Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

承認

承認とは、制限された機能へのアクセス権を付与する、ユーザーの権利です。承認は、何が承認されていて、誰が承認を作成したかを示す固有の文字列です。

制限された機能をユーザーが実行できるかどうかは、一定の特権プログラムが承認を検査して判定します。たとえば、あるユーザーが別のユーザーの crontab ファイルを編集するには、solaris.jobs.admin 承認が必要です。

承認はすべて auth_attr データベースに格納されます。承認は、ユーザー (または役割) に直接割り当てることもできます。その場合は、承認を user_attr データベースに指定します。実行プロファイルに承認を割り当て、実行プロファイルをユーザーに割り当てることもできます。

auth_attr データベースのフィールドは次のようにコロンで区切ります。


authname:res1:res2:short_desc:long_desc:attr

フィールドの意味は次のとおりです。

フィールド名 

説明 

authname

承認を識別する固有の文字列。形式は prefix.[suffix] 。Solaris オペレーティング環境では、承認の接頭辞として Solaris を使用する。他のすべての承認には、承認を作成する組織のインターネットドメインを逆にしたもので始まる接頭辞を使用する (たとえば、com.xyzcompany)。接尾辞は、一般には機能分野と機能操作など、承認されるものを示す

接尾辞がない (つまり、authname が接頭辞と機能分野からなり、ピリオドで終わっている) 場合には、authname は、承認としてよりも、アプリケーションによって GUI の中でヘッダーとして使用される。たとえば、authname solaris.printmgr はヘッダーの例である

authname が grant という単語で終わっている場合には、authname は grant 承認として使用され、ユーザーは関連する承認 (同じ接頭辞と機能分野をもつ承認) を他のユーザーに委譲できる。たとえば、authname solaris.printmgr.grant は grant 承認の例である。ユーザーは、solaris.printmgr.adminsolaris.printmgr.nobanner などの承認を他のユーザーに委譲できる

res1

将来、使用される 

res2

将来、使用される 

short_desc

GUI のスクロールリストの中など、ユーザーインタフェースに表示するのに適している承認の簡略名 

long_desc

詳しい記述。このフィールドには、承認の目的、承認が使用されるアプリケーション、この使用に関心があるユーザーのタイプなどを記述する。詳しい記述は、アプリケーションのヘルプテキストに表示できる 

attr

承認の属性を記述するキーと値のペアをセミコロン (;) で区切ったリスト (省略可能)。ゼロまたは 1 つ以上のキーを指定できる 

キーワードは、HTML 形式のヘルプファイルを識別するのに役立つ。ヘルプファイルは、/usr/lib/help/auths/locale/C ディレクトリの index.html ファイルからアクセスできる

一般的な値を使用した auth_attr データベースの例を次に示します。

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auth_attr データベースと user_attr データベースの関係を次の例で示します。auth_attr データベースに定義されている solaris.system.date 承認が user_attr データベースのユーザー johndoe に割り当てられます。

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