Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

i ノード数

i ノードリストは、i ノード 2 から順番にチェックされます (i ノード 0 と i ノード 1 は予約されています)。各 i ノードの非整合性は、次の面からチェックされます。

i ノードのフォーマットとタイプ

各 i ノードには、そのタイプと状態を記述するモードのワードが入っています。i ノードには、次の 6 つのタイプがあります。

i ノードの状態は、次の 3 つに分かれています。

ファイルシステムが作成されると、一定数の i ノードが確保されますが、必要になるまでは割り当てられません。割り当て済みの i ノードとは、ファイルを指す i ノードです。未割り当ての i ノードは、ファイルを指さないので空のはずです。不完全に割り当て済みの状態は、i ノードが正しくフォーマットされていないことを意味します。たとえば、ハードウェア障害が原因で i ノードに不正なデータが書き込まれると、i ノードは不完全に割り当て済みの状態になることがあります。fsck が実行できる唯一の修正動作は、その i ノードを消去することです。

リンク数のチェック

各 i ノードには、そこにリンクされているディレクトリエントリ数が入っています。fsck プログラムは、ルートディレクトリから順番にディレクトリ構造全体を検査し、i ノードごとに実際のリンク数を計算して、各 i ノードのリンク数を検査します。

i ノードに格納されているリンク数が fsck によって判断された実際のリンク数と一致しない場合は、次の 3 つの状況が考えられます。

重複ブロックのチェック

各 i ノードには、それが使用するすべてのブロックのリスト、またはリストを指すポインタ (間接ブロック) が入っています。間接ブロックは i ノードによって所有されるので、間接ブロックの整合性が失われると、それを所有する i ノードが直接影響を受けます。

fsck プログラムは、i ノードから使用される各ブロック番号を、割り当て済みブロックのリストと比較します。別の i ノードからすでにブロック番号が使用されていると、そのブロック番号は重複ブロックのリストに入れられます。それ以外の場合は、割り当て済みブロックのリストが更新され、ブロック番号が追加されます。

重複ブロックがあると、fsck は再び i ノードリストを調べて、各重複ブロックを使用する他の i ノードを検索します (i ノード内に大量の重複ブロックが入っている場合は、ファイルシステムに間接ブロックが正しく書き込まれていない可能性があります)。どの i ノードにエラーがあるかを正確に判断することはできません。fsck プログラムは、保持する i ノードと消去する i ノードを選択するように促すプロンプトを表示します。

不正なブロック番号のチェック

fsck プログラムは、i ノードから使用される各ブロック番号をチェックして、その値が最初のデータブロック番号よりも大きく、ファイルシステム内の最後のデータブロック番号より小さいかどうかを調べます。ブロック番号がこの範囲に含まれない場合は、不正なブロック番号と見なされます。

間接ブロックがファイルシステムに正しく書き込まれていないことが原因で、i ノード内に不正なブロック番号が発見されることがあります。fsck はその i ノードの消去を促すプロンプトを表示します。

i ノードサイズのチェック

各 i ノードには、参照するデータブロック数が入っています。実際のデータブロック数は、割り当て済みのデータブロック数と間接ブロック数の合計です。fsck はデータブロック数を計算し、そのブロック数を i ノードから使用されるブロック数と比較します。i ノードに不正なブロック数が入っていると、fsck はその修正を促すプロンプトを表示します。

各 i ノードには、64 ビットのサイズフィールドがあります。このフィールドは、i ノードに関連付けられたファイル内の文字数 (データバイト数) を示します。i ノードのサイズフィールドに整合性があるかどうかは、サイズフィールド内の文字数を使用して、i ノードに関連付けるべきブロック数を計算し、その結果を i ノードから使用される実際のブロック数と比較して概算でチェックされます。