Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

バックアップ方法の選択

Directory Server Enterprise Edition では、バイナリバックアップと、LDIF ファイルへのバックアップという 2 つの方法でデータをバックアップできます。どちらの方法にも利点と制限があるため、効果的なバックアップ戦略を計画するには、それぞれの方法について理解することが役立ちます。

バイナリバックアップ

バイナリバックアップは、データベースファイルのコピーを生成するものであり、ファイルシステムレベルで実行されます。バイナリバックアップの出力は、すべてのエントリ、インデックス、更新履歴ログ、トランザクションログを含むバイナリファイルのセットです。バイナリバックアップには、設定データは含まれません。

バイナリバックアップは、次のいずれかのコマンドを使用して実行されます。

バイナリバックアップには、次のような利点があります。

バイナリバックアップには、1 つの制限があります。バイナリバックアップからの復元は、「同一の」設定のサーバーだけでしか実行できません。

この制限は次を意味します。

少なくとも、整合性のあるマシンの各セットに対して定期的なバイナリバックアップを実行してください。整合性のあるマシンとは、前述のように同一の設定を持つマシンのことです。


注 –

ローカルバックアップからの復元の方が簡単なため、各サーバーでバイナリバックアップを実行してください。


この章の残りの図では、次の略語を使用します。

M = マスターレプリカ 

RA = レプリケーションアグリーメント 

次の図は、M1 と M2 が同一の設定を持ち、M3 と M4 が同一の設定を持つことを前提としています。この例では、M1 と M3 でバイナリバックアップが行われます。障害が発生した場合は、M1 または M2 を M1 (db1) のバイナリバックアップから復元できます。M3 または M4 を M3 (db2) のバイナリバックアップから復元できます。M1 と M2 を M3 のバイナリバックアップから復元することはできません。M3 と M4 を M1 のバイナリバックアップから復元することはできません。

図 8–2 オフラインのバイナリバックアップ

2 つのサーバーから 2 つの個別のデータベースへのオフラインのバイナリバックアップ

バイナリバックアップのコマンドの使用方法の詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド』「バイナリバックアップ」を参照してください。

LDIF へのバックアップ

LDIF へのバックアップはサフィックスレベルで行われます。LDIF へのバックアップの出力は、サフィックスに含まれているデータのコピーである、フォーマットされた LDIF ファイルです。このため、このプロセスはバイナリバックアップと比較して時間がかかります。

LDIF へのバックアップは、次のいずれかのコマンドを使用して実行されます。


注 –

これらのコマンドの実行時に -Q オプションを指定しないかぎり、レプリケーション情報はバックアップされます。

LDIF へのバックアップでは、dse.ldif 設定ファイルはバックアップされません。以前の設定を復元できるようにするには、このファイルを手動でバックアップしてください。


LDIF へのバックアップには、次のような利点があります。

LDIF へのバックアップには、1 つの制限があります。迅速なバックアップと復元が必要な状況では、LDIF へのバックアップでは時間がかかり過ぎる可能性があります。

トポロジの単一マスターで、レプリケートされた各サフィックスを LDIF に定期的にバックアップする必要があります。

次の図では、1 つのマスター (M1) でのみ、レプリケートされた各サフィックスに対して dsadm export が実行されています。

図 8–3 LDIF へのオフラインのバックアップ

dsadm export を使用したバックアップ

LDIF へのバックアップのコマンドの使用方法については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド』「LDIF へのバックアップ」を参照してください。