SunOSTM 5.x は、AT&T の SVR4 (System V Release 4.0) をベースとしたオペレーティングシステムです。このため SunOS 5.x は、以前の SunOS 4.x リリース (4.3 BSD ベース) とのバイナリ互換性がありません。SunOS 4.x 上で稼働しているアプリケーションのなかには、そのままでは SonOS 5.x 上で正しく実行できないものもあります。
SunOS 5.x に対し、「SunOS バイナリ互換パッケージ」を使用すると、SunOS 4.x ベースのアプリケーションを実行できるようになります。また、「OpenWindowsTM バイナリ互換パッケージ」は、SunOS 4.x 上のウィンドウアプリケーションを、SolarisTM 8 (SunOS 5.x と OpenWindows) 環境で実行可能とします。SunOS バイナリ互換パッケージと OpenWindows バイナリ互換パッケージ (ソース互換パッケージも別個必要です) を使用すると、SunOS 4.x リリースで正しく働いているアプリケーションバイナリを、修正も再コンパイルもせずに Solaris 8 上で実行できます。しかし、これらのパッケージは、Solaris 8 へ移行する際の一時的な支援として使用されることを意図しており、アプリケーションの移植が不要になるわけではありません。
このマニュアルでは、「SunOS 4.x」という言葉を、以下に示す各リリースの総称として使用します。
SunOS 4.1
SunOS 4.1.1
SunOS 4.1.2
SunOS 4.1.3
このマニュアルは、SunOS 4.x のアプリケーションを Solaris 8 リリースで簡単に実行できるようにしたいと望んでいるアプリケーション開発者を対象としています。このマニュアルでは、バイナリ互換パッケージとは何か、それによって何ができ、何ができないか、またバイナリ互換パッケージのインストール方法と使用方法について記述します。また、アプリケーションを開発するとき、または既存の SunOS 4.x アプリケーションを Solaris 8 で容易に実行できる方法を検討するときに、どのような点を考慮する必要があるかについても説明します。このマニュアルで述べる最も重要な点は、このパッケージに関する制約事項、つまり、バイナリ互換性が維持できない項目に関する記述です。
互換性の一般的な事項に関する詳しい説明は、『Solaris 移行ガイド』に収めてあります。
このマニュアルの構成は以下のとおりです。
第 1 章「バイナリ互換パッケージの紹介」では、これらのパッケージをインストールし使用する方法について説明します。
第 2 章「バイナリ互換性」では、SunOS バイナリ互換パッケージが、システムインタフェースレベルでアプリケーションに何を提供するかについて説明します。この章では、バイナリ互換性が利用できない状況についても説明します。
第 3 章「ウィンドウシステム互換性」では、ウィンドウシステムの互換性について詳しく説明します。この章では、SunOS 4.x リリースで使用できる各種のウィンドウマネージャおよびツールキットに対し、バイナリ互換性がどの程度まで実現できるかについて説明します。
専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。
http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索をおこなうこともできます。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、およびディレクトリ名を示します。または、画面上のコンピュータ出力を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力とは区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章や節を示します。また、ボタンやメニューなど、強調する単語を囲む場合にも使用します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 |
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の場合、filename は省略してもよいことを示します。
ただしAnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
このマニュアルでは、英語環境での画面イメージを使っています。このため、実際に日本語環境で表示される画面イメージとこのマニュアルで使っている画面イメージが異なる場合があります。本文中で画面イメージを説明する場合には、日本語のメニュー、ボタン名などの項目名と英語の項目名が適宜、併記されています。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャ を意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、 Pnetium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、 および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。