次のリストに、2 つのノードを持つ Instant Messaging HA 設定のインストールおよび設定に必要な大まかな手順を示します。
操作を開始する前に、求められる要件を最も良く満たすのは、次の配備のどちらであるかを決定する必要があります。どちらの環境でも、共有コンポーネントはクラスタ内のすべてのノード上にローカルインストールされます。また、どちらの環境でも、実行時ファイルが共有ディスクにインストールされます。
ファイルおよびバイナリの設定にローカルディスクを使用する。この設定方法の利点は、Instant Messaging がオフラインになっているノード上でアップグレードを実行できるため、Instant Messaging をアップグレードする際に最小のダウンタイムで済むことです。欠点は、クラスタ内のすべてのノードに、同一の Instant Messaging 設定およびバージョンが存在することを確認する必要があることです。
また、このオプションを選択した場合は、Instant Messaging データサービスがオンラインになったときに、HAStoragePlus を使用して各ノード上の共有ディスクからファイルシステムをマウントするかどうか、またはグローバルの実行時ファイルに対してクラスタファイルを使用するかどうかを決定する必要があります。
ファイルおよびバイナリの設定に共有ディスクを使用する。この設定方法は、管理が容易ですが、アップグレードする前にクラスタ内のすべてのノードで Instant Messaging をダウンさせる必要があります。
クラスタ内の各ノードで、コンポーネントを実行する Instant Messaging ランタイムユーザーおよびグループを作成する必要があります。UID および GID 番号は、クラスタ内のすべてのノードで同じでなければなりません。
ランタイムユーザー ID。Instant Messaging サーバーを実行するユーザー名です。この名前を root にすべきではありません。デフォルトは、inetuser です。
ランタイムグループ ID。Instant Messaging サーバーを実行するグループです。デフォルトは inetgroup です。
configure ユーティリティーでもこれらの名前を作成できますが、設定プログラムを実行する前に、この章で説明する各ノードの準備の一環としてこれらの名前を作成できます。また、ローカルディスクを使用している、または共有ディスクを使用しているために、特定のノード上で configure を実行できない場合、ランタイムユーザーおよびグループ ID を手動で作成する必要があります。
ランタイムユーザーおよびグループ ID 名は、次のファイルに存在する必要があります。
クラスタ内の全ノードの /etc/passwd にある inetuser または選択した名前
クラスタ内の全ノードの /etc/group にある inetgroup または選択した名前
指示の詳細については、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』を参照してください。ユーザーおよびグループの詳細は、オペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
Instant Messaging では、Java Enterprise System インストーラは、Solaris の /opt/SUNWiim をデフォルトのインストールディレクトリ (im_svr_base ) として使用します。ただし、設定ファイルおよびバイナリ用の共有ディスクを使用している場合は、グローバル (共有) インストールディレクトリを指定する必要があります。次に例を示します。/global/im/opt/SUNWiim 。
ローカルディスクを使用している場合は、Instant Messaging をデフォルトのディレクトリにインストールできます。ただし、Instant Messaging をノード内の各マシン上の同じディレクトリにインストールする必要があります。
製品およびパッケージのインストールには、Sun Java Enterprise System インストーラプログラムを使用します。インストーラの詳細は、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールガイド』を参照してください。
表 3–9 に、複数ノードのクラスタプログラムに必須の製品およびパッケージを示します。
表 3–9 複数ノードの Instant Messaging HA 設定に必須の製品およびパッケージ
製品またはパッケージ |
ノード 1 |
ノード n |
Sun Cluster ソフトウェア |
はい |
はい |
Instant Messaging 7 2005Q4 サーバー |
はい |
はい (設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合)いいえ (設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合) |
Sun Cluster Agent for Instant Messaging (SUNWiimsc) |
はい |
はい (設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合)いいえ (設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合) |
共有コンポーネント HAStoragePlus を使用している場合は、SUNWscu もインストールする必要があります |
はい |
はい |
必要な実行手順は、設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用しているか、共有ディスクを使用しているかにより異なります。
設定ファイルおよびバイナリ用にローカルディスクを使用している場合は、次の 2 つの手続きに示された手順を実行します。
設定ファイルおよびバイナリ用に共有ディスクを使用している場合は、次の 2 つの手続きに示された手順を実行します。
『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章および表 3–8 のチェックリストに記入して、必要な情報をすぐに指定できるようにしておいてください。
Java Enterprise System インストーラを使用して製品およびパッケージをインストールします。
インストールディレクトリの選択に関する詳しい指示については、「インストールディレクトリの選択 (im_svr_base )」を参照してください。
HA 用の必須製品およびパッケージのリストについては、表 3–9 を参照してください。指示の詳細は、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールガイド』を参照してください。
実行時ファイル用に HAStoragePlus を使用している場合は、共有ディスクをローカルディレクトリにマウントするか、手順 3 に進みます。
次に例を示します。
マウントポイント (/local/ im/im_runtime_base/) が存在しない場合は、マウントポイントを作成します。
手順 4 で設定中に指定するよう求められた場合は、このディレクトリ (/local /im/im_runtime_base/ ) をInstant Messaging サーバーの実行時ファイルのディレクトリに指定します。
mount コマンドを使用して、ディスクを /local/im/im_runtime_base にマウントします。
configure ユーティリティーを実行します。
指示の詳細については、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルのディレクトリを指定するよう求められたら、次のいずれかを入力してください。
実行時ファイルで HAStoragePlus を使用している場合は、 /local/im/im_runtime_base / を入力します。
実行時ファイルでクラスタファイルシステムを使用している場合は、/global/im/ im_runtime_base / を入力します。ここで、/global/ im には、クラスタファイルシステム内のグローバルディレクトリを指定します。
Instant Messaging のホスト名の指定が求められたら、論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
設定後やシステムの起動時に、Instant Messaging の起動を選択しないようにしてください。
さらに、HA 設定を行う場合、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスで論理ホストがオンラインになっている必要があります。
実行時ファイルで HAStoragePlus を使用している場合は、共有ディスクをマウント解除します。
前の手順 (「設定ファイルおよびバイナリ用のローカルディスクを使用して、ノード 1 上に HA を設定するには」) の説明に従って、ノード 1 上の HA 構成が完了していることを確認します。
『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章および表 3–8 のチェックリストで、必要な情報をすぐに指定できるようにしておきます。
Java Enterprise System インストーラを使用して製品およびパッケージをインストールします。
クラスタ内の後続ノードごとに、ノード 1 への Instant Messaging のインストール時に使用したのと同じパスを選択します。指示の詳細は、「インストールディレクトリの選択 (im_svr_base )」を参照してください。
HA 用の必須製品およびパッケージのリストについては、表 3–9 を参照してください。指示の詳細は、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールガイド』を参照してください。
configure ユーティリティーを実行します。
指示の詳細については、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルディレクトリを指定するよう求められたら、ノード 1 で指定したのと同じ値を入力します。
Instant Messaging ホスト名を指定するよう求められたら、ノード 1 で指定したのと同じ論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
ユーザーおよびグループの入力が求められたら、ノード 1 で指定したのと同じ値を入力します。
設定後やシステムの起動時に、Instant Messaging の起動を選択しないようにしてください。
さらに、HA 設定を行う場合、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスで論理ホストがオンラインになっている必要があります。
『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章および表 3–8 のチェックリストに記入して、必要な情報をすぐに指定できるようにしておいてください。
HAStoragePlus ではなく、設定ファイルおよびバイナリ用の共有ディスクを使用している場合は、クラスタファイルシステムを使用する必要があります。
Java Enterprise System インストーラを使用して、クラスタファイルシステム内のディレクトリに製品およびパッケージをインストールします。
Instant Messaging をインストールする場合は、デフォルトディレクトリ以外のディレクトリを指定する必要があります。指示の詳細は、「インストールディレクトリの選択 (im_svr_base )」を参照してください。
HA 用の必須製品およびパッケージのリストについては、表 3–9 を参照してください。指示の詳細は、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールガイド』を参照してください。
/etc/opt/SUNWiim から /global/im/etc/opt/SUNWiim をリンク先とするソフトリンクを作成します。
Instant Messaging をインストールしたグローバルディレクトリ (/global/ im/im_svr_base/configure ) から configure を実行します。
指示の詳細は、『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章を参照してください。
Instant Messaging サーバーの実行時ファイルディレクトリを指定するよう求められたら、/global/im/ im_runtime_base の値を入力します。
Instant Messaging のホスト名の指定が求められたら、論理ホストを入力します。
configure ユーティリティーが指定されたホストに接続できない場合でも、論理ホストの受け入れを選択します。論理ホストのリソースは、configure ユーティリティーの実行時にオフラインの可能性があります。
設定後やシステムの起動時に、Instant Messaging の起動を選択しないようにしてください。
さらに、HA 設定を行う場合、Instant Messaging が正しく動作するために、Instant Messaging サービスで論理ホストがオンラインになっている必要があります。
前の手順 (「設定ファイルおよびバイナリ用の共有ディスクを使用して、ノード 1 上に HA を設定するには」) の説明に従って、ノード 1 上の HA 設定が完了していることを確認します。
『Sun Java System Instant Messaging 7 2005Q1 管理ガイド』の第 1 章および表 3–8 のチェックリストで、必要な情報をすぐに指定できるようにしておきます。
/etc/opt/SUNWiim から /global/im/etc/opt/SUNWiim をリンク先とするソフトリンクを作成します。
リソースタイプ登録 (RTR) ファイルのソフトリンクを作成します。
ln -s /global/im/ im_svr_base/cluster/SUNW.iim \ /usr/cluster/lib/rgm/rtreg/SUNW.iim |
Instant Messaging を起動する前に、リソースグループの作成、論理ホストの追加、およびリソースグループのオンライン化を実行する必要があります。
Instant Messaging のフェイルオーバーリソースグループを im_resource_group という名前で作成します。
# scrgadm -a -g im_resource_group -h im-node-2,im-node-1 |
リソースグループに論理ホスト名 im_logical_host を追加します。
Instant Messaging は、このホスト名上で待機します。
# scrgadm -a -L -g im_resource_group -l im_logical_host |
リソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g im_resource_group |
Instant Messaging データサービスをオンラインにする前に、ここで説明する手順に従って、ストレージリソースを 登録および有効化する必要があります。
ストレージリソースを登録します。
グローバルファイルシステム (GFS) を使って HAStoragePlus を使用する場合、マウントポイントを FileSystemMountPoints プロパティーの値として設定します。次に例を示します。
# scrgadm -a -j im_resource_group_store -g im_resource_group -t SUNW.HAStorage \ -x FileSystemMountPoints=/global/ im -x AffinityOn=True |
または、マウントポイントを ServicePaths プロパティーとして指定します。次に例を示します。
# scrgadm -a -j im-resource-group-store -g im-resource-group -t SUNW.HAStorage \ -x ServicePaths=/global/im -x AffinityOn=True |
ストレージリソースを有効にします。
# scswitch -e -j im_resource_group_store |
HA Instant Messaging サーバーまたはマルチプレクサを起動する前に、Sun Cluster でリソースタイプ SUNWiimsc を登録して、リソースを作成する必要があります。
リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.iim |
リソースを作成します。
次のコマンドを 1 行で入力します。
# scrgadm -a -j im_resource -g im_resource_group -t SUNW.iim -x Confdir_list=/global/im/ im_resource_group -y Resource_dependencies=im_resource_group_store -y Port_list=80/tcp |
リソースを有効にします。
# scswitch -e -j im_resource |
Instant Messaging コンポーネントを起動します。
Sun Cluster を使用する HA 環境では、imadmin start、imadmin stop、および imadmin refresh コマンドを使用しないでください。その代わりに、Sun Cluster 管理ユーティリティーを使用してください。
Instant Messaging の起動後に、ここで説明する手順に従って HA 設定を検証する必要があります。
すべての必須プロセスが実行中であることを確認します。
高可用性を保証するため、サービスをバックアップノードに切り替えます。
たとえば、サービスが im_node_1 上で稼働している場合、次のコマンドを実行してサービスを im_node_2 に切り替えます。
# scswitch -z -g im_resource_group -h im_node_2 |
すべての必須プロセスが im_node_2 上で起動していることを確認します。
トラブルシューティングを容易にするため、エラーログにエラーメッセージが書き込まれます。このログは、syslog 機能で制御されます。ログ機能の使用方法の詳細は、「HA 関連のマニュアル」および syslog.conf のマニュアルページを参照してください。