Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)

第 6 章 ZFS ルートファイルシステムのインストール (計画)

この章では、ZFS ルートプールをインストールする場合のシステム要件と制限事項について説明します。ZFS ルートプールをインストールするインストールプログラムの概要についても説明します。

システム上に複数のブート環境がある場合のブートについては、第 7 章SPARC および x86 ベースのブート (概要と計画)を参照してください。

Solaris 10 10/09 リリースの新機能

Solaris 10 10/09 リリース以降では、JumpStart プロファイルを設定して、ZFS ルートプールのフラッシュアーカイブを特定できます。

フラッシュアーカイブは、UFS ルートファイルシステムまたは ZFS ルートファイルシステムを実行しているシステムで作成できます。ZFS ルートプールのフラッシュアーカイブには、スワップボリュームとダンプボリュームおよび任意の除外されたデータセットを除く、プール階層全体が含まれます。スワップボリュームとダンプボリュームは、フラッシュアーカイブのインストール時に作成されます。

フラッシュアーカイブによるインストール方法は次のとおりです。

詳細と制限事項については、『Oracle Solaris ZFS 管理ガイド』「ZFS ルートファイルシステムのインストール (Oracle Solaris フラッシュアーカイブインストール)」を参照してください。

ZFS ルートプールのインストールの要件

表 6–1 システム要件と制限事項

要件または制限事項 

説明 

情報 

メモリー

最小メモリーは 768M バイトです。全体のパフォーマンスを考慮して 1G バイトを推奨します。 

ZFS Administration Guide

ディスク容量 

ブート可能な ZFS ルートファイルシステムに使用されるプール領域の最小ディスク容量は、物理メモリー容量、使用可能ディスク領域、作成するブート環境の数によって異なります。 

詳細は、「ZFS インストールのディスク容量要件」を参照してください。

ZFS ストレージプールをアップグレード可能かつブート可能にするには、ディスク全体ではなくスライスとして作成します。 

  • スライスを使って作成したプールはミラー化できますが、RAID-Z にも複数ディスクの非冗長構成にもできません。SVM デバイス情報を /dev/md/[r]dsk ディレクトリで利用可能にしておいてください。

  • プールには、SMI ラベルを付けます。EFI ラベルの付いたディスクはブートできません。

  • x86 のみ: ZFS プールは、fdisk パーティションのあるスライスに作成します。

Solaris Live Upgrade を使用して UFS ルート (/) ファイルシステムから ZFS ルートプールに移行する場合は、次の要件に注意してください。

  • Solaris Live Upgrade を使用した UFS ファイルシステムから ZFS ルートプールへの移行、またはルートプールでの新規ブート環境の作成は、Solaris 10 10/08 以降のリリースの新機能です。このリリースには、Solaris Live Upgrade を ZFS で使用するのに必要なソフトウェアが含まれています。ZFS で Solaris Live Upgrade を利用するには、これ以降のリリースをインストールしてください。

  • UFS ファイルシステムから ZFS ファイルシステムへの移行のみが可能です。

    • UFS ファイルシステム以外のファイルシステムを ZFS ルートプールに移行することはできません。

    • UFS ファイルシステムを ZFS ルートプールから作成することはできません。

  • 移行する前に、ZFS ストレージプールが存在することを確認してください。

ZFS インストールのディスク容量要件

通常、UFS ルートファイルシステムのシステムでは、スワップとダンプが同じスライス上にあります。そのため、UFS はダンプデバイスとスワップ空間を共有します。ZFS ルートプールでは、スワップとダンプは別々の zvols となるので、同じ物理空間が共有されることはありません。システムが ZFS ルートファイルシステムを使ってインストールまたはアップグレードされている場合、スワップ領域とダンプデバイスのサイズは、物理メモリーの容量に依存します。ブート可能な ZFS ルートファイルシステムに使用されるプール領域の最小ディスク容量は、物理メモリー容量、使用可能ディスク領域、作成するブート環境の数によって異なります。メモリーは約 1G バイト、ディスク容量は 2G バイト以上を推奨します。容量は次のように消費されます。

ZFS ルートプールをインストールする Solaris インストールプログラム

ZFS ルートプールの初期インストールを実行するインストールプログラムは、次のとおりです。

Solaris Live Upgrade で UFS ファイルシステムを ZFS ルートプールに移行することができます。Solaris Live Upgrade で、アップグレード可能な ZFS ブート環境を作成することもできます。

表 6–2 ZFS インストールプログラムと制限事項

ZFS インストールプログラム 

説明 

制限 

情報 

Solaris インストールプログラムテキストインストーラ 

Solaris テキストインストーラは、ZFS ルートプールの初期インストールを実行します。インストール中に、UFS ファイルシステム、ZFS ルートプールのどちらをインストールするか選択できます。インストール中に 2 つ以上のスライスを選択して、ミラー化された ZFS ルートプールを設定できます。ミラー化された ZFS ルートプールは、インストールのあとで追加のディスクを接続または追加して作成することもできます。ZFS ボリューム上のスワップおよびダンプデバイスは、ZFS ルートプール内に自動的に作成されます。 

  • インストール GUI は、ZFS ルートプールのインストールでは使えません。

  • アップグレードに、標準のアップグレードプログラムは使えません。ZFS ルートプールのアップグレードには、Solaris Live Upgrade を使用します。

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (基本編)』の第 3 章「Solaris 対話式テキストインストーラによる ZFS ルートプールのインストール (計画と作業)」

Solaris Live Upgrade 

Solaris Live Upgrade 機能を使用して、次の作業を実行できます。

  • UFS ルート (/) ファイルシステムの ZFS ルートプールへの移行

  • 新しいブート環境を次のようにして作成する

    • 既存の ZFS ルートプール内に

    • 別の ZFS ルートプール内に

    • 現在稼働中のシステム以外のソースから

    • 非大域ゾーンがインストールされているシステム上への作成

lucreate コマンドを使用して ZFS ブート環境を作成したあと、そのブート環境で別の Solaris Live Upgrade コマンドを使用することができます。

lucreate コマンドを使用する前に、ストレージプールを作成してください。

『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 11 章「Solaris Live Upgrade と ZFS (概要)」

JumpStart 

Solaris 10 10/09 リリース以降では、JumpStart プロファイルを設定して、ZFS ルートプールのフラッシュアーカイブを特定できます。「Solaris 10 10/09 リリースの新機能」を参照してください。

プロファイルを作成して、ZFS ストレージプールの作成、およびブート可能な ZFS ファイルシステムの指定を行えます。新しい ZFS キーワードによって初期インストールが実現します。 

  • install_type upgrade キーワードは、ZFS ルートプールのアップグレードには使えません。Solaris フラッシュのキーワードも使用できません。

  • UFS 固有のプロファイルで使用可能なキーワードで、ZFS 固有のプロファイルでは使用できないものがあります。