Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)

ブート環境のアップグレード

ブート環境の作成が完了したら、そのブート環境をアップグレードできます。アップグレード作業の過程で、ブート環境の任意のファイルシステムに RAID-1 ボリューム (ミラー) を持たせることができます。あるいは、ブート環境に非大域ゾーンをインストールしておくこともできます。アップグレードを行なっても、アクティブなブート環境内のファイルには影響ありません。準備ができたところでこの新しいブート環境をアクティブにし、このブート環境を現行のブート環境とします。


注 –

Oracle Solaris 10 9/10 リリース以降、アップグレード処理は自動登録の影響を受けます。「Live Upgrade に対する自動登録の影響」を参照してください。


UFS ファイルシステムでのブート環境のアップグレード手順 

第 5 章Solaris Live Upgrade によるアップグレード (作業)

UFS ファイルシステムでの、RAID-1 ボリュームファイルシステムを持つブート環境のアップグレードの例 

「RAID-1 ボリューム (ミラー) の一方を切り離してアップグレードする例」

UFS ファイルシステムの非大域ゾーンがある場合のアップグレード手順 

第 8 章非大域ゾーンがインストールされているシステムにおける Solaris OS のアップグレード

ZFS ファイルシステムのアップグレード、または ZFS ファイルシステムへの移行 

第 11 章Solaris Live Upgrade と ZFS (概要)

図 2–7 に、非アクティブなブート環境のアップグレードの例を示します。

図 2–7 非アクティブなブート環境のアップグレード

この図については本文中で説明しています。

アップグレードする代わりに、Solaris フラッシュアーカイブをブート環境にインストールすることもできます。Solaris フラッシュインストール機能を使用すると、Solaris OS の単一の参照用インストールを 1 台のシステム上に作成できます。このシステムはマスターシステムと呼ばれます。続いて、クローンシステムと呼ばれる多数のシステム上にこのインストールを複製できます。この場合、非アクティブなブート環境はクローンシステムです。Solaris フラッシュアーカイブをシステムにインストールするとき、初期インストールの場合と同じように、アーカイブは既存のブート環境にあるすべてのファイルを置き換えます。

Solaris フラッシュアーカイブのインストール手順については、「ブート環境への Solaris フラッシュアーカイブのインストール」を参照してください。

次の図に、非アクティブなブート環境における Solaris フラッシュアーカイブのインストールを示します。図 2–8 は、1 台のハードディスクを持つシステムを示しています。図 2–9 は、2 台のハードディスクを持つシステムを示しています。

図 2–8 Solaris フラッシュアーカイブのインストール - ハードディスク 1 台

この図については本文中で説明しています。

図 2–9 Solaris フラッシュアーカイブのインストール - ハードディスク 2 台

この図については本文中で説明しています。

Live Upgrade に対する自動登録の影響

Oracle Solaris 10 9/10 リリース以降、アップグレード処理は自動登録の影響を受けます。

自動登録について

システムをインストールまたはアップグレードすると、システムの構成データは、既存のサービスタグ技術によってリブート時に自動的にオラクル製品登録システムに伝達されます。システムに関するこのサービスタグデータは、オラクルの顧客向けサポートとサービスの向上などに役立てられます。この同じ構成データを使用して、システム独自の目録を作成および管理することができま す。

自動登録の概要については、『Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)』「Oracle Solaris 9 10/10 リリースにおけるインストールの新機能」を参照してください。

自動登録が Live Upgrade に影響を与える状況

システムを明示的に、以前のリリースから Oracle Solaris 10 9/10 リリースまたはそれ以降のリリースにアップグレードしようとしている場合を除き、自動登録によって Live Upgrade の処理は変更されません。

Live Upgrade の以下の処理は、自動登録によっていずれも変更されません。

システムを以前のリリースから Oracle Solaris 10 9/10 リリースまたはそれ以降のリリースにアップグレードする場合のみ、自動登録の構成ファイルを作成する必要があります。そしてシステムをアップグレードするときには、luupgrade -u コマンドで -k オプションを使用して、この構成ファイルを指定する必要があります。そのための手順は次のとおりです。

Procedureアップグレード中に自動登録の情報を提供する方法

以前のリリースから Oracle Solaris 10 9/10 リリースまたはそれ以降のリリースにアップグレードする場合のみ、この手順を使用して、必要とされる自動登録の情報をアップグレード中に提供します。

  1. テキストエディタを使用して、サポート資格を記述した構成ファイルを作成します。必要に応じて、プロキシ情報も含めます。

    このファイルは、キーワードと値のペアから成るリストの形式です。ファイルには、この形式で以下のキーワードと値を含めます。


    http_proxy=Proxy-Server-Host-Name
    http_proxy_port=Proxy-Server-Port-Number
    http_proxy_user=HTTP-Proxy-User-Name
    http_proxy_pw=HTTP-Proxy-Password
    oracle_user=My-Oracle-Support-User-Name
    oracle_pw=My-Oracle-Support-Password
    

    注 –

    以下の形式のルールに従ってください。

    • パスワードは暗号化テキストではなく、平文テキストにする必要があります。

    • キーワードの順序は重要ではありません。

    • 値を指定しない場合は、キーワードを完全に省略できます。または、キーワードを保持して値を空白のままにすることもできます。


      注 –

      サポート資格を省略すると、登録は匿名になります。


    • 入力したい値にはスペースを含める必要があることを除いては、構成ファイルの空白は問題になりません。http_proxy_user http_proxy_pw の値のみ、値の中にスペースを含むことができます。

    • oracle_pw の値にスペースを含めてはいけません。


    例を参照すること


    http_proxy= webcache.central.example.COM
    http_proxy_port=8080
    http_proxy_user=webuser
    http_proxy_pw=secret1
    oracle_user=joe.smith@example.com
    oracle_pw=csdfl2442IJS
  2. ファイルを保存します。

  3. そのアップグレードに必要な luupgrade コマンドのその他の標準オプションをすべて含めて、luupgrade -u -k /path/filename コマンドを実行します。

Procedureアップグレード中に自動登録を無効にする方法

  1. 前の手順で説明した構成ファイルの内容を修正するか、ファイルを作成します。自動登録を無効にするには、この構成ファイルに次の行だけを含める必要があります。


    autoreg=disable
  2. ファイルを保存します。

  3. そのアップグレードに必要な luupgrade コマンドのその他の標準オプションをすべて含めて、luupgrade -u -k /path/filename コマンドを実行します。

  4. 省略可能: 次のようにすると、Live Upgrade が完了し、システムが再ブートするときに、自動登録機能が無効になっていることを確認できます。


    # regadm status
        Solaris Auto-Registration is currently disabled