この付録では、Solaris で提供する TrueType フォントと、そのインストール方法などについて説明します。
Solaris では、一般に入手できる TrueType フォントを X, DPS から使用できます。表 B-1 に、サポートしているフォントの Platform ID と Encoding ID を示します。
表 B-1 Solaris でサポートしている TrueType フォント
Platform ID |
Encoding ID |
---|---|
3 (Microsoft) |
1 (Unicode) 2 (ShiftJIS) |
DPS からは、Encoding ID が 2 (ShiftJIS) のフォントは使用できません。
Sorais は、株式会社リコー (以下、リコーとします) が開発した HG ゴシック体 B、HG 明朝体 L、平成明朝体 W3H を提供しています。また、X, DPS 上で小さいサイズのグリフを表示するときのパフォーマンス向上のため、それぞれのフォントに対応した各種サイズのビットマップフォントも提供しています。
HG ゴシック体 B
XLFD 名: -ricoh-hg gothic b-medium-r-normal-*
DPS でのフォント名: HG-GothicB
HG 明朝体 L
XLFD 名: -ricoh-hg mincho l-medium-r-normal-*
DPS でのフォント名: HG-MinchoL
平成明朝体 W3H
XLFD 名: -heiseimin-w3-r-normal-*
DPS でのフォント名: HiseiMin-W3H
HG ゴシック体 B、HG 明朝体 L は、JIS X 0201、JIS X 0208 文字セット用のフォントです。平成明朝体 W3H は JIS X 0212 補助漢字用のフォントです。平成明朝体 W3H フォントは、 Sun Gothic、 Sun Mincho、 HG ゴシック体 B、 HG 明朝体 L と組み合わせて使用します。
TrueType フォントおよび対応するビットマップフォントは、以下のディレクトリにインストールされています。
リコーの TrueType フォントと TrueType ビットマップフォントの提供に伴い、 Solaris 2.5.1 以前のシステムで提供されていた株式会社モリサワの F3 アウトラインフォント、 F3 ビットマップフォント (以下、モリサワフォントとします)、東京大学和田研究室漢字分科会の補助漢字用 Type1 フォント、ビットマップフォント (以下、和田研フォントとします) は提供されなくなりました。なお、これらのフォントを使ったアプリケーションとの互換性を保つため、リコーのフォントを使用するように別名を定義してあります。
X から使われるフォント
モリサワフォント
-morisawa-gothic medium bbb-bold-r-normal-sans-*
-morisawa-gothic medium bbb-medium-r-normal-sans-*
-ricoh-hg gothic b-medium-r-normal-* を使用します。
-morisawa-rymin light kl-light-r-normal-*
-ricoh-hg mincho l-medium-r-normal-* を使用します。
和田研フォント
-wadalab-gothic-medium-r-normal-*
-wadalab-mincho-medium-r-normal-*
-wadalab-gothic-bold-r-normal-*
-wadalab-mincho-bold-r-normal-*
-ricoh-heiseimin-w3- を使用します。
DPS から使われるフォント
Soralis では、米国 Adobe System, Incorporated (以降 Adobe とします) 純正の CMap を採用しています。このため、 Solaris 2.5.1 以前のシステムで提供されていた以下のフォント、区フォント、エンコーディングは提供されません。
表 B-2 提供されないフォント
Bpld-H 83pv-SuppA-H Ext-SuppB-HV UserGaiji |
78-SuppA-H 83pv-SuppB-H SuppA-H SuppK |
78-SuppA-V Ext-SuppA-H SuppA-V jisx0201 |
78-SuppB-HV Ext-SuppA-V SuppB-HV |
表 B-3 提供されない区フォント
表 B-4 提供されないエンコーディング
ExtJIS12-88-CFEncoding ExtShiftJIS-A-CFEncoding JIS12-88-CFEncoding ShiftJIS-A-CFEncoding ShiftJIS12-88-CFEncoding |
ExtJIS12-97-CFEncoding ExtShiftJIS12-88-CFEncoding JIS12-97-CFEncoding ShiftJIS-B-CFEncoding |
フォントを Type0 フォントと仮定して FDepVector を利用し、フォントを再定義するような PostScriptTM プログラムの動作は保障されません。 Solaris 2.5.1 以前にフォントマネージャなどで作成されたユーザー定義文字フォント、 Solaris 2.5.1 以前の mp(1) やカレンダマネージャで出力された PostScript は、DPS では表示できません。
市販の日本語 TrueType フォントをインストールする場合は、以下の手順に従ってください。
TrueType フォントを適当なディレクトリにコピーします。なお、 Solaris では TrueType Collection (.ttc) フォントを直接は使用できません。
% mkdir $HOME/ttfontdir % cp sample.ttf $HOME/ttfontdir
フォントの置き場所は、任意のディレクトリでかまいません。
fonts.scale ファイルを作成します。 fonts.scale のフォーマットは fonts.dir ファイルと同じです。詳しくは mkfontdir(1) のマニュアルページを参照してください。フォントの XLFD (X Logical Font Description) 名は、 PIXEL_SIZE、POINT_SIZE、RESOLUTION_X、RESOLUTION_Y、 AVERAGE_WIDTH の各フィールドではすべて 0 にします。また SPACING フィールド は、固定幅フォントの場合は 'm' に、プロポーショナルフォントの場合には 'p' にします。 CHARSET_REGISTRY および CHARSET_ENCODING フィールドは、一般の日本語 Truetype フォントの場合、'jisx0208.1983-0'、 'jisx0201.1976-0'、'jisx0212.1990-0' の 3 通りを指定できます。ただし、一般の日本語 TrueType フォントでは、 JIS X 0212 補助漢字の一部のグリフがサポートされていません。使用できるのは、Microsoft 標準キャラクタセットの IBM 拡張文字にある一部のグリフのみです。
例 1 : 固定幅フォントの場合
sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-m-0-jisx0208.1983-0 sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-m-0-jisx0201.1976-0 sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-m-0-jisx0212.1990-0
例 2 : プロポーショナルフォントの場合
sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-p-0-jisx0208.1983-0 sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-p-0-jisx0201.1976-0 sample.ttf -sample-misc-medoum-r-normal--0-0-0-0-p-0-jisx0212.1990-0
mkfontdir コマンドで fonts.dir ファイルを作成します。
% /usr/openwin/bin/mkfontdir
フォントパスを追加します。
例 2 : 各ユーザーの設定ファイルを書き換える場合
$HOME/.OWfontpath にフォントの存在するディレクトリパスを追加し、ウィンドウシステムを再起動します。
OWfontpath の仕様は将来変更される可能性があります。この用途以外で変更を行なった場合に動作は保証されません。
例 3 : システムの設定ファイルを書き換える場合
/usr/openwin/lib/locale/<locale>/OWfontpath にフォントの存在するディレクトリを追加し、ウィンドウシステムを再起動します。
OWfontpath の仕様は将来変更される可能性があります。この用途以外で変更を行なった場合の動作は保証されません。