Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)

第 4 章 Solaris フラッシュアーカイブのインストールと管理 (作業)

この章では、Solaris インストールプログラムを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする手順について説明します。他のインストールプログラムを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする手順についても、参照情報を示します。また、アーカイブを管理する手順についても説明します。

Solaris フラッシュアーカイブの作成時またはインストール時の制限については、表 2–1 を参照してください。


注意 – 注意 –

Solaris フラッシュアーカイブを使用して Solaris OS をインストールするときには、アーカイブとインストールメディアに含まれるオペレーティングシステムのバージョンが一致している必要があります。たとえば、アーカイブに含まれるオペレーティングシステムが Solaris 10 で、DVD メディアを使用する場合には、Solaris 10 DVD メディアを使用してそのアーカイブをインストールする必要があります。オペレーティングシステムのバージョンが一致しない場合には、ターゲットシステムへのインストールは失敗します。


Solaris インストールプログラムによる Solaris フラッシュアーカイブのインストール

Solaris インストールプログラムを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールするには、次の手順に従います。

ProcedureSolaris フラッシュアーカイブのインストール

  1. Solaris インストールプログラムを起動し、画面に従って「媒体の指定」画面まで進みます。Solaris フラッシュのインストールを選んで続行します。

    詳細な手順については、次のいずれかを参照してください。

  2. インストールに使用するメディアを指定します。

    1. プロンプトに従って次の情報を入力します。

      選択されたメディア 

      プロンプト 

      DVD または CD 

      Solaris フラッシュアーカイブを含むディスクを挿入してください。 

      ネットワークファイルシステム 

      Solaris フラッシュアーカイブが置かれているネットワークファイルシステムのパスを指定します。アーカイブのファイル名も指定できます。 

      HTTP 

      Solaris フラッシュアーカイブのアクセスに必要となる URL 情報とプロキシ情報を指定します。 

      FTP 

      FTP サーバーと、Solaris フラッシュアーカイブのパスを指定します。FTP サーバーへのアクセスに必要となるユーザーおよびパスワードの情報を指定します。FTP サーバーへのアクセスに必要となるプロキシ情報を指定します。 

      ローカルテープ 

      Solaris フラッシュアーカイブが置かれているローカルテープデバイスとテープ上の位置を指定します。 

      DVD、CD、または NFS サーバーに格納されたアーカイブのインストールを選択した場合は、「フラッシュアーカイブの選択」画面が表示されます。

    2. ディスクまたは NFS サーバーに格納されたアーカイブについては、「フラッシュアーカイブの選択」画面で、インストールする Solaris フラッシュアーカイブを選択します (1 つでも複数でも可)。

    3. 「フラッシュアーカイブの一覧」画面で選択されたアーカイブを確認し、「次へ」をクリックします。

    4. 「追加するフラッシュアーカイブ」画面で、別のアーカイブを含むメディアを指定して、Solaris フラッシュアーカイブの追加インストールを実行できます。アーカイブをそれ以上インストールしない場合は、「なし」を選択します。

  3. 「次へ」をクリックしてインストールを続行します。

    次の手順のいずれかを実行して、インストールを完了します。

Solaris フラッシュアーカイブをインストールするための参照情報

初期インストール用 Solaris フラッシュアーカイブは、任意の Solaris のインストール方法でインストールできます。Solaris フラッシュ差分アーカイブをインストールするには、カスタム JumpStart または Solaris Live Upgrade を使用する必要があります。


注 –

Oracle Solaris 10 9/10 リリース以降では、自動登録はデフォルトで有効になっています。Solaris フラッシュアーカイブの操作に対する自動登録の影響は、使用するインストール方法によって異なります。「Oracle Solaris 10 9/10 リリースの新機能」を参照してください。

Oracle Solaris 10 9/10 以前のアーカイブを使用している場合、自動登録の影響はありません。


インストールの種類 

参照 

Solaris フラッシュアーカイブの初期インストール 

Solaris フラッシュ差分アーカイブによる更新 

Solaris フラッシュアーカイブの管理

flar コマンドは、アーカイブの管理に使用します。1 つのアーカイブを複数のセクションに分割できます。これらのセクションに対し変更、追加、または削除を実行してから結合して、アーカイブを作成できます。アーカイブに関する情報を取得することもできます。


注意 – 注意 –

アーカイブセクションは変更しないようにしてください。変更するとアーカイブの整合性に悪影響が及びます。


Solaris フラッシュアーカイブの分割

アーカイブを複数のセクションに分割し、その一部を変更したり、新たなセクションを追加したり、セクションを削除したりできます。セクションの変更後に、セクションを結合して新規アーカイブを作成する必要があります。たとえば、ユーザー定義セクションの追加や、アーカイブ識別セクションの変更を実行できます。アーカイブセクションは変更しないようにしてください。変更するとアーカイブの整合性に悪影響が及びます。

flar split コマンドは、Solaris フラッシュアーカイブを複数のセクションに分割します。flar コマンドは、各セクションを、現在のディレクトリまたは指定されたディレクトリ内の別個のファイルにコピーします。ファイルには、セクション名からとった名前が付けられます。たとえば、アーカイブ Cookie セクションは、cookie と名付けられたファイルに保存されます。flar split コマンドでは、1 つのセクションだけを保存するように指定できます。このコマンドの構文は次のとおりです。

flar split [-d dir] [-u section] [-f archive] [-S section] [-t [-p posn] [- b blocksize]] filename

-d dir

コピーするセクションを、現在のディレクトリからではなく dir から取得します。

-u section

  • このオプションを使用した場合、flar は Cookie セクション、識別セクション、アーカイブセクション、および section セクションをコピーします。1 つのセクション名を指定することも、あるいは空白で区切って複数のセクション名を指定することも可能です。

  • このオプションを使用しない場合、flar は Cookie セクション、識別セクション、およびアーカイブセクションのみをコピーします。

-f archive

アーカイブセクションを、archive という名前のファイルに入れるのではなく、archive というディレクトリに抽出します。

-S section

アーカイブから section と名付けられたセクションだけをコピーします。これは、ユーザー定義セクションです。


例 4–1 アーカイブの分割

次の例では、archive1.flar が 3 つのファイルに分割されます。


# flar split archive1.flar

アーカイブの分割後に、アーカイブ識別セクションの変更またはユーザー定義セクションの追加を実行できます。その後、セクションを結合してアーカイブを再作成できます。


Solaris フラッシュアーカイブの結合

アーカイブをセクションに分割した後で、セクションを結合して新規アーカイブを作成できます。

flar combine コマンドは、個別のセクションから Solaris フラッシュアーカイブを作成します。次の表に、flar コマンドがセクションの結合を処理する方法について説明します。

条件 

説明 

最小ファイル数 

各セクションは、セクション名を名前に持つ個々のファイル内にあると見なされます。次の 3 つのファイルが存在している必要があります。  

  • アーカイブ Cookie セクション (cookie)

  • アーカイブ識別セクション (identification)

  • アーカイブファイルセクション (archive)

アーカイブのコピー方法 

archive がディレクトリである場合、結合されたアーカイブにディレクトリを含める前に、cpio コピーユーティリティーを使用して内容をアーカイブします。

  • cpio はデフォルトのコピー方法です。個別のファイルのサイズを 4G バイトより大きくすることはできません。

  • pax は、大規模なファイルを処理するためのコピー方法です。flarcreate コマンドと -L pax オプションを指定して pax ユーティリティーを使用すると、個別ファイルのサイズ制限なしでアーカイブが作成されます。個別のファイルのサイズは 4G バイトより大きくできます。

アーカイブの圧縮 

アーカイブ識別セクションにアーカイブの圧縮が指定されている場合、flar は新しく結合されたアーカイブのコンテンツを圧縮します。

検査 

どのセクションについても検証は何も行われません。たとえば、アーカイブ識別セクション内のどのフィールドについても、検証や更新は行われません。 

flar combine コマンドのコマンド構文は次のとおりです。

flar combine [-d dir] [-u section] [-t [-p posn] [- b blocksize]] filename

-d dir

結合するセクションを、現在のディレクトリからではなく dir から取得します。

-u section
  • このオプションを使用した場合、flar は Cookie セクション、識別セクション、アーカイブセクション、および section セクションをコピーします。1 つのセクション名を指定することも、あるいは空白で区切って複数のセクション名を指定することも可能です。

  • このオプションを使用しない場合、flar は Cookie セクション、識別セクション、およびアーカイブセクションのみをコピーします。


例 4–2 Solaris フラッシュアーカイブの結合

この例では、アーカイブ Cookie セクション、アーカイブ識別セクション、およびアーカイブファイルセクションが結合して、完成したアーカイブになります。アーカイブ名は newarchive.flar です。


# flar combine newarchive.flar 


例 4–3 Solaris フラッシュアーカイブの結合とユーザー定義セクションの追加

この例では、アーカイブ Cookie セクション、アーカイブ識別セクション、アーカイブファイルセクション、およびユーザー定義セクションが結合して、完成したアーカイブになります。アーカイブ名は newarchive.flar です。ユーザー定義セクションの内容は、現在のディレクトリ内の user_defined という名前のファイルの中にあります。


# flar combine -u user_defined newarchive.flar 

アーカイブからの情報の抽出

flar info コマンドを使用して、作成済みのアーカイブに関する情報を取得します。このコマンドの構文は次のとおりです。

flar info [-l] [-k keyword] [-t [- p posn] [-b blocksize ]] filename

-k keyword

キーワード keyword の値のみを返します。

-l

アーカイブセクション内のすべてのファイルをリスト表示します。


例 4–4 アーカイブセクション内のファイルの一覧表示

この例では、アーカイブ archive3.flar のファイル構造がチェックされます。


# flar info -l archive3.flar
aaa
aaa/bbb
aaa/bbb/ccc
aaa/bbb/ccc/ddd
aaa/eee