MQ Enterprise Edition は、ブローカクラスタと呼ばれる、相互に接続した複数のブローカインスタンスをサポートします。ブローカクラスタによって、クライアント接続はクラスタ内のすべてのブローカに分散されます。クラスタ化することで、水平方向のスケーラビリティーが提供され、可用性が向上します。
この節では、Sun Java System Message Queue クラスタを使用するために Communications Server を設定する方法を説明します。また、Message Queue クラスタを開始および設定する方法も解説します。
Communications Server および MQ 配備のトポロジの詳細については、『Sun GlassFish Enterprise Server 2.1 配備計画ガイド』の「Message Queue ブローカの配備の計画」を参照してください。
これまでは、この節のあとの手順で説明されているように、「非高可用性」MQ クラスタ (マスターブローカを持つ MQ クラスタ) を管理者が個別に設定する必要がありました。このリリースでは、(REMOTE タイプの) 手動でのプロセスによる MQ クラスタの設定に加えて、Communications Server は「自動クラスタ化」を提供します。これは、ユーザーが Application Server クラスタを作成するときに、(LOCAL タイプの) 共存する非 HA クラスタが自動的に作成されることを意味します。これは MQ クラスタの作成のデフォルトモードになります。たとえば、3 つの Application Server インスタンスを持つ Application Server クラスタを管理者が作成すると、各 Application Server インスタンスは共存するブローカと連動するように設定され、結果的に MQ クラスタが透過的に 3 つの MQ ブローカインスタンスを形成します。最初の Application Server インスタンスの MQ ブローカがマスターブローカに設定されます。ただし、自動クラスタ化には短所もあります。管理者がクラスタにインスタンスを追加する場合、自動的に作成される MQ ブローカインスタンスはクラスタに参加できません。この動作は、インスタンスがクラスタから削除される場合にも適用されます。
クラスタが REMOTE タイプの場合、次の手順を実行します。クラスタが LOCAL タイプの場合、手順 1 ~ 4 は該当しません。
クラスタがまだない場合、クラスタを作成します。
クラスタの作成については、「クラスタを作成する」を参照してください。
MQ ブローカクラスタを作成します。
まず、ドメイン管理サーバーによって起動されるブローカを参照するデフォルト JMS ホストを削除してから、MQ ブローカクラスタに 3 つの外部ブローカ (JMS ホスト) を作成します。
JMS ホストの作成は、管理コンソールまたは asadmin コマンド行ユーティリティーのいずれかを使用して行います。
asadmin を使用する場合は、たとえば次のコマンドを実行します。
asadmin delete-jms-host --target cluster1 default_JMS_host asadmin create-jms-host --target cluster1 --mqhost myhost1 --mqport 6769 --mquser admin --mqpassword admin broker1 asadmin create-jms-host --target cluster1 --mqhost myhost2 --mqport 6770 --mquser admin --mqpassword admin broker2 asadmin create-jms-host --target cluster1 --mqhost myhost3 --mqport 6771 --mquser admin --mqpassword admin broker3 |
管理コンソールを使用してホストを作成するには、次のようにします。
マスター MQ ブローカとほかの MQ ブローカを起動します。
JMS ホストマシン上で起動する 3 つの外部ブローカに加えて、任意のマシン上で 1 つのマスターブローカを起動します。このマスターブローカは、ブローカクラスタの一部である必要はありません。次に例を示します。
/usr/bin/imqbrokerd -tty -name brokerm -port 6772 -cluster myhost1:6769,myhost2:6770,myhost2:6772,myhost3:6771 -D"imq.cluster.masterbroker=myhost2:6772" |
クラスタ内の インスタンスを起動します。
クラスタ上に JMS リソースを作成します。
JMS 物理送信先を作成します。
たとえば、次の asadmin を使用します。
asadmin create-jmsdest --desttype queue --target cluster1 MyQueue asadmin create-jmsdest --desttype queue --target cluster1 MyQueue1 |
管理コンソールを使用する場合は、次のようにします。
JMS 接続ファクトリを作成します。
たとえば、次の asadmin を使用します。
asadmin create-jms-resource --target cluster1 --restype javax.jms.QueueConnectionFactory jms/MyQcf asadmin create-jms-resource --target cluster1 --restype javax.jms.QueueConnectionFactory jms/MyQcf1 |
管理コンソールを使用する場合は、次のようにします。
JMS 送信先リソースを作成します。
たとえば、次の asadmin を使用します。
asadmin create-jms-resource --target cluster1 --restype javax.jms.Queue --property imqDestinationName=MyQueue jms/MyQueue asadmin create-jms-resource --target cluster1 --restype javax.jms.Queue --property imqDestinationName=MyQueue1 jms/MyQueue1 |
管理コンソールを使用する場合は、次のようにします。
– retrieve オプションを指定して、アプリケーションをアプリケーションクライアント用に配備します。次に例を示します。
asadmin deploy --target cluster1 --retrieve /opt/work/MQapp/mdb-simple3.ear |
アプリケーションにアクセスして、期待どおりの動作をするかテストします。
Communications Server をデフォルトの JMS 設定に戻す場合は、作成した JMS ホストを削除して、デフォルトを作成し直します。次に例を示します。
asadmin delete-jms-host --target cluster1 broker1 asadmin delete-jms-host --target cluster1 broker2 asadmin delete-jms-host --target cluster1 broker3 asadmin create-jms-host --target cluster1 --mqhost myhost1 --mqport 7676 --mquser admin --mqpassword admin default_JMS_host |
管理コンソールを使用して、これに相当する操作を実行することもできます。
問題が起きた場合は、次の点を考慮してください。
サーバーログファイルを表示します。このファイルの場所は、as-install-dir/nodeagents/node-agent-name/instance-name/logs/server.log です。MQ ブローカがメッセージに応答しないとログファイルに記録されている場合は、ブローカを停止してから再起動します。
ブローカログを表示します。このログの場所は、as-install-dir/nodeagents/node-agent-name/instance-name/imq/imq-instance-name/log/log.txt です。
リモートの JMS タイプについては、必ず、MQ ブローカを最初に起動してから インスタンスを起動するようにしてください。
すべての MQ ブローカが停止した場合、Java Message Service のデフォルト値では、Communications Server の停止または起動までに 30 分かかります。Java Message Service の値を調整して、このタイムアウトを許容できる値にしてください。次に例を示します。
asadmin set --user admin --password administrator cluster1.jms-service.reconnect-interval-in-seconds=5