なインストールを実行します。
システムでは、1T バイト以上のパーティションにダンプを生成することができません。システム上にこのようなデバイスがある場合は、システムパニックが発生したあとにシステムをブートすると、次のようなエラーが発生することがあります。
システムがダンプを保存しない。
次のメッセージが表示されます。
0% done: 0 pages dumped, compression ratio 0.00, dump failed: error 6 |
回避方法: システムのダンプデバイスのサイズを 1T バイト未満に設定してください。