Oracle Solaris 10 9/10 ご使用にあたって

ファイルシステム

Oracle Solaris 10 リリースのファイルシステムに関するバグ情報について説明します。

sendmail 内の config/local_only プロパティーを true に設定してはいけない (6970172)

sendmail パッチ 142436–03 およびそのリビジョン 04 - 08 により、config/local_only プロパティーが true に変更されます。


$ svcprop -p config/local_only smtp:sendmail
true

この変更により、sendmail はローカルホストからの要求だけを受け付けるようになります。

回避方法: パッチ 142436–03 またはそのリビジョン 04 - 08 を追加したあとで、sendmail がほかのホストからの要求を受け付けるように、次の変更を加えます。

SPARC: クラッシュダンプの試行中に、コンソールの sync コマンドを実行するとハングアップすることがある (6967825)

mdb コマンドを -K オプションを指定して実行し、$q を使って終了してから sync コマンドを実行すると、システムがハングアップすることがあります。

OpenBoot の ok プロンプトで sync コマンドを実行しても、同じ問題が発生する場合があります。

次のエラーメッセージが表示されることがあります。


panic dump timeout ... dump aborted

回避方法: /etc/system ファイルに dump_plat_mincpu=0 を追加します。または、mdb -K ... $q コマンドの代わりに reboot -d コマンドを使用します。

32 ビット x86: reboot コマンドを使用してカーネルをブートできない (6741682)

次のコマンドを使用してシステムを 32 ビットモードでブートすると、正しく書式設定された GRUB メニューエントリを bootadm コマンドで作成できません。

その結果、システムは 64 ビットモードでブートします。不正な menu.lst ファイルが次のように表示されることがあります。


findroot rootfs0
kernel /platform/i86pc/kernel/unix
module /platform/i86pc/boot_archive

前の例では、カーネル行にマルチブート情報が含まれていないため、正しくありません。エラーメッセージは表示されません。

回避方法: /boot/grub/menu.lst ファイルを手動で編集して、次の情報を追加します。


title Solaris 10 10/08
findroot rootfs0
kernel /platform/i86pc/multiboot kernel/unix
module /platform/i86pc/boot_archive

これらの変更を行なったあとで、システムを 32 ビットモードでブートします。


注 –

menu.lst ファイルに加えた変更は、システムをリブートしても持続します。


別の方法として、次の例に示すように、ブート時に GRUB メニューを編集して、kernel/unix ブート引数を追加することもできます。


grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot kernel/unix

注 –

ブート時に GRUB メニューを編集して加えた変更は、システムをリブートすると無効になります。


詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「x86 システムのブート動作を変更する」を参照してください。

zpool attach コマンドによって bootblock 情報がコピーされない (6668666)

zpool attach コマンドを使用してディスクを ZFS ルートプールに追加すると、新たに追加したディスクに bootblock 情報がコピーされません。この問題は、初期インストールで作成される、ミラー化された ZFS ルートプールには影響しません。システムは、ミラー化ルートプール内の代替ディスクからブートしません。

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

x86: ブート中に ata ドライバがタイムアウトになる (6586621)

Intel マルチプロセッサシステムでのシステムのブート中に ata ドライバがタイムアウトになることがあります。これらのタイムアウトは、HBA コントローラが従来の ata ドライバにバインドされたドライブ上に、ルートデバイスが置かれている場合に発生します。これらのタイムアウトにより、システムのブート中に一時ハングアップ、深刻なハングアップ、またはパニック状態が発生して、次のようなコンソールメッセージが表示されます。


scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset bus, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: early timeout, target=0 lun=0
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: abort request, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: abort device, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset target, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: reset bus, target=0 lun=0
scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0 (ata0):
        timeout: early timeout, target=0 lun=0
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):
        Error for command 'read sector'   Error Level: Informational
gda: [ID 107833 kern.notice]           Sense Key: aborted command
gda: [ID 107833 kern.notice]           Vendor 'Gen-ATA ' error code: 0x3
gda: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@0,0/pci-ide@1f,2/ide@0/cmdk@0,0 (Disk0):

回避方法: 次のいずれかを選択してください。


注 –

パフォーマンスの低下を防ぐためには、回避方法 5 が使用できるようになるまで、回避方法 3 または回避方法 4を一時的にのみ使用するようにしてください。


ZFS legacy マウントで zoneadm install コマンドが失敗する (6449301)

`add fs サブコマンドで ZFS ファイルシステムをマウントするように非大域ゾーンを最初に構成して mountpoint=legacy を指定すると、そのあとでゾーンのインストールを行うときに失敗します。次のエラーメッセージが表示されます。


ERROR: No such file or directory:
cannot mount </zones/path/root/usr/local> in non-global zone to install:
the source block device or directory </path/local> cannot be accessed

回避方法: 非大域ゾーンをインストールしてから、ZFS ファイルシステムへのアクセスを追加します。

ZFS および UNIX/POSIX 準拠に関する問題

ZFS は POSIX 準拠のファイルシステムとして設計されており、ほとんどの場合、ZFS は POSIX に準拠しています。ただし、次の 2 つの極端な状況では、ZFS は POSIX 準拠テストに適合しません。

  1. ZFS ファイルシステム容量統計の更新。

  2. 100 パーセント満杯のファイルシステムによる既存のデータの変更。

関連する CR:

fdisk -E コマンドは ZFS が使用するディスクを警告なしに一掃する可能性がある (6412771)

fdisk -E コマンドを使用して ZFS ストレージプールによって使用されているディスクを変更する場合、そのプールは使用不可になり、入出力エラーまたはシステムパニックを引き起こすことがあります。

回避方法:

ZFS ストレージプールによって使用されているディスクの変更に fdisk コマンドを使用しないでください。ZFS ストレージプールによって使用されているディスクにアクセスする必要がある場合は、format ユーティリティーを使用してください。一般に、ファイルシステムが使用中のディスクを変更するべきではありません。

ZFS と他社製のバックアップ製品の問題

Brightstor ARCserve Backup 製品に関する問題は次のとおりです。

UNIX (Solaris) 版 BrightStor ARCserve Backup クライアントエージェントと ZFS サポート

UNIX (Solaris) 版 BrightStor ARCserve Backup (BAB) クライアントエージェントを使用して、ZFS ファイルのバックアップと復元を行うことができます。

ただし、ZFS の NFSv4 スタイル ACL はバックアップ時に維持されません。従来の UNIX ファイルのアクセス権と属性は維持されます。

回避方法: NFSv4 スタイル ACL を使用している ZFS ファイルを維持するには、tar コマンドに -p オプションを指定するか cpio コマンドに -P オプションを指定して、ZFS ファイルを 1 つのファイルに書き込みます。その後、この tar アーカイブまたは cpio アーカイブを BAB でバックアップします。

ZFS GUI は、各ウィザードの起動時に /usr/lib/embedded_su パッチをチェックする必要がある (6326334)

embedded_su パッチのない Solaris 10 6/06 以前のリリースを実行するシステムに Solaris 10 10/09 リリースの SUNWzfsg パッケージを追加する場合、ZFS 管理アプリケーションウィザードは十分に機能しません。

embedded_su パッチのないシステム上で ZFS 管理アプリケーションを実行しようとすると、ZFS 構成を参照することしかできません。次のエラーメッセージが表示されます。


/usr/lib/embedded_su: not found

回避方法:

embedded_su パッチ (119574-02) を、Solaris 10 6/06 より前のリリースを実行するシステムに追加します。

パニック時にファイルシステムの同期に失敗する (6250422)

ターゲットに対して発生する (Oracle Solaris iSCSI ソフトウェアイニシエータを使用して接続される) ファイルシステムの入出力によってホストがパニック状態に陥った場合、入出力はターゲットデバイスのフラッシュまたはターゲットデバイスへの同期を実行できないことがあります。このフラッシュまたは同期の不能によってファイルシステムが破壊される場合があります。エラーメッセージは表示されません。

回避方法:

UFS などのジャーナリングファイルシステムを使用します。Oracle Solaris 10 以降では、UFS ロギングはデフォルトで使用可能になっています。UFS の詳細については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「ファイルシステムの新機能」を参照してください。

一部の Oracle Solaris 10 リリースからのアップグレードでは、ファイルシステムの再マウントが必要になる

すべての Oracle Solaris 10 アップデートで NFSv4 サーバーをアップグレードしたあと、プログラムで EACCES エラーが発生することがあります。さらに、ディレクトリが間違って空になっているように見えることもあります。

これらのエラーを回避するには、クライアントのファイルシステムをいったんマウント解除してから再マウントします。マウント解除がうまくいかない場合は、umount -f を使用して強制的にファイルシステムをマウント解除する必要があります。あるいは、クライアントをリブートしてもかまいません。

NFSv4 アクセス制御リストの関数が正しく動作しないことがある

ネットワーク上のクライアントとサーバーに、以前の別々の Oracle Solaris 10 リリースがインストールされている場合、NFSv4 アクセス制御リスト (ACL) の関数が正しく動作しないことがあります。対象となる ACL 関数とその関数を使用するコマンド行ユーティリティーは次のとおりです。

これらの関数とユーティリティーについては、それぞれのマニュアルページを参照してください。

たとえば、次の構成を含むネットワークではエラーが検出される可能性があります。

次の表に、異なる Solaris 10 リリースがインストールされているクライアントとサーバーの構成における ACL 関数の結果を示します。

操作 

クライアントの S10 OS 

サーバーの S10 OS 

結果 

get ACL 

S10 ベータ版 

S10 OS 

正しくない ACL * が作成されます 

get ACL 

S10 OS 

S10 ベータ版 

正常に機能します 

set ACL 

S10 ベータ版 

S10 OS 

正常に機能します 

set ACL 

S10 OS 

S10 ベータ版 

エラー: EOPNOTSUP 

回避方法: NFSv4 ACL の機能を正しく動作させるには、サーバーとクライアントの両方で Oracle Solaris 10 OS の完全なインストールを実行します。

1T バイトよりも大きなサイズのデバイスでシステムクラッシュダンプが失敗する (6214480)

システムでは、1T バイト以上のパーティションにダンプを生成することができません。システム上にこのようなデバイスがある場合は、システムパニックが発生したあとにシステムをブートすると、次のようなエラーが発生することがあります。

回避方法: システムのダンプデバイスのサイズを 1T バイト未満に設定してください。