Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

不正なスーパーブロックの復元

ファイルシステムのスーパーブロック内のデータが破壊された場合は、復元しなければなりません。スーパーブロックが不正なときには、fsck からメッセージが表示されます。幸い、スーパーブロックの冗長コピーがファイルシステム内に格納されています。fsck -o b を使用すると、スーパーブロックをそのコピーで置き換えることができます。

不正なスーパーブロックを復元する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. データが破壊されたファイルシステム上のディレクトリがカレントディレクトリになっている場合は、カレントディレクトリを変更します。

  3. ファイルシステムをマウント解除します。


    # umount mount-point
    

    注意 - 注意 -

    次の手順では、必ず newfs -N オプションを使用してください。-N オプションを省略すると、新しい空のファイルシステムが作成されます。


  4. newfs -N コマンドを使用して、スーパーブロックの値を表示します。


    # newfs -N /dev/rdsk/device-name
    

    このコマンドの出力には、newfs によってファイルシステムが作成されたときに、スーパーブロックのコピーとして使用されることになったブロック番号が表示されます。カスタマイズされたファイルシステムを作成する方法については、「カスタムファイルシステムパラメータの決定」を参照してください。

  5. fsck コマンドを使用して、代替スーパーブロックを指定します。


    # fsck -F ufs -o b=block-number /dev/rdsk/device-name
    

    fsck は、指定された代替スーパーブロックを使用して、一次スーパーブロックを復元します。いつでも代替ブロックとして 32 を試すことができます。また、newfs -N で表示された代替ブロックを使用することもできます。

例 - 不正なスーパーブロックを復元する

次の例では、/files7 ファイルシステムのスーパーブロックがブロック番号 5264 に存在するコピーを使って復元されます。


# cd /
# umount /files7
# newfs -N /dev/rdsk/c0t3d0s7
/dev/rdsk/c0t3d0s7: 163944 sectors in 506 cylinders of 9 tracks, 36 sectors
 83.9MB in 32 cyl groups (16 c/g, 2.65MB/g, 1216 i/g)
super-block backups (for fsck -b #) at:
 32, 5264, 10496, 15728, 20960, 26192, 31424, 36656, 41888,
 47120, 52352, 57584, 62816, 68048, 73280, 78512, 82976, 88208,
 93440, 98672, 103904, 109136, 114368, 119600, 124832, 130064, 135296,
 140528, 145760, 150992, 156224, 161456,
# fsck -F ufs -o b=5264 /dev/rdsk/c0t3d0s7
Alternate superblock location: 5264.
** /dev/rdsk/c0t3d0s7
** Last Mounted on
** Phase 1 - Check Blocks and Sizes
** Phase 2 - Check Pathnames
** Phase 3 - Check Connectivity
** Phase 4 - Check Reference Counts
** Phase 5 - Check Cyl groups
36 files, 867 used, 75712 free (16 frags, 9462 blocks, 0.0% fragmentation)
/dev/rdsk/c0t3d0s7 FILE SYSTEM STATE SET TO OKAY

***** FILE SYSTEM WAS MODIFIED *****
# 

ルート (/) ファイルシステム中のスーパーブロックが破壊されていてシステムをブートできない場合は、/kernel/unix を再インストールして newfs コマンドでルートファイルシステムを再構築してください。スーパーブロックは newfs コマンドによって作成されるので、ユーザーが復元する必要はありません。

fsck で修復できない UFS ファイルシステムを修正する方法

あるパスで問題が訂正されたために、前のパスで見つからなかった問題が表面化する場合があるので、fsck を何度か実行してファイルシステムを修正しなければならないことがあります。fsck はクリーンになるまで動作を続けるわけではないので、手作業で実行しなければなりません。

fsck で表示される情報に注目してください。問題を解決する上で参考になります。たとえば、メッセージは不正なディレクトリを指す場合があります。そのディレクトリを削除すると、fsck が問題なく実行されるようになる場合もあります。

それでも fsck でファイルシステムを修復できない場合は、fsdbffclri、または ncheck コマンドを使用し、間違いを指定して修正します。これらのコマンドの使用方法については、fsdb(1M)ff(1M)clri(1M)ncheck(1M) の各マニュアルページを参照してください。最終的には、ファイルシステムを作成し直し、その内容をバックアップ媒体から復元せざるを得ない場合があります。ファイルシステム全体を復元する方法については、第 44 章「ファイルとファイルシステムの復元 (手順)」を参照してください。

ファイルシステムを完全に修復できないが、読み取り専用としてマウントできる場合は、cptar、または cpio を使用して、データのすべてまたは一部をファイルシステムから取り出してください。

問題の原因がハードウェア上のディスクエラーであれば、ファイルシステムを作成し直して復元する前に、ディスクをフォーマットし直して再びスライスに分割しなければならない場合があります。一般に、ハードウェアエラーが発生すると、さまざまなコマンドで同じエラーが繰り返し表示されます。format(1M) コマンドはディスク上の不良ブロックを使用しないようにします。ただし、ディスクの損傷が致命的な場合、フォーマットし直した後も問題が解決されないことがあります。format コマンドの使用方法については、format(1M) のマニュアルページを参照してください。新しいディスクをインストールする方法については、第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」または第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」を参照してください。