Solaris ネーミングの管理

複合名をリファレンスにバインドする

fnbind は、複合名をリファレンスにバインドするためのコマンドです。

このコマンドには、2 種類の構文があります。

既存の名前を新しい名前にバインドする

既存の名前を新しい名前にバインドするための fnbind の構文は以下のようになります。


fnbind [-s][-v][-L] oldname  newname
表 24-4 fnbind コマンドのオプション (バインド名)

オプション 

説明 

oldname

すでに存在している複合名 

newname

すでに存在している複合名にバインドする新しい名前 

-s

複合名がすでにバインドされている場合、バインドを上書きする 

-v

バインドに使用されたリファレンスに関する情報を表示する 

-L

name を使用して XFN リンクを作成し、それを new_name にバインドする

たとえば、以下のコマンドでは、user/julio/service/printer という名前が myorgunit/service/printer のリファレンスにバインドされます。


# fnbind myorgunit/service/printer user/julio/service/printer 

newname がすでにバインドされている場合は、fnbind -s を使用しないと処理が正しく行われません。つまり上記の例で user/julio/service/printer がすでにバインドされていれば、以下のように -s オプションを使用して myorgunit/service/printer とのバインドで上書きする必要があるということになります。


# fnbind -s myorgunit/service/printer user/julio/service/printer 

-v オプションは、バインドに使用されたリファレンスに関する情報を表示するのに使用されます。


# fnbind -v myorgunit/service/printer user/julio/service/printer 
Reference type: onc_printers
Address type: onc_fn_printer_nisplus

以下の例では、user/jjones によって XFN リンクが作成され、user/James.Jones という名前にバインドされます。


# fnbind -L user/jjones user/James.Jones

同様に以下の例では、user/julio/service/printer から myorgunit/service/printer へのリンクが作成されます。


# fnbind -sL myorgunit/service/printer user/julio/service/printer 

コマンド行にリファレンスを作成する

コマンド行にリファレンスを作成するための fnbind の構文は次のようになります。


fnbind -r [-s] [-v] newname [-O | -U] reftype {[-O | -U] | addresstype [-c|-x] addresscontents}+
表 24-5 fnbind コマンドオプション (リファレンス作成)

オプション 

説明 

newname

リファレンスを作成する新しい名前 

reftype

作成するリファレンスのタイプ。-O-U オプションを使用しない場合は、reftype の識別子として FN_ID_STRING を使用する

addresstype

作成するアドレスのタイプ。-O-U オプションを使用しない場合は、addresstype の識別子として FN_ID_STRING を使用する

addresscontents

作成するリファレンスのアドレス。-c あるいは -x オプションを使用しない場合、アドレスは XDR によって符号化された文字列として保存される

-s

複合名がすでにバインドされている場合、バインドを上書きする 

-v

バインドに使用されたリファレンスに関する情報を表示する 

-c

アドレス内容を、XDR による符号化を行わずに保存する 

-x

アドレス内容を 16 進数で入力された文字列であると解釈し、そのまま保存する 

-r

指定タイプのリファレンスを作成し、コマンド行で指定された名前にバインドする 

-O

タイプを指定する文字列を、ASN.1 の形式 (整数をいくつか並べてドットで区切ったもの) として解釈して保存する 

-U

タイプを指定する文字列を、DCE UUID として解釈して保存する 

たとえば、以下の例では、thisorgunit/service/calendar という名前が、「タイプ onc_calendar、アドレスタイプ onc_cal_str、アドレス staff@cygnus」というリファレンスにバインドされます。


# fnbind -r thisorgunit/service/calendar onc_calendar onc_cal_str staff@cygnus

コマンド行で指定されたアドレスは、デフォルトでは XDR で符号化された後、リファレンスに保存されます。-c オプションが指定された場合は、XDR による符号化は行われず、そのままの形で保存されます。-x オプションが指定された場合は、16 進文字列として解釈されて保存されます (XDR による符号化は行われない)。

リファレンス (およびそのアドレス) のタイプの指定には、デフォルトでは FN_ID_STRING 識別子の形式が使用されます。-O オプションでは FN_ID_ISO_OID_STRING (ASN.1、10進数を並べてドットで区切る) の形式が、-U オプションでは FN_ID_DCE_UUID (DCE UUID、文字列を使用する) の形式が使用されます。


注 -

ASN.1 の詳細は、『ISO 8824: 1990, Information Technology - Open Systems Interconnection - Specification of Abstract Syntax Notation One (ASN.1)』を参照してください。DCE UUID の詳細は、『X/Open Preliminary Specification, October 1993, X/Open DCE: Remote Procedure Call (ISBN: 1-872630-95-2)』を参照してください。


以下の例では、thisorgunit/service/nx という名前にバインドされるリファレンス (およびそのアドレス) の、タイプが OIDs の形式で、アドレスが 16 進の文字列で指定されています。


# fnbind -r thisorgunit/service/nx -O 1.2.99.6.2.1 -O 1.2.99.6.2.3 -x ef12eab67290