Sun Java Communications Suite 5 配備計画ガイド

第 16 章 Calendar Server アーキテクチャーの開発

この章では、3 つの基本的な Calendar Server 配備アーキテクチャーについて説明しています。それらは使用しているサイトに特有の要件に応じて変更することができます。

この章の内容は次のとおりです。

単一サーバー Calendar Server アーキテクチャー

図 16–1 に、単一サーバーアーキテクチャーを示します。この配備では、すべての Calendar Server サービス (プロセス) が、1 つのサーバーの 1 つの CPU (プロセッサ) または複数の CPU で稼働します。Directory Server と Access Manager のプロセスは、同じサーバー上でも異なるサーバー上でも実行できます。

図 16–1 単一サーバー Calendar Server アーキテクチャー

この図は、最小の単一サーバー Calendar Server 配備を示したものです。

単一サーバー上の Calendar Server インスタンスには、次のサービスが含まれます。

Calendar Server サービスの詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。

最小構成ではデータベースは同じサーバーに配置されるため、カレンダデータベースが別のサーバーに配置されている環境でネットワーク機能を提供する DWP (データベースワイヤプロトコル) サービス (csdwpd プロセス) は必要ありません。

Calendar Server は、ユーザーの認証とユーザー設定の格納に使用するディレクトリサーバーを必要とします。通常は、Sun Java System Directory Server などの LDAP ディレクトリサーバーを使用します。ただし、Calendar Server API (CSAPI) を使用して、LDAP 以外のディレクトリサーバーを使用するためのプラグインを記述することもできます。この API については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 WCAP Developer’s Guide』を参照してください。

ディレクトリサーバーは、Calendar Server が稼働しているサーバーに配置することも、リモートサーバーに配置することもできます。

スキーマ 2 配備のユーザー、グループ、リソース、ドメイン、および役割の管理用に Calendar Server が使用するツールは、Delegated Administrator です。Delegated Administrator は、個別にインストールして設定する必要があります。Delegated Administrator には、グラフィカルユーザーインタフェースとコマンド行ユーティリティー (commadmin ) の両方が用意されています。Delegated Administrator ユーティリティーの詳細については、『Sun Java System Delegated Administrator 6.4 管理ガイド』を参照してください。

スキーマ 1 配備では、Calendar Server には独自にバンドルされた、管理ユーティリティーのセットがあります。

Access Manager の使用、または Communications Suite 製品間の信頼できるサークルテクノロジによって、Communications Suite 製品に SSO を実装することができます。ユーザーは Access Manager にログインすると、すべてのサーバーで SSO が適切に設定されている限り、そのほかのサーバーにもアクセスできます。信頼できるサークルテクノロジでは、ユーザーは Messaging Server にログインすると、もう一度ログインしなくても、Calendar Server と Instant Messaging にもアクセスできます。SSO の信頼できるサークル実装の詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。

2 層 Calendar Server アーキテクチャー

Calendar Server は、複数のフロントエンドサーバーとバックエンドサーバーに設定を分配することにより、スケーラビリティーを実現します。各サーバーでは、Calendar Server サービスを複数の CPU に分散させることもできます。

次の図に示す 2 層アーキテクチャーはネットワークフロントエンド / データベースバックエンド構成とも呼ばれ、ユーザーはフロントエンドサーバーにログインし、DWP (データベースワイヤプロトコル) サービス (csdwpd プロセス) を使用してバックエンドサーバーに接続します。カレンダデータベースは、バックエンドサーバーだけに接続されています。この図には示されていませんが、フロントエンドホストは、LDAP ディレクトリにアクセスする必要があります。

図 16–2 2 層 Calendar Server アーキテクチャー

この図は、高いスケーラビリティーを備えた Calendar Server 配備を示したものです。

フロントエンドサーバーとバックエンドサーバーの両方で実行される Calendar Server プロセスは次のとおりです。

この構成では、ユーザーはバックエンドサーバーにログインしないため、HTTP サービス (cshttpd プロセス) は必要ありません。

Calendar Server サービスの詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。

スケーラブルな Calendar Server の構成には、ユーザーの認証とユーザー設定の格納に使用するディレクトリサーバーが必要です。

複数サーバーの 2 層 Calendar Server アーキテクチャー

複数のフロントエンドサーバーやバックエンドサーバーを使用した 2 層 Calendar Server アーキテクチャー (図 16–3) では、ユーザーは特定のサーバーにログインし、各サーバーはカレンダデータベースに接続されています。この構成では、カレンダを物理的に配布することができます。各サーバーにはカレンダが配置され、その所有者が Calendar Server にログインします。

図 16–3 複数サーバーの 2 層 Calendar Server アーキテクチャー

この図は、複数のフロントエンド / バックエンドサーバー用の Calendar Server 構成を示したものです。

このアーキテクチャーでは、どのサーバーもフロントエンドとしても、バックエンドとしても機能し、すべての Calendar Server サービス、つまり、管理サービス (csadmind プロセス)、HTTP サービス (cshttpd プロセス)、予定通知サービス (enpd プロセスおよび csnotifyd プロセス)、DWP (データベースワイヤプロトコル) サービス (csdwpd プロセス)、バックアップサービス (csstored) を必要とします。

Calendar Server サービスの詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。


注 –

このアーキテクチャーでは、フロントエンドサービスをバックエンドサービスとは別のマシンに配置することも可能で、LDAP Calendar Lookup Database (CLD) を使用してフロントエンドがどのバックエンドからデータを取得する必要があるかを判別できます。詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。


複数のフロントエンド / バックエンドサーバーの配備には、ユーザーの認証とユーザー設定の格納に使用するディレクトリサーバーが必要です。