この節では、Solaris WBEM Services 製品で使用されている CIM の基本的な用語と概念を簡単に説明します。CIM の詳細は、付録 A 「Common Information Model (CIM) の用語と概念」 を参照してください。
CIM とは、ディスク、CPU、オペレーティングシステムなどの管理資源を記述するためのオブジェクト指向情報モデルです。CIM オブジェクトは、プリンタ、ディスクドライブ、CPU などの管理リソースを表すモデルです。CIM オブジェクトは、WBEM 対応のシステムやデバイス、アプリケーションの間で共有できます。
類似したプロパティや目的をもつ CIM オブジェクトは、CIM クラスで表されます。プロパティは、クラスのある単位データを記述する属性です。インスタンスは、特定のクラスの実際の管理オブジェクトを表したものです。インスタンスには実際のデータが含まれています。たとえば、solaris_computersystem が Solaris オペレーティングシステムを表す CIM クラスのときは、実際にシステムで動作している Solaris オペレーティング環境は solaris_computersystem クラスのインスタンスとして表されます。ResetCapability や InstallDate は solaris_computersystem クラスのプロパティです。
CIM クラスは、スキーマと呼ばれる意味のある集合にグループ分けされます。スキーマは複数のクラスからなるグループですが、クラスは 1 つのスキーマにしか所属できません。スキーマの所有者は 1 人だけです。スキーマは、管理やクラスの名前付けに使用されます。同じスキーマ内ではすべてのクラス名が異なっていなければなりません。スキーマが異なればクラスやプロパティの名前が同じになることがありますが、クラスとプロパティの区別にはスキーマ名が使用されます。スキーマ、クラス、プロパティの名前は、次の構文に従って付けられます。
Schemaname_classname.propertyname |
Common Information Model は、情報を一般的なものから特定のものへと分類します。Solaris の環境などの特定の情報は、このモデルを拡張して記述されています。CIM は、次に示す 3 つの情報層から構成されます。
コアモデル - プラットフォームに依存しない、CIM のサブセット
共通モデル - ネットワーク管理の特定の領域に関連するエンティティ (システム、デバイス、アプリケーションなど) の概念、機能性、および表示方法を視覚的に表す情報モデル
エクステンション (拡張)- CIM スキーマをサポートし、限定されたプラットフォーム、プロトコル、または企業独自のものを表す情報モデル
コアモデルと 共通モデルを、総称して CIM スキーマと呼びます。
コアモデルは、管理環境の基本となる一般的な前提事項を提供します (たとえば、要求された特定のデータはある場所に格納され、要求元のアプリケーションまたはユーザーに配付されなければならないなど)。これらの前提事項は、管理環境の基盤を概念的に形成する、クラスと関連のセットとして示されます。コアモデルは、管理環境の特定の側面を表現するスキーマに一貫性を持たせます。
コアモデルは、クラス、関連、およびプロパティのセットをアプリケーション開発者に提供します。開発者は、このセットを使用して管理対象システムを表現し、共通モデルを拡張する方法を決定することができます。コアモデルは、その他の管理環境をモデル化する概念的な枠組みを確立します。
コアモデルは、 共通モデルとエクステンション (拡張) により、システム、アプリケーション、ネットワーク、デバイスなどのネットワーク機能に関する特定の情報を拡張するためのクラスと関連を提供します。
共通モデルで示されるネットワーク管理の領域は、特定の技術や実装には依存しない管理アプリケーションの開発基盤を提供します。このモデルは、指定された 5 つの技術別スキーマ、Systems、Devices、Applications、Networks、および Physical に、拡張用の基底クラスセットを提供します。
拡張スキーマは、このモデルに特定の技術を関連づけるために CIM に組み込まれます。CIM を拡張すると、多数のユーザーと管理者が Solaris などの特定のオペレーティング環境を使用できるようになります。拡張スキーマのクラスを使用して、ソフトウェア開発者は拡張された技術を管理するアプリケーションを開発することができます。Solaris スキーマは CIM スキーマを拡張したものです。