Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

出力が正しくない場合の解決方法

プリンタと印刷サービスソフトウェアが正しく構成されていない場合は、プリンタで印刷されても、期待どおりに出力されないことがあります。

プリンタタイプとファイル内容形式のチェック

LP 印刷サービスでプリンタを設定するときに間違ったプリンタタイプを使用すると、不適切なプリンタ制御文字がプリンタに送られる可能性があります。その結果は予測できません。何も印刷されない、出力が読みづらい、正しい文字セットやフォントで印刷されないなどの結果となります。

間違ったファイル内容形式を指定した場合、バナーページは印刷できますが、他には何も印刷されません。プリンタに指定されたファイル内容形式は、プリンタがフィルタなしで直接印刷できるファイル形式を示します。ユーザーがプリンタにファイルを送信すると、ファイルはフィルタなしでプリンタに直接送信されます。プリンタがその形式を処理できないときは、問題が発生します。

印刷クライアントの設定時には、ファイル内容形式がプリンタサーバーと印刷クライアントの両方で正しくなければならないので、間違いをおかす機会が多くなります。推奨する方法は、印刷クライアントのファイル内容形式を any に設定することです。こうすると、ファイルはサーバーに直接送信され、フィルタが必要かどうかはサーバー側で決定されます。したがってファイル内容形式は、サーバー側だけで正しく指定すればよいことになります。

印刷クライアント側でファイル内容を指定し、フィルタリングの負荷をサーバーからクライアントに移すことができますが、内容の形式はプリンタサーバー側でサポートしなければなりません。

stty 設定値のチェック

デフォルトの stty (標準端末) 設定値がプリンタから要求される設定値と一致しないと、多数のフォーマット上の問題が生じる可能性があります。この後の節では、設定値の一部が間違っているときに発生する問題について説明します。

ボーレート設定値が正しくない場合

コンピュータのボーレート設定値がプリンタのボーレート設定値と一致しないときは、通常何か出力されますが、希望する出力は得られません。特殊文字や不要なスペースが異常に混じったランダムな出力が表示されます。LP 印刷サービスのデフォルトは 9600 ボーレートです。


注 -

プリンタがパラレルポートで接続されている場合、ボーレート設定値は関係ありません。


パリティ設定値が正しくない場合

プリンタによっては、パリティビットを使用して、印刷用に受け取ったデータに伝送中に誤りがなかったことを確認するものがあります。コンピュータとプリンタのパリティビットの設定値は一致しなければなりません。一致しない場合、文字によってはまったく印刷されないか、他の文字で置き換えられることもあります。その出力は文字間隔が正しく、ほとんどの文字が正しい位置にあるので、一見正しいように見えます。LP 印刷サービスの場合、デフォルトではパリティビットは設定されません。

タブ設定値が正しくない場合

ファイルにタブが含まれていても、プリンタがタブを予期していなければ、印刷出力にはファイルの内容が完全に印刷されますが、テキストは右マージンに対して正確に配置されないことがあります。また、プリンタのタブ設定が間違っていると、テキストに左マージンがない、テキストがつながってしまう、テキストがページの一部分に集中する、間違ってダブルスペースになってしまうなどの問題が発生します。デフォルトでは、タブは 8 スペースごとに設定されます。

Return 設定値が正しくない場合

出力がシングルスペースのはずなのにダブルスペースになる場合は、プリンタのタブ設定値が間違っているか、プリンタが Return の後に 1 行追加されています。LP 印刷サービスは、改行の前に 1 つ Return を追加するので、その組み合わせによって 2 行の改行が発生します。

ジグザグに印刷される場合は、改行の前に Return を送る stty オプションの onlcr が設定されていません。stty=onlcr オプションはデフォルトで設定されますが、他の印刷問題を解決しようとしたときに、それを消去した可能性があります。