X.500 は、グローバルのディレクトリサービスです。ここでは、情報が格納され、情報を表示して検索する機能と同様に、名前で情報を検索する機能が提供されます。
X.500 の情報は、ディレクトリ情報ベース (DIB) に格納されます。DIB にあるエントリは、ツリー構造で配列されます。各エントリは名前付きオブジェクトで、定義された属性のセットを含んでいます。各属性には、定義済みの属性タイプと 1 つまたは複数の値があります。
エントリは、ルートから名前付きエントリまでのパスでツリー内の各エントリから選択された属性の連結である「識別名」によって明確に識別されます。たとえば、図 22-6 に示す DIB を使用すると、c=us/o=doc は、合衆国にある doc 組織の識別名となります。X.500 ディレクトリのユーザーは、DIB にあるエントリと属性を問い合わせたり、変更したりすることができます。
FNS は、名前空間をグローバル X.500 名前空間の下にシームレスに接続して表示するために必要なサポートを提供し、X.500 をフェデレートします。
たとえば、FNS は、X.500 の下の doc 組織にエンタープライズネーミングシステムをリンクします。初期コンテキストから始まって、doc 組織の sales 組織単位を識別する FNS 名は次のようになります
.../c=us/o=doc/orgunit/sales
エンタープライズ内の名前は、単純にグローバルの X.500 名上に連結されます。FNS 名が初期コンテキストで名前「...」を使用して、グローバル名が後に続くことを示すことに注意してください。
FNS 名の名前解決は、次のように行われます。X.500 名がグローバル名前空間で見つかると、X.500 名前解決メカニズムを使用して解決されます。次の 3 つの結果が考えられます。
フルネームが X.500 エントリに解決される。これは、エントリが X.500 に格納されていることを示す。要求された FNS 操作がそのエントリで実行される
フルネームの接頭辞は、X.500 エントリに解決される。これは、名前の残りの部分が従属するネーミングシステムに所属することを示す
従属するネーミングシステムへの次のネーミングシステムのポインタ (NNSP) が調べられ、XFN リファレンスが返されます。この後、名前解決は従属するネーミングシステムで続けられます。
エラーが報告される
X.500 エントリは、FNS 操作を使用して調べたり、変更したりできます (アクセス制御に従う)。しかし、現在は FNS を使用して X.500 名前空間のルートの下にある従属するエントリを表示できません。