この章では、Solaris 8 MU1 をインストールする方法について説明します。カスタム JumpStartTM インストールの一環として Solaris 8 MU1 をインストールする場合は、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。
Solaris 8 MU1 のインストール手順では、MU1 パッチを個別にインストールする場合に比べてかなりの時間を短縮できます。Solaris 8 MU1 のインストール時間は、次の項目によって異なります。
マシンの CPU スピード
選択した install_mu オプション
install_mu コードとパッチセットにアクセスするために使用する CD-ROM ドライブ、ハードディスク、またはネットワークの転送速度
バックアウトオプションを無効にして MU1 をインストールする場合、インストールはさらに速くなります。ただし、MU1 が提供するパッチはバックアウトできません。
Solaris 8 MU1 は、Solaris 8 オペレーティング環境が稼動しているシステム上にのみインストールできます。
ファイルシステムごとに必要なディスク容量は次の項目によって異なります。
バックアウトオプションを選択したかどうか
バックアウトデータを保存するときのバックアウトディレクトリの位置
ファイルシステムごとに利用可能なディスクパーティションおよびディスク容量と、それに対するファイルシステムごとに必要なパッチのディスク容量
システムのロケール
すでにいくつかの MU パッチがシステムにインストールされているかどうか
install_mu スクリプトはファイルシステムごとに必要なディスク容量を算出して、その容量を報告します。可能であれば、バックアウトのディスク容量も報告します。容量の計算には数分かかります。
install_mu スクリプトは、1 つまたは複数のファイルシステムに容量が足りないと判断した場合、それ以上処理しません。パッチのインストールに必要な容量は正確に計算されますが、バックアウトデータに必要な容量は予測したものであり、実際に必要な容量よりも多く報告されることがあります。
パッチセット (および、必要であればバックアウトデータ) を適用するのに十分な容量があり、容量の計算を省略したい場合には、install_mu に -f オプションを付けて実行します。
Solaris 8 MU1 をインストールするには、install_mu を実行するシステムと対象となるシステムで Solaris 8 オペレーティング環境がすでに稼動していなければなりません。
MU1 はシステムライブラリにパッチを適用するため、MU1 をインストールする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU1 をインストールすると、すでにマップされているライブラリのセクションとマップされていないそのライブラリのセクション間に不一致が起こり、そのライブラリは不安定な状態になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU1 イメージが CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に MU1 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしなければなりません。
十分なローカルディスク容量がないため MU1 イメージをローカルにコピーできない場合や CD がないまたはつながっていない場合、あるいはシステムをシングルユーザーモードにできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU1 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
必ずオペレーティングシステムのバックアップをとった後、手順を進めてください。
Solaris 8 MU1 をインストールするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
shutdown または init コマンドで実行レベルをマルチユーザーモードからシングルユーザーモードへ変更すると、vold プロセスが実行されたままになることがあります。この状態で MU1 CD をマウントしようとすると、問題が発生することがあります。
root のパスワードを入力します。
システムが次のメッセージを表示し、システム保守モードになっていることを確認します。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.8 Generic Feb 2000 # |
MU1 CD をマウントするには、CD をドライブに挿入し、root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# mount -o ro -F hsfs /dev/dsk/c0t6d0s0 /cdrom |
CD-ROM ドライブが c0 以外のコントローラにあるか、t6 以外のターゲットにあることがあります。この場合は CD-ROM デバイスへのパスを変更する必要があります。CD-ROM ドライブのマウントについては、システム管理者に問い合わせてください。
install_mu を実行します。
MU1 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory # ./install_mu options |
MU1 CD から実行するには、次のように入力します。
# cd /cdrom # ./install_mu options |
以下のオプションがコマンド行で使用できます。
表 2-1 install_mu のコマンド行オプション
オプション |
説明 |
---|---|
-d |
パッチをバックアップしない。この引数を使うとソフトウェアのインストールに要する時間が短縮される。ただし、個々のパッチをバックアウトできなくなる。-B オプションと組み合わせて使うことはできない |
-p patchdir |
すべてのパッチが含まれているディレクトリを指定する |
-q |
install_mu の処理状況を示すドットの表示を無効にする |
-B backoutdir |
指定したディレクトリにバックアウトデータを保存する。-d オプションと組み合わせて使うことはできない |
-f |
十分なディスク容量があるかどうかをチェックせずに、パッチセットをインストールする。このオプションを使用すると時間が短縮される。ただし、このオプションを使用するときは、十分な容量があることを確認しておく |
インストールが終了すると、次のメッセージが表示されます。
install_mu completed successfully. |
このメッセージが表示された場合は、手順 9 に進みます。
エラーが発生した場合は、第 5 章「エラーメッセージ」を参照してください。
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ログインプロンプトが表示されます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU1 をインストールした後に必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |
Solaris 8 MU のバージョンを確認するには、次のように実行します。
# cat /etc/release |
MU がシステムに適用したパッチを確認するには、次のように実行します。
# showrev -p |
Solaris 8 MU1 をインストールした場合の showrev -p の出力と、Solaris 8 6/00 オペレーティング環境をインストールした場合の showrev -p の出力を比較すると、次のパッチが MU1 をインストールした環境には適用されていないことがわかります。
これらのパッチは Solaris 8 6/00 オペレーティング環境でのみ必要なパッチです。MU1 のパッチセットには含まれていません。