SunVTS 4.0 テストリファレンスマニュアル

第 28 章 Ethernet Loopback テスト (netlbtest)

SunVTS に従来組み込まれていた gemtest は、netlbtest に置き換わりました。このテストによって、Ethernet Loopback テストをサポートするさまざまなデバイスの機能テストが提供されます。対象のデバイスには、eri (RIO チップ内の Ethernet デバイス) と ge (Gigabit Ethernet) があります。netlbtest は、ループバック (外部/内部) モードで動作します。また、nettest と同時に選択することはできません。

netlbtest を実行する前に、Ethernet カードとデバイスドライバをインストールし、ループバックコネクタが適切な位置に取り付けられており、Intervention モードを有効にする必要があります。netlbtest は Ethernet インタフェースのネットワークインタフェース構成の状態には依存していませんが、不正なメッセージが通知されないように、ifconfig コマンド (ifconfig(1M) マニュアルページを参照) を使用してインタフェースを停止しておく必要があります。

netlbtest では、デバイスドライバと接続するときに DLPI RAW モードを使用します。このテストでは、パケットは、Ethernet ヘッダーおよび Ethernet データの搭載部として定義します (IEEE 802.3z を参照)。このテストでは、要求された個数のパケット (調整可能なパラメタ) の生成および送信が行われ、ループバックインタフェース (外部/内部) を介して、同じ個数のパケットが受信される必要があります。パケット数の不一致または時間切れなどのエラーが発生した場合は、エラーの種類、考えられる原因、および対処方法を示すエラーメッセージが、SunVTS コンソールに表示されます。送信データは乱数ジェネレータによって生成され、データバッファーに書き込まれます。パケットがデータバッファーから送信されるときは、毎回異なる開始位置から選択されるため、連続する 2 つの送信パケットが同じになることはありません。


注意 - 注意 -

nettestnetlbtest を同時に実行しないでください。同時に実行すると、テストが失敗する可能性があります。


netlbtest テストの条件

netlbtest を実行するには、Ethernet インタフェースにループバックコネクタを接続しておく必要があります。ネットワークインタフェースがライブネットワークに接続されている場合は、netlbtest を実行することはできません。ただし、リンクは有効になります。ループバックコネクタによって、テストに必要なリンクが提供されます。このとき、ライブネットワークからは切り離されたままです。ループバックコネクタは、Ethernet デバイスの内部および外部テストのどちらにも必要です。

ge のループバックケーブルの仕様は、マルチモード、全二重、62.5/125 ミクロン、sc コネクタ、850nm となっています。標準の光ファイバケーブルを縦に 2 つ裂くことによっても、これと同じ仕様のケーブルを作成できます。ループを形成するには、ケーブルの両端はそれぞれ、アダプタの TX ポートおよび RX ポートに接続してください (接続順序は問いません)。

eri デバイスのループバックコネクタは、標準の RJ45 コネクタです。ピン 1 はピン 3 に、ピン 2 はピン 6 に接続されている必要があります。

netlbtest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックして、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.0 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 28-1 netlbtest のテストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic

テストパラメタについては、表 28-1 の説明を参照してください。

表 28-1 netlbtest のオプション

オプション 

説明 

Configuration 

テスト中のシステムのポートアドレス、ホスト ID、ドメイン名を示します。 

Total Packets 

送信する総パケット数を指定します。デフォルトは 1000 個です。 

Packet size 

送信するパケットのサイズを指定します (単位: バイト)。範囲は 60 〜 1514 バイトです。デフォルトのサイズは 1000 バイトです。 

Loopback 

外部または内部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは内部ループバックモードです。  

Print_Warning 

警告メッセージの出力を有効または無効にします。デフォルトは Disable (無効) です。  

Processor Affinity 

特定のプロセスにテストを結合します。プロセッサが指定されなかった場合は、テストはプロセッサ間を移動します。このオプションは、マルチプロセッサシステムでのみ使用することができます。 

netlbtest のテストモード

表 28-2 netlbtest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

× 

サポートされていません。 

機能テスト (オフライン) 

○ 

すべてのテストを実行できます。対象のテストデバイスを介して、ホストがネットワークに接続されていないことを前提としています。 

機能テスト (オンライン) 

× 

サポートされていません。 

netlbtest を実行するときはループバックコネクタが必要なので、Intervention モードが無効なときはこのテストは選択できません。

netlbtest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/netlbtest 標準引数 -o dev=デバイス名,tpkts=n,pksz=パケットサイズ,lb=Internal ,warn=Disable

表 28-3 netlbtest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするデバイスを指定します (例: ge0 または eri0)。

tpkts=n

1 〜 100000 の範囲でループバックさせるパケット数を指定します。 

pksz=パケットサイズ

60 〜 1514 の範囲でパケットサイズを指定します (単位: バイト)。 

lb=Internal

内部または外部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは internal です。 

warn=Disable

警告メッセージの出力を有効または無効にします。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


netlbtest のエラーメッセージ

表 28-4 netlbtest のエラーメッセージ

 

エラーメッセージ 

考えられる原因 

対処方法 

6000Timed out for receiving pkt 数値

カードが正しく取り付けられていないか、ドライバが正しく設定されていません。  

ドライバを設定するか、カードを装着し直してください。ループバックコネクタが取り付けられているか確認してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。  

6001system error

システムがメモリー不足になっている可能性があります。  

動作中のプロセスを減らすか、システムメモリーを増設してください。 

6002Data mismatch between transmitted and received pkt data

リンクが失われたか、CRC エラーか、整列エラーです。 

エラーが頻繁に発生する場合は、カードを交換するか、購入先に問い合わせてください。  

8000

デバイスのエラーメッセージ 

カードが取り付けられていません。 

カードが取り付けられているか確認してください。 

8001Memory allocation failure

システムのメモリー不足です。 

動作中のプロセスを減らしてください。システムメモリーを増設してください。 

8002No card found

カードが見つかりません。 

カードを取り付けてください。 

8003Failed to get the link up

ループバックコネクタが接続されていません。 

ループバックコネクタの障害。 ループバックコネクタを調べて、必要ならば、交換してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。  

8004Transmit failed エラー

STREAMS がこれ以上のデータを受け付けることができません。 

STREAMS メモリーが不足していることが考えられます。 システムの負荷を小さくしてください。 

8005Receive failed, error for pkt 数値

 

テストをやり直してください。問題がなくならない場合は、システムエラーです。購入先に問い合わせてください。 

8006

DLPI error for device 文字列

デバイス名 に不正なインスタンス番号 X が指定されています。

正しいインスタンス番号を指定してください。 

8008

Failed to open temporary file ファイル名: エラー

ディレクトリが保護されています。 

許可コードを変更してください。