SunVTS 4.0 テストリファレンスマニュアル

第 46 章 S24 フレームバッファーテスト (tcxtest)

tcxtest は、プロトコル、メモリー、高速化、カラーマップの一連のテストによって、SPARCstation 5 の場合は S24 フレームバッファー SBus カードを、SPARCstation 4 の場合はマザーボードの FSV (高速 SBus ビデオ) ASIC をそれぞれ検査します。


注 -

グラフィックスデバイスをテストするときは、あらかじめスクリーンセーバーを終了させておいてください。スクリーンセーバーを終了させるには、UNIX のプロンプトで xset s off と入力します。


テストグループ

tcxtest は、以下の 4 つのテストグループに分かれます。

tcxtest のサブテストの説明

表 46-1 tcxtest のサブテストの説明

サブテスト 

説明 

WRC 

複数回の書き込みと読み取りを行った後に結果を照合し、S24 チップに内蔵されている FIFO を検査します。このテストは、test_afx_alt_wrtest_memafxtest_afx_random の 3 種類のサブテストから構成されます。これらのテストが失敗した場合は、予測データと結果を示すエラーメッセージが表示されます。

Test_afx_alt_wr 

WR (ページ 1)、WR (ページ 2)、WR (ページ 1 + オフ)、WR (ページ 2 + オフ) などの二者択一のページへの書き込みを 16 回行った後に、データを読み戻して、予測データと比較します。また、フレームバッファー空間に 16 回書き込みを行った後に、フレームバッファー空間の別のページに 1 回書き込みを行います。その後でデータを読み戻して、予測データと照合します。 

Test_memafx 

SWIFT チップの CPU は、DRAM および AFX バスとの密結合インタフェースを持っています。このテストは、2 つのアクセス間の調停を検査します。 

 

このテストは、AFX と CPU メモリーに何度も交互書き込みを行います。さまざまな位置に書き込んだ後、データを読み取って照合します。ページ境界にまたがってアクセスすることによって、キャッシュされたアクセスとキャッシュされないアクセスの両方をテストすることができます。 

Test_afx_random 

1 ページを DRAM メモリーに書き込んだ後に、AFX 空間のランダムな位置にランダムな書き込みと読み取りを数回行います。次に、DRAM 空間の別のページに書き込みを行い、ランダムなアクセスを行います。 

 

このテストは、ランダムなアクセスによってタイムアウトが発生したかどうかを検査するだけで、データ照合は行いません。 

Constant 

メモリー全体にデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して予測データと比較します。メモリーへの書き込み操作を完了すると、メモリーを読み直し、読み取った値が正しいことを確認します。 

Address 

メモリー全体にアドレスの値と同じデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して正しい値であることを確認します。 

Random 

メモリー全体にランダムなデータパターンを書き込みます。このパターンを読み戻して予測データと比較します。メモリーへの書き込み操作を完了すると、メモリーを読み直し、読み取った値が正しいことを確認します。 

Blit 

ユーザー blit テストは、画面の左上隅に 64 × 64 × 24 ピクセルのイメージを描画します。その後、イメージを画面に blit します。宛先イメージを読み戻して元のイメージと比較し、ユーザー blit 操作が正しく行われたどうかを確認します。ユーザー blit テストは、blit コマンドにユーザーデータ空間を使用すること以外は、raw blit テストと同じです。

Stip 

多くの点描操作を行います。点描操作を使用して様々なデータ値を宛先に書き込んだ後に、宛先データを読み戻して照合します。高速 SBus ビデオ (FSV) の場合には、以下が検査されます。 

  • ピクセルマスク全体を通した 1 の移動

  • ROP ビット全体を通した 1 の移動

  • 宛先バイト全体を通した 1 の移動

  • IDX バイト全体を通した 1 の移動

Cursor (SPARCstation 4 には適用されません) 

データレジスタ回帰を行います。カーソルレジスタに、移動するデータ 1 パターンを書き込みます。その後、データを読み戻して期待される結果と照合します。テストは、移動するデータ 0 パターンを使用して繰り返されます。 

Colormap 

カラーマップのすべての場所に、異なる RGB 値を書き込みます。 

 

注 - テストするシステムのモニターが白黒またはグレースケールの場合は、色の問題を視覚的に検出することはできません。 

tcxtest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.0 ユーザーマニュアル』を参照してください。

tcxtest のテストオプションは、FB Locking だけです。詳細は、『SunVTS 4.0 ユーザーマニュアル』の「マルチフレームバッファーのテスト」の節を参照してください。

  1. Enable または Disable をクリックして、フレームバッファーロックを有効または無効にします。

    図 46-1 tcxtest のテストパラメタオプションダイアログボックス

    Graphic

tcxtest のテストモード

表 46-2 tcxtest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

× 

サポートされていません。 

機能テスト (オフライン) 

○ 

テストしているハードウェアプラットフォームに対して適切なサブテストを実行します。 

機能テスト (オンライン) 

× 

サポートされていません。 

tcxtest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/tcxtest 標準引数 -o dev=デバイス名, lock=E(有効)/D(無効), X=ビットモード,T=テスト,S=[dfb8, dfb24, dfb32]

表 46-3 tcxtest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするデバイスのファイル名を指定します。例: dev=tcx0

lock=E(nable)/D(isable)

ウィンドウシステムのロックオプションを有効または無効にします。詳細は、『SunVTS 4.0 ユーザーマニュアル』の「フレームバッファーのテスト」の節を参照してください。デバイスがウィンドウシステムのディスプレイの場合は、使用しないでください。

X=ビットモード

データ転送サイズを指定します。有効な値は以下のとおりです。 

  • 8 バイト

  • 16 ショート

  • 32 ロング

  • 64 ダブルワード

T=テスト

特定のテストを指定します。以下の値を使用して、テストを個別に指定します。 

  • a = Address

  • c = Constant

  • r = Random

  • b = Blit

  • s = Stipple

  • h = Cursor

  • w = WRC

 

注 - Blit テストまたは Stipple テストを選択すると、ユーザーモードと raw モード両方のテストが実行されます。

S=[dfb8, dfb24, dfb32]

使用するフレームバッファーメモリーを指定します。 

  • dfb8 ダムフレームバッファーの 8 ビット空間。メモリーは複数バイトだけでアクセスされます。

  • dfb24 ダムフレームバッファーの 24 ビット空間。メモリーは 24 ビットの読み取りと書き込みだけでアクセスされます。

  • fb32 ダムフレームバッファーの 8 ビット空間。メモリーは 8 ビットの読み取りと書き込みでアクセスされます。


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


tcxtest のエラーメッセージ

表 46-4 tcxtest のエラーメッセージ

 

エラーメッセージ 

考えられる原因 

対処方法 

6000

FBIOGATTR failed in is_24bit subroutine

ドライバが組み込まれていません。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

OS ドライバのエラー 

 

afx バスエラー 

 

6010

Colormap failure, Address: アドレス, red, Expected: Observed:

RAMDAC 不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

a24 ボード不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

afx バスエラー 

 

6011

Colormap failure, Address: アドレス, green, Expected: Observed:

RAMDAC 不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

a24 ボード不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

afx バスエラー 

 

6012

Colormap failure, Address: アドレス, blue, Expected: Observed:

RAMDAC 不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

a24ボード不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

afx バスエラー 

 

6013

THC Cursor Regression failed Address: アドレス, Expected: , Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6014

Can't clear frame buffer, dst_start: ドレス, src_start: アドレス, Address: , Observed: Expected:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6015

Frame buffer pattern test failed, dst_space: アドレス, src_space: アドレス, check_x = , check_y = , Address: , Observed: Expected:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6016

Can't clear frame buffer pattern, dst_space: アドレス, src_space: アドレス, check_x: , check_y: , Address: Observed: Expected:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6017

Can't clear frame buffer after write, Address: , Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6018

Raw Blit test failed, Offset: アドレス, Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6019

Blit test failed CHECKING, Offset: アドレス, Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6020

Blit test failed, Offset: , Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6021

Blit accel test failed. Offset: , Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6022

Stipple test failed. Offset: アドレス, Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6025

Raw Stipple test failed. Offset: アドレス, Expected: Observed:

a24 ボード不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6027

Frame buffer pattern test miscompare, y: x: Observed: Expected: アドレス:

RAMDAC 不良 

フレームバッファーカードを交換してください。 

a24 ボード不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

afx バスエラー 

 

6029

Afx protocol test メッセージ Expected:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24ボード不良 

 

CPUボードの不良 

 

6030

Null allocation to membase

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6031

Afx_mem test failure, アドレス: アドレス, Expected:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6032

Afx_mem Mem test failure, Address +0x4000 Value: , Exp 0x5555aaaa

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6033

Pattern test failed in Byte mode for DFB. Offset: アドレス, Expected: OBserved: xor()

afx バスエラー 

 

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6034

Pattern test failed in Short mode for DFB. Offset: , Expected: OBserved: xor()

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6035

Pattern test failed in Long mode for DFB. Offset: , Expected: OBserved: xor()

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6036

Pattern test failed in Long mode for DFB Offset: , Expected: OBserved:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

6039

Random test failed in Byte mode for DF , Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

 

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6040

Random test failed in Short mode for DFB, Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6041

Random test failed in Long mode for DFB, Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6042

Pattern test failed in Dblword mode for DFB, Offset: , Expected: Observed:, xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6043

Address test failed in Char mode for DFB. Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6044

Address test failed in Short mode for DFB, Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6045

Address test failed in Long mode for DFB, Offset: , Expected: Observed: xor:

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6046

Address test failed in Dblword mode for DFB , Offset: , Expected: Observed: xor: 値

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

6047

Verifying Double:word writes

afx バスエラー 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

a24 ボード不良 

 

CPU ボードの不良 

 

8000

Open failure for device デバイス名

ドライバが組み込まれていません。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

OS ドライバのエラー 

 

afx バスエラー 

 

8001

Pattern test failed in Long mode, Offset: , Expected: Observed:

ドライバが組み込まれていません。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

afx バスエラー 

 

CPU ボードの不良 

 

8002

can't acquire console semaphor

メモリが不足しています。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

スワップ空間が不足しています。 

 

8003

XCreateSimpleWindow failed

メモリが不足しています。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

スワップ空間が不足しています。 

 

8004

Multibuffering extension does not exists

メモリが不足しています。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

スワップ空間が不足しています。 

 

8005

Couldn't create enough buffers

メモリが不足しています。 

システムメッセージファイル (/var/adm/messages) を調べてください。

スワップ空間が不足しています。