Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

プリンタサーバーの必要事項と推奨事項

プリンタは、スタンドアロンシステムまたはネットワーク上の任意のシステムに接続できます。ネットワークに接続されていて、プリンタを備えているシステムは、印刷負荷を管理できる十分な資源があれば、どれでもプリンタサーバーとして使用できます。

スプーリング空間

「スプーリング空間」とは、印刷待ち行列内で要求を格納し、処理するためのディスク空間です。スプーリング空間は、どのシステムをプリンタサーバーとして指定するかを決定する場合の唯一重要な要素です。ユーザーがファイルの印刷要求を出すと、それらのファイルは印刷が完了するまで /var/spool/lp ディレクトリに格納されます。/var ディレクトリのサイズは、ディスクのサイズとディスクのパーティション分割方法によって異なります。スプーリング空間は、プリンタサーバーのハードディスク上の /var ディレクトリに割り当てられるか、ファイルサーバーからマウントされてネットワーク上でアクセスされます。


注 -

/var が別のスライスとして作成されていない場合、/var ディレクトリはルート (/) ファイルシステムの空間を使用します。これは、不十分な空間になる可能性があります。


ディスク空間

システムをプリンタサーバーの候補として評価するときは、利用できるディスク空間を考慮してください。大きなスプールディレクトリでは、600M バイトのディスク空間を消費することもあります。プリンタサーバーとして指定できるシステム上で、ディスク空間のサイズと分割設定を調べてください。

また、印刷のニーズと印刷クライアントシステムの利用パターンを慎重に調べてください。小さなグループのユーザーが短い電子メールメッセージ、つまり複雑なフォームを必要としない単純な ASCII ファイルだけを印刷する場合は、20〜25M バイトのディスク空間を /var に割り当てたプリンタサーバーで十分でしょう。ただし、多数の印刷クライアントユーザーが長い文書、ビットマップ、またはラスタイメージファイルを印刷する場合は、スプーリング空間が頻繁にフルになります。ユーザーがジョブを印刷待ち行列に入れることができないと、作業の流れは中断してしまいます。より多くのスプーリング空間を要求すると、システム管理者はスプーリング用のディスク空間を追加するか、異なるシステムをグループのプリンタサーバーとして指定しなくてはならない場合があります。

プリンタサーバーが使用する/var ディレクトリが小さなパーティション上にあり、大きなディスク空間がディスク上の他の場所で利用可能な場合は、そのディスク空間をプリンタサーバーの /var ディレクトリにマウントすることにより、スプーリング空間として使用できます。ファイルシステムのマウントと vfstab ファイルの編集方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』の「ファイルシステムのマウントとマウント解除 (手順)」を参照してください。

メモリー

Solaris 環境で実行するには、少なくとも 64M バイトのメモリーが必要です。プリンタサーバー用にメモリーを追加する必要はありません。ただし、メモリーが多ければ、印刷要求のフィルタリング処理が高速になります。

スワップ空間

プリンタサーバー上のスワップ空間は、LP 印刷サービスを処理するのに十分な量を割り当ててください。スワップ空間を増やす方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』の「追加スワップ空間の構成 (手順)」を参照してください。

ハードディスク

最適の性能を発揮させるには、プリンタサーバーにハードディスクとローカル /var ディレクトリが必要です。プリンタサーバー用のスプーリング空間をローカルのハードディスク上にマウントしてください。プリンタサーバーに専用のハードディスクとローカルの /var ディレクトリがあれば、印刷処理ははるかに高速になり、印刷要求の処理に必要な時間をより正確に予測できます。