集中トポロジでは、ほとんどまたはすべての、主要なシステムコンポーネントおよびメッセージングプロセスを 1 つのサイトに配置します。リモートサイトのクライアントは、Wide Area Network (WAN) により中央メッセージングサーバーと通信を行います。図 12–1 は集中トポロジを示します。
次のような場合に、集中トポロジの導入を検討します。
リモートサイトでのメッセージングがミッションクリティカルなものではない。
小さなサイズのテキストメッセージの送受信を行うユーザーが多い。
組織が 1 つの物理的な場所にあるか、または小人数のユーザーが複数の場所に分散している。
リモートサイトのサポート要員がいない。
リモートサイトと中央サイト間で、少なくとも ISDN 以上の良質な帯域幅が使用可能。
集中トポロジの導入にはいくつかのメリットがあります。一般に、集中トポロジでは、ハードウェアとサポートのコストが低くなります。単純なメッセージングアーキテクチャーと少数のレプリカ契約によるディレクトリレプリカ構造のため、集中トポロジにすると管理がより容易になります。単純なアーキテクチャーと地理的に離れたサイト間でインストールを調整する必要がないため、集中トポロジでは迅速な配備が可能です。
ただし、集中トポロジの実施にはメリットと等しくデメリットもあります。集中化アプローチは WAN に大きく依存しています。ネットワークが正しく機能しなくなると、同じサイトのユーザーもリモートサイトのユーザーも、共に電子メールの送信ができなくなります。ネットワークの帯域幅とトラフィックにより、使用率がピークに達したときはサービスの処理が遅くなる場合があります。同じドメイン内にメッセージを送信するユーザーにとって、集中トポロジは非効率的となります。たとえば、図 12–1 では、東京サイトのあるユーザーが送信したメッセージは、同じ東京サイトの別のユーザーに配信される前にまず中央サイトに送られます。