SunOS 5.7 は、SunOS 4 ソフトウェアとはソースレベルの互換性も、バイナリレベルの互換性もありません。つまり、SunOS リリース 4 に基づくプログラムやユーザアプリケーションは、Solaris 7 環境では正しく動作しません。しかし互換パッケージを使うことによって、これらのプログラムを Solaris 7 システムで動作させることができます。
この章では、アプリケーションの移行、および SunOS/BSD ソース互換パッケージとバイナリ互換パッケージについて説明します。これらのパッケージは、環境とアプリケーションを Solaris 7 環境に移行する間、SunOS リリース 4 のコマンドやアプリケーションを使用できるようにして、移行を容易にするものです。
SunOS 4 のコマンドの中には、Solaris 7 では利用できないものもあります。Solaris 7 にはあっても、変更されているコマンドもあります。Solaris 7 環境で変更されている SunOS 4 のコマンドに関する詳細は、付録 A 「コマンドリファレンス」 を参照してください。
SunOS のバイナリ互換パッケージと SunOS/BSD ソース互換パッケージを使用すると、そのままでアプリケーションを利用することができます。ただし、なるべくアプリケーションを移植するようにしてください。次の理由から、互換パッケージを長期的に使用することは推奨できません。
アプリケーションのパフォーマンスが低下します。
Solaris 7 環境で拡張された操作や移植性のメリットを生かすことができません。
互換パッケージは、サイトの移行を一時的に支援するためのものです。
SunOS/BSD ソース互換パッケージは、 Solaris 7 環境で利用できる、オプションのパッケージです。このパッケージは、SunOS 4 と BSD のコマンド、ライブラリルーチン、ヘッダファイルのうち、互換パッケージがないと Solaris 7 環境で利用できないものから構成されています。SunOS/BSD ソース互換パッケージを使用するときは、バイナリ互換パッケージもインストールしなければなりません。
SunOS/BSD ソース互換パッケージのインタフェースは、 /usr/ucb ディレクトリにインストールされるので、SunOS 5.7 の既存のインタフェースとの衝突を避けることができます。これらのインタフェースは、環境とアプリケーションを SunOS 5.7 ソフトウェアに移行する間、今まで慣れていた SunOS の環境を提供するものとなります。これらのインタフェースを使用するには、フルパス名を指定するか、 PATH
環境変数を変更するか、どちらかが必要です。PATH
環境変数を変更する場合は、 /usr/bin より先に /usr/ucb を記述すべきことに注意してください。
ソース互換パッケージに関する詳細は、『Source Compatibility Guide』を参照してください。
バイナリ互換パッケージは、Solaris 7 環境で利用できるオプションのパッケージです。このパッケージを使用すると、SunOS 4 の既存のアプリケーションが実行時に静的または動的なリンクを行い、変更や再コンパイルを行うことなく Solaris 7 環境で動作することができます。2 つのリリースの間には、バイナリインタフェースの違いが存在しますが、このパッケージはユーザにそれらを意識させることなく、ほとんどの違いを処理します。この結果、Solaris 7 環境で、SunOS 4 のアプリケーションが正しく動作します。
このパッケージにアクセスする環境を設定する方法は、『バイナリ互換性ガイド』を参照してください。このマニュアルは、バイナリ互換パッケージの制約についても詳細に説明しています。
バイナリ互換パッケージを使用すると、Solaris 7 環境でほとんどのアプリケーションを動作させることができるので、SunOS 5.7 に移植するまでの間、それらのアプリケーションを利用することができます。このパッケージを使用すると、SunOS 4 システムソフトウェアに基づいた「適切に動作する」アプリケーションバイナリは、変更や再コンパイルを行うことなく、SunOS 5.7 の下で動作します。
バイナリ互換パッケージは、開発環境ではなく、エンドユーザの環境で使用することを想定しています。SunOS 5.7 ソフトウェアのアプリケーションの開発は、SunOS 5.7 の環境で行うようにしてください。