Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

DIT 構造の作成とエントリのネーミング

DIT の構造は、フラットまたは階層型から選択できます。フラットツリーのほうが管理が容易ですが、データのパーティション分割、レプリケーション管理、およびアクセス制御のために、ある程度の階層が必要な場合もあります。

分岐点とネーミングの考慮事項

「分岐点」とは、DIT の内部で新しいサブ区分を定義するポイントのことです。分岐点を決定するときは、問題が生じる可能性のある名前の変更は避けてください。名前を変更する確率は、名前が変更される可能性があるコンポーネントが、ネームスペース内に多く含まれているほど高くなります。DIT の階層が深いほどネームスペース内のコンポーネントは多くなり、名前を変更する確率が高くなります。

分岐点を定義および命名するときは、次のガイドラインを使用します。

表 4–1 従来からある DN 分岐点の属性

属性名 

定義 

c

国名。 

o

組織名。この属性は通常、大規模な部門の分岐を表すために使用します。そのような分岐の例には、企業の部門、教育機関の学部、子会社、企業内のその他の主要部門などがあります。また、ドメイン名を表す場合もこの属性を使用することをお勧めします。 

ou

組織の構成単位。通常この属性は、組織よりも小さな組織内の部門を表すために使用します。組織単位は、一般にすぐ上の組織に属します。 

st

州または県の名前。 

l

地域 (都市、地方、オフィス、施設名など)。 

dc

ドメインのコンポーネント。 

分岐点の属性を選択するときは、整合性を保つようにしてください。DIT 全体で DN の形式が統一されていないと、一部の LDAP クライアントアプリケーションで問題が発生する可能性があります。DIT のある部分で l (localityName)o (organizationName) の下位にある場合、必ず、ディレクトリのその他すべての部分でも lo の下位にあるようにしてください。

レプリケーションに関する検討事項

DIT を設計するときは、どのエントリがほかのサーバーにレプリケートされるかを考慮します。エントリの特定グループを同じサーバー集合にレプリケートする場合、それらのエントリを特定のサブツリー下に配置することをお勧めします。レプリケートするエントリの集合を記述するには、サブツリーの頂点で DN を指定します。エントリのレプリケーションの詳細は、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 Reference』の第 4 章「Directory Server Replication」を参照してください。

アクセス制御に関する検討事項

DIT 階層では、特定のタイプのアクセス制御を有効にできます。レプリケーションの場合と同様に、類似したエントリをグループ化したり、エントリを 1 つの分岐から管理したりすることがさらに容易になります。

また、DIT 階層で管理を分散させることもできます。たとえば、DIT を使用して、マーケティング部門の管理者にはマーケティング関連エントリへのアクセス権を付与し、セールス部門の管理者にはセールス関連のエントリへのアクセス権を付与することができます。

DIT ではなくディレクトリの内容に基づいてアクセス制御を設定することもできます。ACI でフィルタされたターゲット機構を使用して、単一のアクセス制御規則を定義します。この規則では、1 つのディレクトリエントリが、特定の属性値を含むすべてのエントリにアクセスできることを記述します。たとえば、ou=Sales という属性を含むすべてのエントリへのアクセス権を営業部の管理者に与える ACI フィルタを設定できます。

ただし、ACI フィルタは管理が簡単ではありません。対象のディレクトリにもっとも適したアクセス制御方法を決定する必要があります。DIT 階層で組織に対応した分岐を作成する、ACI フィルタを適用する、あるいはこの両者を組み合わせる、などの方法から選択します。