Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)

第 5 章 インストール時の問題解決

この章では、Solaris ソフトウェアのインストール時に発生する可能性のあるエラーメッセージと一般的な問題について説明します。これらのエラーメッセージや問題は、Solaris Web Start 固有のものもあれば、そうでないものもあります。通常これらの問題は、この章の 2 つの主要な節であるシステムのブートと Solaris ソフトウェアのアップグレードに関連したものです。

システムのブート

エラーメッセージ


le0: No carrier - transceiver cable problem
 

問題 

対処方法 

システムがネットワークに接続されていない。 

ネットワークに接続されていないシステムの場合、このメッセージは無視してください。ネットワークに接続されているシステムの場合は、Ethernet ケーブルがしっかりと接続されているか確認してください。 


The file just loaded does not appear to be executable

問題 

対処方法 

ブート用の適切な媒体が見つからない。 

インストールサーバーからネットワーク上でインストールできるようにシステムが正しく設定されているか確認してください。たとえば、システムに合ったプラットフォームグループを指定しているか確認します。 

また、Solaris 8 INSTALLATION MULTILINGUAL CD (SPARC) をハードディスク上にコピーしていない場合、インストールサーバーの Solaris 8 INSTALLATION MULTILINGUAL CD (SPARC) がマウントされていて、アクセスできるようになっているか確認してください。 


boot: cannot open /kernel/unix

問題 

対処方法 

このエラーは、ブートファイルの位置を明示的に /kernel/unix に設定することにより上書きする場合に発生する。Solaris 2.6 より後のリリースでは、カーネルは /kernel/unix ではなく、/platform/arch/kernel/unix の中にある。

PROM においてブートファイルを " " (空白) にリセットします。 


Can't boot from file/device                                   

問題 

対処方法 

システムの CD-ROM ドライブに Solaris 8 INSTALLATION MULTILINGUAL CD (SPARC) がない。 

次のことを確認してください。 

  • CD-ROM ドライブが正しく取り付けられていて、電源が入っている。

  • Solaris 8 INSTALLATION MULTILINGUAL CD (SPARC) が CD-ROM ドライブに挿入されている。


WARNING: clock gained xxx days -- CHECK AND RESET DATE!

問題 

対処方法 

情報を伝えるメッセージ。 

メッセージを無視し、インストールを続けてください。 

Solaris ソフトウェアのアップグレード

この節では、Solaris のアップグレード時に生じる問題を解決する方法について説明します。

エラーメッセージ


No upgradeable disks

問題 

対処方法 

バグ ID: 1191792 

/etc/vfstab ファイルのスワップエントリが原因でアップグレードに失敗した。

/etc/vfstab ファイルの以下の行をコメントにしてください。

  • アップグレードしないディスク上のスワップファイルとスライスの指定行

  • 存在しないスワップファイルの指定行

  • 使用していないスワップスライスの指定行

一般的な問題

問題 

対処方法 

Solaris インストールプログラムがシステムにメタデバイスをマウントできなかったため、アップグレードに失敗した。 

メタデバイスは自動的にアップグレードできません。詳細は、『Solstice DiskSuite 4.2.1 リファレンス』を参照してください。

問題 

対処方法 

バグ ID: 1170953 

システム上にアップグレード可能なバージョンの Solaris ソフトウェアが存在するにもかかわらず、アップグレードオプションが提供されない。原因としては、以下が考えられる。 

 

原因 1: /var/sadm ディレクトリがシンボリックリンクであるか、別のファイルシステムからマウントされたディレクトリである。

原因 1 の対処方法: /var/sadm ディレクトリをルート (/) または /var ファイルシステムに移動します。

原因 2: /var/sadm/softinfo/INST_RELEASE ファイルが存在しない。

原因 2 の対処方法: 以下の形式で INST_RELEASE ファイルを作成します。

OS=Solaris
VERSION=2.x 
REV=0

x は、システム上の Solaris ソフトウェアのバージョン番号です。

問題 

対処方法 

電源障害あるいはネットワーク接続障害などの、自分では解決できないことが原因でアップグレードに失敗し、システムがブート不可能な状態になっている。

  1. Solaris 8 INSTALLATION MULTILINGUAL CD (SPARC) またはネットワークからシステムをリブートします。

  2. インストールオプションとしてアップグレードを選択します。

Solaris Web Start は、システムが一部アップグレードされているかどうかを判断し、そこからアップグレードを継続します。 

問題 

対処方法 

Solaris インストールプログラムがファイルシステムをマウントできないため、アップグレードに失敗した。アップグレード中、インストールプログラムは、システムの /etc/vfstab ファイルに含まれているすべてのファイルシステムを、アップグレードするルート (/) ファイルシステムにマウントしようとする。ファイルシステムをマウントできない場合、インストールプログラムは動作を継続できず終了する。

システムの /etc/vfstab ファイル内に含まれているすべてのファイルシステムがマウント可能であるかどうかを調べます。マウントできない、あるいは問題の原因になっていると思われるファイルシステムがあればそれらの指定をコメントにして、インストールプログラムがマウントしないようにしてください。


注 -

アップグレードされるソフトウェアを含むシステムベースのファイルシステム (たとえば /usr) は、コメントにできません。


問題 

対処方法 

アップグレードに必要な容量がない。この問題の原因として以下のことを調べ、自動レイアウト機能を使用して容量を再編成しなくても問題を解決できるかどうか判断する。

 

原因 1: アップグレード時は自動マウンタが有効でないため、インストールプログラムは、自動マウントされたファイルシステムへのシンボリックリンクとなっている、パッケージのすべてのファイルとディレクトリをインストールする。シンボリックリンクが上書きされると、ディスク容量が不足するためにアップグレードが失敗することがある。 


注 -

通常、自動マウントされたファイルシステムに置かれる /var/mail/var/news ディレクトリがアップグレードの影響を受けることはありません。


原因 1 の対処方法: アップグレード時、自動マウントされたファイルシステム内にファイルやディレクトリを作成するソフトウェアパッケージを削除してください。そうすると、既存のシンボリックリンクがパッケージのファイルまたはディレクトリで上書きされません。 

原因 2: アップグレードするソフトウェアグループに新しいソフトウェアが追加されているか、既存の一部のソフトウェアのサイズが大きくなっている可能性がある。アップグレードでは、インストールプログラムは、以前システムにインストールされたソフトウェアグループに新たに加わったソフトウェアをすべてインストールし、同時にシステムの既存のパッケージもアップグレードする。 

原因 2 の対処方法: アップグレード時、大きな容量を必要とするソフトウェアパッケージを削除してください。特に今回の Solaris ソフトウェアで新たに追加されたパッケージで、不要なものを削除してください。