電子メールが日常業務に重要な地位を占める場合は、メッセージングシステムが常に運用可能な状態であることを確実にするために、ロードバランサ、MX (メール交換) レコード、リレーのような冗長コンポーネントが必要になります。
冗長 MTA を使用することで、あるコンポーネントが動作不能に陥っても、別のコンポーネントが使用可能になります。また、リソースを冗長 MTA に分散することで、負荷の分散も行われます。この冗長性により、Messaging Server システムにフォールトトレランスも提供されます。それぞれの MTA リレーが、他の MTA リレーの機能を受け持ちます。
冗長ネットワーク接続をサーバーと MTA にインストールすることで、ネットワークの問題に対するフォールトトレランスが実現します。メッセージング配備が組織にとってより重要なものであるほど、フォールトトレランスと冗長性の検討もより重要になります。
「MX (メール交換) レコード」および 「インバウンド MTA とアウトバウンド MTA」の詳細については、次の節で説明します。
MX レコードは、1 つのホスト名を別のホスト名にマップする DNS レコードの一種です。等しい優先度の MX レコードにより、冗長化されたインバウンド MTA にメッセージがルーティングされます。たとえば、インターネットからの送信 MTA は、siroe.com に対する MX レコードが、MTAA.siroe.com および MTAB.siroe.com に対応していることを検出します。優先度が同じためにこれらの MTA の 1 つがランダムに選択され、SMTP 接続が開かれます。最初に選択された MTA が応答しなかった場合は、メールは別の MTA に送信されます。次の MX レコードの例を参照してください。
siroe.com in MX 10 MTAA.siroe.com siroe.com in MX 10 MTAB.siroe.com |
Messaging Server ホストがそれぞれ多数のユーザーをサポートしており、SMTP メールの送信負荷が高い場合、独立したインバウンド MTA とアウトバウンド MTA を使用することで Messaging Server ホストはルーティングタスクから開放されます。送信メッセージと受信メッセージの処理に異なる MTA を指定して、さらに負荷の分散を図ることもできます。
インバウンド MTA とアウトバウンド MTA の両方が、1 つの送受信 SMTP ホストとして組み合わされる場合もあります。1 つまたは複数の MTA ホストが必要であるかどうかを判断するには、アーキテクチャー全体のインバウンドおよびアウトバウンドメッセージのトラフィック特性を確認します。
負荷分散を使用すると、負荷を複数のサーバーに分散して、どれか 1 つのサーバーが過負荷状態にならないようにします。ロードバランサは、クライアントからの要求を受けて、各サーバーの CPU とメモリーの使用率を追跡するようなアルゴリズムを使用して、利用可能なサーバーに要求をリダイレクトします。ロードバランサは、共通サーバーで実行されるソフトウェアとして、純粋に外部のハードウェアソリューションとして、またはハードウェアとソフトウェアを組み合わせたパッケージとして使用可能です。