この節では、このマニュアルに追加された新しい機能および更新事項 (またはこのいずれか) の概要を記載しています。また、これらは、次のリリースに付加されています。
ファイルを前もってロードする secure ディレクトリが、32 ビットオブジェクトの場合は /usr/lib/secure、64 ビット SPARC オブジェクトの場合 /usr/lib/secure/sparcv9 となった。「セキュリティ」を参照
リンカー -z nodefaultlib オプションおよび新ユーティリティ crle(1) によって作成される実行時構成ファイルを使用することにより、実行時リンカーの検索パスを変更する柔軟性が向上した。「実行時リンカーが検索するディレクトリ」および 「デフォルトの検索パスの設定」を参照
新しい extern mapfile 指示文により、 -z defs の使用に外部的に定義されたシンボルを提供する。「追加シンボルの定義」を参照
新しい $ISALIST、$OSNAME、および $OSREL 動的ストリングトークンにより、命令セット固有かつシステム固有の依存関係を確立する際の柔軟性が向上した。「動的ストリングトークン」を参照.
リンカー -Bsymbolic オプションの使用に関する注意が、 「-Bsymbolic の使用」に追加された
リンカーオプション -p および -P により、「 実行時リンク監査」ライブラリを呼び出す方法が追加された。「ローカル監査の記録 」を参照。「実行時リンク監査」インタフェース la_activity() および la_objsearch()が追加された。「監査インタフェースの関数」を参照
新しい動的セクションタグ DT_CHECKSUM により、ELF ファイルとコアイメージとの統一が可能になった。表 7-41 を参照
64 ビット ELF オブジェクト形式は現在サポートされている。詳細は、「ファイル形式」を参照。64 ビット処理のためのリンカーの拡張機能および異なる機能として、以下のものが含まれる。/usr/lib/sparcv9 の使用 (「リンカーが検索するディレクトリ」、「実行時リンカーが検索するディレクトリ」、および 「命名規約」を参照)、環境変数 LD_LIBRARY_PATH_64
(「環境変数の使用」および 「実行時リンカーによって検索されるディレクトリ」を参照)、および実行時リンカー /usr/lib/sparcv9/ld.so.1 (「概要」を参照)
リンカーの -z combreloc オプションを使用することによって、最適化された再配置セクションを使用して共有オブジェクトを構成できる。「再配置セクションの結合」を参照
新しい $ORIGIN 動的ストリングトークンでは、セットに含まれていないソフトウェア内に依存関係を確立する際の柔軟性が向上した。「動的ストリングトークン」を参照
共有オブジェクトの読み込みは、実行プログラムが実際にそのオブジェクトを参照するまで延期される。「動的依存関係のレイジーローディング」を参照
重複して定義されたシンボルの除去に対処するために、SHT_SUNW_COMDAT セクションが追加された。「Comdat セクション」を参照
シンボルの部分的な初期化に対処するため、SHT_SUNW_move セクションが追加された。「移動セクション」を参照
新しい「実行時リンク監査」のインタフェース la_symbind64()、la_sparcv9_pltenter()、および la_pltexit64() が、新しいリンク監査フラグ LA_SYMB_ALTVALUE とともに付加された。「監査インタフェースの関数」を参照
ウィークシンボルリファレンスは、リンカーの -z weakextract オプションを使用することにより、アーカイブ構成要素の抽出をトリガーできる。すべてのアーカイブ構成要素の抽出は、 -z allextract オプションを使用して実現できる。「アーカイブ処理」を参照
作成されるオブジェクトが参照しないリンク編集の一部として指定された共有オブジェクトは、-z ignore オブジェクトを使用して無視することができ、したがって、その共有オブジェクトの依存関係の記録も抑制できる。「共有オブジェクトの処理」を参照
リンカーは、予約シンボル _START_ および _END_ を生成し、オブジェクトのアドレス範囲を確立する方法を提供する。「出力イメージの生成」を参照
初期設定および終了コードの実行時命令に変更が加えられ、依存関係の必要条件の格納が改善された。「デバッギングエイド」を参照
シンボル解析の解釈方法が、dlopen(3DL) 用に拡張された。「シンボル検索」、「グループの分離」RTLD_GROUP、および 「オブジェクト階層」RTLD_PARENT を参照
シンボル検索の解釈方法が、RTLD_DEFAULT を処理する新しい dlsym(3DL) とともに拡張された。「デフォルトのシンボル検索モデル」を参照
「フィルタ処理」が拡張され、複数の「フィルタ対象」が定義できるようになり、さらに強制的に読み込まれる「フィルタ対象」が使用できるようになった。プラットフォーム固有のフィルタを作成する場合の例も提供されている。「フィルタとしての共有オブジェクト」を参照
mapfile ファイル制御指示語 $ADDVERS を使用すると、追加されたバージョン依存関係の記録が実行できる。「追加バージョン定義への結合」を参照
実行時リンカーの監査インタフェースでは、プロセスの内部から動的にリンクされたアプリケーションの監視および修正のサポートを提供している。「実行時リンカーの監査インタフェース」を参照
実行時リンカーのデバッガインタフェースにより、外部プロセスから動的にリンクされたアプリケーションの監視および修正のサポートが提供される。「実行時リンカーのデバッガインタフェース」を参照
追加のセクションタイプがサポートされている。SHN_BEFORE と SHN_AFTER については 表 7-11、SHF_ORDERED と SHF_EXCLUDE については 表 7-14 を参照
新しい動的セクションタグ DT_1_FLAGS がサポートされている。種々のフラグ値については、表 7-42 を参照
ELF のデモプログラムパッケージが提供されている。第 7 章「オブジェクトファイル」を参照
リンカーは、現在、国際化メッセージをサポートしている。システムエラーはすべて、strerror(3C) を使用して報告される