Directory Server Enterprise Edition では、バイナリ復元と、LDIF ファイルからの復元という 2 つの方法でデータを復元できます。バックアップ方法と同様に、どちらの方法にも利点と制限があります。
バイナリ復元では、データベースレベルでデータがコピーされます。バイナリ復元は、次のいずれかのコマンドを使用して実行されます。
dsadm restore はオフラインで、つまり Directory Server インスタンスが停止されているときに実行してください。このコマンドは、Directory Server インスタンスを含むローカルサーバーで実行してください。
dsconf restore は、オンラインで実行でき、さらに Directory Server インスタンスのリモートからも実行できます。
バイナリ復元には、次のような利点があります。
すべてのサフィックスを一度に復元できる。
レプリケーション更新履歴ログが復元される。
LDIF ファイルからの復元と比較して、バイナリ復元は格段に高速である。
バイナリ復元には、次のような制限があります。
復元は、同一の設定を持つサーバーでしか実行できない (「バイナリバックアップ」を参照)。バイナリ復元機能を使用したデータの復元の詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド』の「バイナリ復元」を参照してください。
データベースが破壊されていることに気付かずにバイナリバックアップを実行した場合は、破壊されたデータベースが復元される危険性がある。バイナリバックアップは、データベースの現在の状態をありのままにコピーします。
マシンの設定が同一であり、実行時間を極力減らすことを一番の目的としている場合は、推奨される復元方法はバイナリ復元になります。
次の図は、M1 と M2 が同一の設定を持ち、M3 と M4 が同一の設定を持つことを前提としています。この例では、M1 または M2 を M1 (db1) のバイナリバックアップから復元できます。M3 または M4 を M3 (db2) のバイナリバックアップから復元できます。
LDIF ファイルからの復元は、サフィックスレベルで実行されます。このため、このプロセスはバイナリ復元と比較して時間がかかります。LDIF からの復元は、次のいずれかのコマンドを使用して実行できます。
dsadm import はオフラインで、つまり Directory Server インスタンスが停止されているときに実行してください。このコマンドは、Directory Server インスタンスを含むローカルサーバーで実行してください。
dsconf import は、オンラインで実行でき、さらに Directory Server インスタンスのリモートからも実行できます。
LDIF ファイルからの復元には、次のような利点があります。
このコマンドは、設定に関係なくどのサーバーからも実行できる。
レプリケーショントポロジに関係なく、ディレクトリサービス全体の配備に単一の LDIF ファイルを使用できる。予定されているビジネスニーズに合わせてディレクトリサービスをダイナミックに拡張または縮小する場合に、この機能は特に便利である。
LDIF ファイルからの復元には、1 つの制限があります。迅速な復元が必要な状況では、この方法は時間がかかり過ぎる場合があります。LDIF ファイルからのデータの復元の詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド』の「LDIF ファイルからのデータのインポート」を参照してください。
次の図では、1 つのマスター (M1) でのみ、レプリケートされた各サフィックスに対して dsadmin import が実行されています。