Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド

期限切れパスワードのリセット

パスワードポリシーによってパスワードの有効期限を適用している場合、期間内にパスワードを変更しないユーザーもいます。この節では、期限切れになったパスワードを変更する方法を示します。


注 –

Directory Server は、エントリ上のパスワードが変更されるたびに、オペレーショナル属性 pwdChangedTime(5dsat) を更新します。この結果、パスワードの有効期限を有効にすると、すでに期限の切れたパスワードは即座に無効になってしまいます。この動作が意に沿わない場合は、警告や猶予ログインを使用します。


この節では、パスワード変更拡張操作によってパスワードをリセットする手順と、パスワードの期限が切れた場合に、猶予認証を許可する手順を説明します。

この節で説明するメカニズムは、管理者か、または実際のユーザーとディレクトリとのやり取りを処理するアプリケーションで使用することを意図しています。一般に、エンドユーザーに、意図したとおりにメカニズムを実際に使用させるのは、アプリケーションの役割です。

Procedureパスワード変更拡張操作によりパスワードをリセットする

パスワードの有効期限が切れると、ユーザーアカウントがロックされます。パスワードをリセットすると、アカウントのロックが解除されます。パスワードは管理者などのほかのユーザーによってリセットできます。パスワードをリセットすると、Directory Server によってユーザーアカウントのロックが解除されます。Directory Server では、RFC 3062「LDAP Password Modify Extended Operation」をサポートしています。拡張操作を使用して、ディレクトリ管理者またはディレクトリアプリケーションがパスワードのリセットによりアカウントのロックを解除することを許可することができます。

次の手順に示すように、パスワード変更拡張操作の使用を許可する場合は、注意してください。信頼する管理者とアプリケーションにのみアクセスを制限します。ネットワーク上でパスワードをテキストで送受信しないでください。

DSCC を使用してこのタスクを実行することはできません。次の手順に示すように、コマンド行を使用します。

  1. パスワード管理者またはパスワード管理アプリケーションにユーザーアクセス権を与えます。

  2. パスワード管理者がパスワード変更拡張操作にアクセスして使用できるようにします。

    次のコマンドは、Password Managers ロールのメンバーが SSL で接続した場合にパスワード変更拡張操作を使用できるようにする ACI を設定します。


    $ cat exop.ldif
    dn: oid=1.3.6.1.4.1.4203.1.11.1,cn=features,cn=config
    objectClass: top
    objectClass: directoryServerFeature
    oid: 1.3.6.1.4.1.4203.1.11.1
    cn: Password Modify Extended Operation
    aci: (targetattr != "aci")(version 3.0;
     acl "Password Modify Extended Operation
     "; allow( read, search, compare, proxy ) (roledn = "
     ldap:///cn=Password Managers,dc=example,dc=com" and authmethod = "SSL");)
    
    $ ldapmodify -a -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - -f exop.ldif
    Enter bind password: 
    adding new entry oid=1.3.6.1.4.1.4203.1.11.1,cn=features,cn=config
    
    $

    cn=features,cn=config の下のエントリにより、パスワード変更拡張操作を使用する操作へのアクセスを管理します。

  3. パスワード管理者にユーザーパスワードをリセットしてもらいます。

    この手順は、ユーザーアカウントのロックを解除し、ldappasswd(1) コマンドで実行できます。

  4. (省略可能) ユーザーがパスワードを変更する必要がある場合は、パスワード管理者にユーザーに通知してもらいます。

    ユーザーエントリを管理するパスワードポリシーに pwdMustChange: TRUE が含まれる場合、リセット後にユーザーは自身のパスワードを変更する必要があります。

Procedureパスワードの期限が切れた場合に猶予認証を許可する

次の手順では、ユーザーに猶予認証を与え、ユーザーが期限切れになったパスワードを変更できるようにする方法を説明します。

猶予認証は、パスワードポリシーの要求および応答コントロールを処理するアプリケーションによって管理することを意図しています。この手順では、アプリケーションでコントロールを使用する方法の単純な例を示します。

DSCC を使用してこのタスクを実行することはできません。次の手順に示すように、コマンド行を使用します。

  1. ユーザーがパスワードポリシーの要求および応答コントロールを使用するアプリケーションに対するアクセス権を持つことを確認します。

    アプリケーションでは、ユーザーが猶予認証を適切に処理していることを確認する必要があります。

  2. アプリケーションでパスワードポリシーコントロールを使用できるようにします。

    次のコマンドは、Password Managers ロールのメンバーがパスワードポリシーコントロールを使用できるようにする ACI を設定します。


    $ cat ctrl.ldif
    dn: oid=1.3.6.1.4.1.42.2.27.8.5.1,cn=features,cn=config
    objectClass: top
    objectClass: directoryServerFeature
    oid: 1.3.6.1.4.1.42.2.27.8.5.1
    cn: Password Policy Controls
    aci: (targetattr != "aci")(version 3.0; acl "Password Policy Controls
     "; allow( read, search, compare, proxy ) roledn = "
     ldap:///cn=Password Managers,dc=example,dc=com";)
    
    $ ldapmodify -a -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - -f ctrl.ldif
    Enter bind password: 
    adding new entry oid=1.3.6.1.4.1.42.2.27.8.5.1,cn=features,cn=config
    
    $

    cn=features,cn=config の下のエントリの目的は、パスワードポリシーの要求および応答コントロールを使用する操作へのアクセスを管理できるようにすることだけです。

  3. パスワードポリシーの pwdGraceAuthNLimit 属性で、パスワードの期限が切れたあとに猶予認証によるログインを何回許可するかを設定します。

  4. アプリケーション側では、ユーザーに対して猶予認証の許可されている回数内で期限の切れているパスワードをすみやかに変更しなければならないことを指示する必要があります。