かな漢字変換サーバー jserver は、複数のユーザーによるかな漢字変換機能を可能にします。
図 2-1 に、かな漢字変換サーバーの構成を示します。
jserver は、システムの起動時に /etc/rc2.d/S94Wnn6 によって起動します。
辞書引きサーバーは、かな漢字変換における辞書引き処理を行います。
辞書引きサーバー wnnds は、辞書ファイルと全ユーザーの頻度ファイルを一括管理し、複数の変換サーバーから問い合わせのあった文字列の辞書引き結果をそれぞれの変換サーバーへ返します。
wnnds は、標準の設定では起動しません。必要に応じて /etc/rc2.d/S94Wnn6 を編集するか、 /etc/lib/locale/ja/wnn/ja/jserverrc を編集し、jserver が同一システム上の wnnds に接続するように設定してください。なお、jserverrc は Wnn6 設定ユーティリティ wnnenvutil の「かな漢字変換サーバ基本設定」で編集できます。
かな漢字変換サーバー (jserver) を使用できるユーザーと、辞書引きサーバー (wnnds) に接続できるかな漢字変換サーバーを指定できます。初期設定では、かな漢字変換サーバーを使用できるのは同一ホスト上のユーザーです。また、辞書引きサーバーに接続できるのは同一ホスト上のかな漢字変換サーバーです。
かな漢字変換サーバー jserver と辞書引きサーバー wnnds に対するアクセス制御は、/etc/lib/locale/ja/wnn/wnnhosts ファイルで設定します。このファイルは、wnnenvutil(1) やテキストエディタなどで設定できます。
次に、アクセス許可ファイルの記述例を示します。
jserver ja hostA { ;hostC:usr1,usr2,usr3 hostA:usr1,usr4 hostB hostC:usr5 @usrA ;@usrB } wnnds ja hostA { hostA hostD } jserver ja hostA/22273 { hostB hostE @usrA } wnnds ja hostA/22385 { hostA hostD } |
wnnaccess コマンドを使用して、かな漢字変換サーバー jserver と辞書引きサーバー wnnds に対する一時的なアクセス制御を設定できます。システムをリブートしたり、かな漢字変換サーバーや辞書引きサーバーを再起動したりすると、この設定は失われます。
アクセス不可能にする場合 :
以下の操作は、スーパーユーザーで行なってください。
sun# /usr/sbin/wnnaccess - hostA:usr1,usr2,usr3,usr4 |
この場合、hostA からアクセス可能であった usr1、usr2、usr3、usr4 にアクセスできなくなります。
アクセス可能にする場合 :
以下の操作は、スーパーユーザーで行なってください。
sun# /usr/sbin/wnnaccess + @usr5 |
この場合、すべてのホストからユーザー usr5 にアクセスできるようになります。
wnnaccess コマンドを使用して、かな漢字変換サーバー jserver と辞書引きサーバー wnnds のアクセス許可情報を取得できます。
現在のアクセス許可状態を表示する場合 :
以下の操作は、スーパーユーザーで行なってください。
sun# /usr/sbin/wnnaccess Server access control enabled, only users on authorized hosts can connect. hostname hostname: hostname: username1, username2, ... @username |
先頭行は、アクセス制御の状態 (オンまたはオフ) を示します。次行以下は、アクセス許可が与えられているホストとユーザー名を示します。表 2-1 に、出力形式と意味を示します。
表 2-1 アクセス制御情報
名称 |
内容 |
---|---|
hostname |
ホスト hostname のすべてのユーザーからアクセス可能 |
hostname: |
ホスト hostname のすべてのユーザーからアクセス不可能 |
hostname: username1, username2, ... |
ホスト hostname のユーザー username1、username2 ... からアクセス可能 |
@username |
ユーザー username は、すべてのホストからアクセス可能 |
かな漢字変換サーバー jserver が起動時に読み込む辞書や、かな漢字変換のパラメタなどを設定します。
かな漢字変換サーバー jserver の起動時に、あらかじめ辞書を読み込んでおくことができます。
標準の設定では、かな漢字変換サーバーが起動したとき、かな漢字変換用のシステム辞書は読み込まれません。必要な辞書は、日本語入力を行うクライアントプログラムが起動した時点で読み込まれます。この読み込みは、通常ログイン時に行われるため、Wnn6 を使用するユーザーのログインには多少時間がかかることになります。
次の例のように、/etc/lib/locale/ja/wnn/ja/jserverrc を編集し、readfile の行の先頭の「;」の文字を削除します。
max_client 64 jserver_dir @LIBDIR/@LANG/dic readfile iwanami/fisd readfile iwanami/kihon.dic readfile iwanami/symbol.dic readfile iwanami/symbol_noat.dic readfile iwanami/tel.dic readfile iwanami/zip.dic readfile iwanami/tankan.dic readfile iwanami/tankan2.dic readfile iwanami/tankan3.dic readfile iwanami/ikeiji.dic readfile iwanami/kougo.fzk ; n nbun hindo len jiri flag jisho sbn dbn_len sbn_cnt suji kana eisuu kigou toji fuzoku kai def_param 5 10 2 45 0 80 5 1 20 0 400 -100 400 80 200 2 200 set_giji_eisuu '-' '_' 0x20 '―' '_' ' ̄' '!' '?' '.' ',' ':' ';' ':' ';' '?' '!' ',' '.' '・' ;default_wnnds_list ultraone |
Wnn6 を使用している場合、かな漢字変換サーバープロセス jserver または jserver_m と、ライセンスサーバープロセス dpkeyserv が起動しています。辞書引きサーバーを使用している場合は、辞書引きサーバープロセス wnnds または wnnds_m も起動しています。
かな漢字変換サーバー、辞書引きサーバー、ライセンスサーバーを停止するには次のようにします。
スーパーユーザーになります。
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーがいるかどうかを調べます。
sun# wnnstat |
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーが表示されます。かな漢字変換サーバーを停止することをユーザーにメールで知らせることもできます。
Wnn6 stop コマンドを入力します。
sun# sh /etc/init.d/Wnn6 stop |
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーがいても、サーバープロセスは停止します。
かな漢字変換サーバーだけを停止するには、次のようにします。
スーパーユーザーになります。
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーがいるかどうかを調べます。
sun# wnnstat |
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーが表示されます。かな漢字変換サーバーを停止することをユーザーにメールで知らせることもできます。
wnnkill コマンドを入力します。
sun# wnnkill |
かな漢字変換サーバーを使用しているユーザーがいても、かな漢字変換サーバーは停止します。辞書引きサーバーとライセンスサーバーは停止しません。
かな漢字変換サーバーやライセンスサーバーは、システムの起動時に /etc/rc2.d/S94Wnn6 によって起動します。辞書引きサーバーを使用するように設定している場合は、辞書引きサーバーも同時に起動します。
かな漢字変換サーバー、辞書引きサーバー (使用する場合)、ライセンスサーバーを起動するには、次のようにします。
すでに起動しているサーバーが二重に起動することはありません。