この章では、共通デスクトップ環境および OpenWindows 環境における日本語入力操作について説明します。
また、学習 / 変換 / 表示モードや入力スタイルの設定方法についても説明します。
キーの入力操作は ATOK8 (Solaris) 風入力スタイルに基づいて説明します。他の入力スタイルでのキー入力操作に関しては、付録 C 「キーの割り当て一覧」 を参照してください。
入力変換モードは、画面左下に [あr] のように表示されます。
文字の入力方法には、ローマ字入力、かな入力の 2 種類の方法があります。
入力変換モードによって出力される文字が変わります。
入力変換モードと出力される文字の対応を表 1-1 に示します。
表 1-1 入力変換モードと出力される文字
入力変換モード |
ローマ字入力 |
かな入力 |
---|---|---|
[あr] |
ひらがな |
ひらがな |
[アr] |
全角カタカナ |
全角カタカナ |
[アイr] 1 |
半角カタカナ |
半角カタカナ |
[あ ] |
全角英数字 |
ひらがな |
[ア ] |
全角英数字 |
全角カタカナ |
[アイ ]1 |
半角英数字 |
半角カタカナ |
[- - -] |
変換せずにそのまま出力する |
変換せずにそのまま出力する |
1. [アイ] は半角表示です。
かな入力は、日本語キーボードをご使用の場合のみの入力方法です。
例 1
ローマ字入力で入力変換モードが [あr] の場合、「ohayou」と入力すると「おはよう」と出力されます。
例 2
直接かな入力で入力変換モードが [ア ] の場合、「まうす」と入力すると「マウス」と出力されます。
入力変換モードは、表 1-2 に示すキー操作によって切り替えられます。
表 1-2 切り替えキー対応表
キー |
切り替え |
---|---|
F1 |
ローマ字かな変換を行う。 [あr] -> [アr] -> [アイr] |
F2 |
ローマ字かな変換を行わない。 [あ ] -> [ア ] ->& [アイ ] |
例
入力変換モードが [あr] の場合、「F1」キーを入力すると、入力変換モードは [アr] となります。
このモードで入力された文字は、全角カタカナで出力されます。
ここで「F1」キーを入力すると、入力変換モードは [アイr] となります。
このモードで入力された文字は、半角カタカナで出力されます。
「F1」キーを入力すると、入力変換モードは [あr] に戻ります。
入力方法は、表 1-3 に示すキー操作によって切り替えられます。
表 1-3 入力方法の切り替え
キー |
入力方法 |
---|---|
かな |
ローマ字入力 <--> かな入力 |
読みをローマ字、または直接かなで入力します。入力した文字は、入力変換エリアに反転表示されます。
文字の入力では表 1-4 に示すキー入力操作ができます。
表 1-4 読み入力時のキー入力操作
キー |
動作 |
---|---|
->、Ctrl-L |
カーソルを右へ移動 |
<-、Ctrl-K |
カーソルを左へ移動 |
Ctrl--> |
カーソルを入力行の最後尾 (右端) へ移動 |
Ctrl-<- |
カーソルを入力行の先頭 (左端) へ移動 |
Del |
カーソル位置の 1 文字を消去 |
BackSpace |
カーソル位置の 1 つ前の文字を消去 |
読み入力後、「Space」キーを入力すると、第 1 候補が表示されます。
もう一度「Space」キーを入力すると、候補一覧が表示されます。
かな漢字変換中のキー入力操作は表 1-5 のとおりです。
表 1-5 かな漢字変換でのキー入力操作
キー |
動作 |
---|---|
Space、Shift-Space |
連文節変換、次候補を表示する |
Return、Ctrl-M |
確定 |
->、Ctrl-L |
文節を 1 文字分伸ばす |
<-、Ctrl-K |
文節を 1 文字分縮める |
Shift--> |
右の文節へ移動 |
Shift-<- |
左の文節へ移動 |
Ctrl--> |
変換中の文字列の最後尾の文節へカーソルを移動 |
Ctrl-<- |
変換中の文字列の先頭の文節へカーソルを移動 |
↑ |
前候補を表示する |
↓、Ctrl-N |
選択中の文字列までを確定して、次の文節へカーソルを移動 |
Ctrl-V |
選択中の候補の詳細な情報 (インスペクト) を表示 |
Ctrl-G |
候補一覧ウィンドウ、インスペクトウィンドウを閉じる |
Ctrl-Del |
候補を辞書から削除 |
Esc |
入力文字列を消去 |
Insert |
すべての変換を解除 |
特殊な変換機能を表 1-6 に示します。
表 1-6 特殊な変換機能
キー |
機能 |
内容 |
---|---|---|
F10 |
区点番号入力を行う |
|
Ctrl-F10 |
16 進コード入力を行う |
|
Shift-F1 |
単漢字に変換する |
|
Shift-F2 |
郵便番号 (3 桁、5 桁または 7 桁の数字) を該当する住所に変換する |
|
Shift-F3 |
電話番号の市外局番を該当する住所に変換する |
|
Shift-F6 |
部首入力ユーティリティを起動する |
|
Shift-F8 |
変換後の漢字の中で、旧字体、新字体などの異形字に変換する |
|
F6、Ctrl-U |
ひらがなに変換する |
|
F7、Ctrl-I |
カタカナに変換する |
|
F8、Ctrl-O |
全角英数字を半角英数字に変換する。キー入力を繰り返し行うことで、全部小文字 - 先頭文字のみ大文字 - 全部大文字と変換を切り替える。かな漢字変換された漢字かな交じり文は、カタカナに変換される |
|
F9、Ctrl-P |
ローマ字入力された文字をアルファベットへ変換する。繰り返し「F9」キー入力を行うと、全部小文字 - 先頭文字のみ大文字 - 全部大文字と、変換を切り替える。かな入力された文字はカタカナに変換する |
「私の名前は、Solaris です。」という文章を入力してみましょう。
ローマ字入力の [あr] のモードで「watasinonamaeha,」と入力します。
反転しているのが現在入力中の文字です。
「F2」キーを 3 回入力して入力変換モードを [アイ ] にして、「Solaris」と入力します。
「F1」キーを 2 回入力して入力変換モードを [あr] に戻し、「desu.」 と入力します。
「Space」キーで変換します。
もう一度「Space」キーを入力すると、候補一覧が表示されます。
候補一覧表示を解除するには「Ctrl-G」あるいは「Esc」キーを入力します。
「Return」キーを入力して確定します。
日本語入力処理を行うプログラム上に、変換確定文字列が反映されます。
「F10」キーを入力すると、区点を入力するウィンドウが開きます。
「01」と入力して「Return」キーを入力すると、 1 区に属する文字を一覧表示するウィンドウが開きます。
「Tab」キーで次の区 (2区) に移ります。「Shift-Tab」で 1 つ前の区に戻ります。
文字をクリックすると入力されます。
部首および総画数を使用して漢字を検索し、入力することができます。
部首は、部首そのもの、または部首の読みで指定します。また、部首選択ウィンドウで選択することもできます。
「Shift-F7」を入力すると、図 1-6 に示す部首入力ウィンドウが開きます。
(1) 〜 (8) の説明については表 1-7 を参照してください。
表 1-7 部首入力ウィンドウの画面説明
(1) |
部首または部首の読みを入力する |
(2) |
漢字の総画数を入力する |
(3) |
クリックすると、「部首選択」ウィンドウを表示する |
(4) |
クリックすると、漢字を検索し、入力候補表示領域に表示する |
(5) |
入力候補表示領域。検索結果を表示する。ここに表示された文字をマウスで選択すると、その文字は入力文字として (6) の領域に挿入される |
(6) |
入力文字が表示される |
(7) |
入力文字領域に表示されている漢字を入力処理し、部首入力を終了する |
(8) |
部首入力を中止して、部首入力ウィンドウを閉じる |
(5) の検索結果一覧表示領域では、表 1-8 に示すキー入力操作ができます。
表 1-8 検索結果一覧表示時におけるキー入力操作
キー |
機能 |
---|---|
->、Ctrl-F |
カーソルを右へ移動 |
<-、Ctrl-B |
カーソルを左へ移動 |
↓、Ctrl-N |
カーソルを下へ移動 |
↑、Ctrl-P |
カーソルを上へ移動 |
Home、Ctrl-A |
行の先頭へカーソルを移動 |
End、Ctrl-E |
行の末尾へカーソルを移動 |
Ctrl-V |
次ページへカーソルを移動 |
Ctrl-R |
前ページへカーソルを移動 |
Return、Ctrl-M |
カーソル位置にある候補を選択する |
例 - 部首を指定して検索する
部首に「木」を入力して「検索」をクリックすると、総画数ごとに候補が一覧表示されます。
さらに総画数に「10」を指定して「検索」をクリックすると、部首が「木」で 総画数が「10」のものだけが表示されます。
部首の入力方法や読みがわからない場合でも、「部首選択」をクリックして「部首選択」ウィンドウで部首を選ぶことができます。
部首画数を入力して「検索」をクリックすると、指定した画数の部首が表示されます。
Wnn6/Htt から Wnn6 の動作環境をカスタマイズすることができます。
Wnn6/Htt のウィンドウから、「学習 / 変換 / 表示モードの設定」あるいは、「入力スタイルの設定」を選択すると、Wnn6 設定ユーティリティが起動します。
Wnn6 設定ユーティリティを使用して、Wnn6 の動作環境をカスタマイズできます。
詳しくは、『Wnn6 上級ユーザーおよびシステム管理者ガイド』を参照してください。
「Wnn6/Htt」ウィンドウから「学習 / 変換 / 表示モードの設定」を選択すると、図 1-12 のウィンドウが開きます。
(1) 〜 (7) については 表 1-9 を参照してください。
表 1-9 学習 / 変換 / 表示モード設定画面の説明
(1) |
「全設定項目」と「主要設定項目」を切り替える |
(2) |
設定内容を保存し、動作中の Wnn6 に反映する |
(3) |
設定内容を動作中の Wnn6 に反映するが、保存はせず、ウィンドウも閉じない |
(4) |
すべての設定を以前の設定に戻す |
(5) |
すべての設定を出荷時の設定に戻す |
(6) |
設定中の内容を取り消してウィンドウを閉じる |
(7) |
ヘルプを表示する |
カスタマイズできる項目を表 1-10 に示します。( ) 内が初期設定です。
表 1-10 環境設定カスタマイズ一覧
項目 (初期設定) |
内容 |
---|---|
「する」に設定すると、辞書に登録されていない「ひらがな」「カタカナ」「ローマ字」の候補が確定された場合に、自動的に辞書へ登録する |
|
「する」に設定すると、文節の切り直しを学習する |
|
「する」に設定すると、FI 関係ユーザー辞書の学習を行う |
|
「する」に設定すると付属語を含む候補を優先する |
|
送りがなの基準規則を設定する |
|
句読点の候補を、"。" "、" <--> "." "," で設定する |
|
括弧の候補を、"「" "」" <--> "[" "]" で設定する |
|
記号の候補を、"・"<--> "/" で設定する |
|
「する」に設定すると、句点 (。) の入力によりかな漢字変換が開始する |
|
次候補一覧のウィンドウが表示される位置を設定する |
|
次候補一覧表示のレイアウトを設定する |
「Wnn6/Htt」ウィンドウから「入力スタイルの設定」を選択すると、図 1-13 のウィンドウが開きます。
スタイルを選択して「了解」ボタンをクリックすると、入力スタイルが設定されます。
(1) 〜 (6) については表 1-11 を参照してください。
表 1-11 入力スタイル設定画面の説明
(1) | |
(2) |
選択した入力スタイルに切り替え、その設定を保存する |
(3) |
選択した入力スタイルに切り替えるが、その設定は保存せず、ウィンドウも閉じない |
(4) |
すべての設定を以前の設定に戻す |
(5) |
設定中の内容を取り消してウィンドウを閉じる |
(6) |
ヘルプを表示する |
入力変換モードの変換機能へのキーの割り当ては、Wnn6 設定ユーティリティでは設定できません。設定する方法に関しては、『Wnn6 上級ユーザーおよびシステム管理者ガイド』を参照してください。
Wnn6 がインストールされている場合、Wnn6 はデフォルトの日本語入力システムとして使用できます。
ワークスペースメニュー、atok8setup(1)、cs00setup(1) などで設定を変更していない場合、ウィンドウ環境にログインすると Wnn6/Htt が自動的に起動します。ワークスペースメニューや wnn6setup(1) コマンドで明示的に Wnn6/Htt を起動するように設定することもできます。
Wnn6/Htt は、かな漢字変換サーバー (jserver) が起動していなければ、かな漢字変換を行うことができません。
一時的に Wnn6/Htt を使用する場合は、かな漢字変換サーバーが起動している状態で、ターミナルウィンドウ上で次のコマンドを入力します。
sun% /usr/openwin/bin/htt -if xjsi -so -nosm & |
日本語の入力をするプログラム上で、文字の入力、かな漢字変換の開始の指示、入力フォーカスの移動などの操作が行われた時点で Wnn6/Htt アイコンが画面に表示されます。
Wnn6/Htt は、起動時にユーザー辞書、ユーザー頻度ファイルの存在を確認します。環境設定ファイルで指定されたディレクトリに辞書、頻度ファイルが存在しない場合は、新規にファイルを作成して起動します。
「Wnn6/Htt」ウィンドウを起動した後、実際に日本語入力処理を行うプログラムを起動し「Ctrl-Space」を入力すると、Wnn6/Htt の日本語入力機能が動作します。
例
Wnn6/Htt の起動後、端末エミュレータを開きます。「Ctrl-Space」を入力すると、ウィンドウ左下の [---] の表示が [あr] の表示にかわり、日本語が入力できるようになります。
Wnn6/Htt の使用中に Wnn6 設定ユーティリティを使用しないで設定ファイルを直接書き換えた場合、その設定を Wnn6/Htt に反映するには、「Wnn6/Htt」ウィンドウの「ファイル」メニューから「再起動」を選択し、Wnn6/Htt を起動し直します。
「了解」ボタンをクリックすると、Wnn6/Htt が再起動します。
Wnn6/Htt を終了するには、「Wnn6/Htt」ウィンドウの「ファイル」メニューから「終了」を選択します。
「了解」ボタンをクリックすると、Wnn6/Htt が終了します。