Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

ディスクタイプ (format.dat)

disk_type は、コントローラとディスクのモデルを定義します。各 disk_type 定義には、ディスクの物理ジオメトリに関する情報が入っています。デフォルトのデータファイルには、Solaris オペレーティング環境でサポートされるコントローラとディスクの定義が入っています。サポートされないディスクを使用する場合に限り、新しい disk_type を追加する必要があります。必要に応じて、disk_type 定義をデータファイルにいくつ追加してもかまいません。

キーワード自体が、ディスクタイプ名になります。この名前は、ディスクのラベルの一部になり、format の実行時にディスクタイプを識別するために使用されます。空白が含まれている名前は、二重引用符で囲んでください。表 32-7に、すべての disk_type 定義でキーワードの他に割り当てなければならない識別子を示します。

表 32-7 必須の disk_type 識別子

識別子 

説明 

ctlr

ディスクタイプに有効なコントローラのタイプ。現在、この代入式に有効な値は SCSI と ISP-80 (IPI コントローラ) である。 

ncyl

ディスクタイプ内のデータシリンダ数。この数によって、システムがアクセスできるディスクの論理シリンダ数が決まる。 

acyl

ディスクタイプ内の代替シリンダ数。format は、これらのシリンダを使用して、ドライブの欠陥リストなどの情報を格納する。代替シリンダとして、常に 2 つはシリンダを残しておく必要がある。

pcyl

ディスクタイプ内の物理シリンダ数。この数は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。通常、この数値は ncylacyl の合計に等しくなるが、そうでない場合もある。

nhead

ディスクタイプ内のヘッド数。この数値は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。 

nsect

ディスクタイプ内の 1 トラック当たりのデータセクター数。この数値は、ディスク媒体の境界を計算するために使用される。これはデータセクターだけで、スペアは割り当てには含まれない。 

rpm

ディスクタイプの 1 分当たりの回転数。この情報はラベルに書き込まれ、後からファイルシステムでファイルデータの最適位置の計算に使用される。 

コントローラによっては、他の代入式が必要な場合があります。表 32-8に、SCSI コントローラに必要な代入式を示します。

表 32-8 SCSI コントローラの disk_type 識別子

識別子 

説明 

fmt_time

所定のドライブのフォーマットに要する時間を示す数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

cache

format の処理中にオンボードキャッシュの動作を制御する数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。

trks_zone

代替セクターのマッピング内で使用される 1 つの欠陥領域当たりのトラック数を指定した数値。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

asect

このパラメータに代入した数値は、所定の欠陥領域内で代替マッピングに利用できるセクター数を指定する。詳細は、コントローラのマニュアルを参照。 

次に、disk_type 定義の例を示します。


disk_type = "SUN1.3G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : trks_zone = 17 : asect = 6 : atrks = 17 ¥
        : ncyl = 1965 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 17 : nsect = 80 ¥
        : rpm = 5400 : bpt = 44823

disk_type = "SUN2.1G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : ncyl = 2733 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 19 : nsect = 80 ¥
        : rpm = 5400 : bpt = 44823

disk_type = "SUN2.9G" ¥
        : ctlr = SCSI : fmt_time = 4 ¥
        : ncyl = 2734 : acyl = 2 : pcyl = 3500 : nhead = 21 : nsect = 99 ¥
        : rpm = 5400