IDN ドライバは、標準の Solaris カーネル統計情報メカニズムである kstat(3K) をサポートしています。netstat(1M) からのレポートをサポートするのに必要な最小セットに加えて、IDN ドライバはより詳細な統計情報をレポートするので、性能の調整や構成の管理に役立ちます。これらの統計情報は、標準の netstat(1M) または kstat(1M) コマンド行ユーティリティから利用するのが最も簡単です。
以下の例にある構文を使用してすべての統計情報を要求することができます。この例には、idn 引数と idn0 引数を使用した場合に受け取る統計情報が示されています。
# netstat -k idn idn: curtime 2048474 reconfigs 0 reconfig_last 0 reaps 0 reap_last 0 links 1 link_last 2042885 unlinks 1 unlink_last 2045246 buf_fail 1 buf_fail_last 2042935 slab_fail 1 slab_fail_last 2042935 reap_count 0 dropped_intrs 0 # netstat -k idn0 idn0: ipackets 3 ierrors 0 opackets 0 oerrors 0 collisions 0 rx_collisions 0 crc 0 buff 0 nolink 0 linkdown 0 inits 5 nocanput 0 allocbfail 0 notbufs 0 reclaim 0 smraddr 0 txmax 0 txfull 0 xdcall 3 sigsvr 10 mboxcrc 0 rbytes 238 obytes 238 multircv 0 multixmt 0 brdcstrcv 0 brdcstxmt 4 norcvbuf 0 noxmtbuf 0 ipackets64 3 opackets64 3 rbytes64 238 obytes64 238 fcs_errors 0 macxmt_errors 0 toolong_errors 0 macrcv_errors 0 |
以下の例のように、個々の名前、つまりインタフェースの統計情報を要求できます。この例では、論理ネットワークインタフェースとして idn0 と idn1 が使われています。この例にある数字と実際に受け取る出力とはかなり異なる場合があります。
# netstat -k idn0 idn1 idn0: ipackets 1386286 ierrors 0 opackets 1312137 oerrors 0 collisions 0 rx_collisions 0 crc 0 buff 0 nolink 0 linkdown 3561 inits 3 nocanput 131735 allocbfail 0 notbufs 0 reclaim 0 smraddr 0 txmax 0 txfull 0 xdcall 68783 sigsvr 63444 mboxcrc 0 rbytes 291362843 obytes 4225747350 multircv 0 multixmt 0 brdcstrcv 0 brdcstxmt 21 norcvbuf 131735 noxmtbuf 0 ipackets64 1386286 opackets64 1312131 rbytes64 13176264731 obytes64 12816667818 fcs_errors 0 macxmt_errors 16315 toolong_errors 0 macrcv_errors 0 idn1: ipackets 189387 ierrors 0 opackets 136365 oerrors 0 collisions 0 rx_collisions 0 crc 0 buff 0 nolink 0 linkdown 0 inits 3 nocanput 54938 allocbfail 0 notbufs 0 reclaim 0 smraddr 0 txmax 0 txfull 0 xdcall 11788 sigsvr 453 mboxcrc 0 rbytes 1797429854 obytes 1226840176 multircv 0 multixmt 0 brdcstrcv 0 brdcstxmt 10 norcvbuf 54938 noxmtbuf 0 ipackets64 189387 opackets64 136364 rbytes64 1797429854 obytes64 1226840176 fcs_errors 0 macxmt_errors 0 toolong_errors 0 macrcv_errors 0 |
この節には、IDN ドライバに対して実行される netstat(1M) コマンドに関連する kstat(3K) 変数を示します。idnX というエントリには、それぞれのネットワークインタフェースについてレポートされる変数の別々のインスタンスが存在します。(この表で、n/a は IDN では使用されないことを表します。)
以下の表に、netstat -k idn0 または kstat -n idn0 を使用した際に利用できるインスタンスごとの統計情報を示します。
表 3-3 インタフェースごとのkstat(3K) 統計情報
統計情報 |
説明 |
---|---|
allocbfail |
IDN ドライバが着信メッセージ用に STREAMS バッファーを割り当てることに失敗した回数。 |
brdcstrcv |
インタフェースによって受信されたブロードキャストパケットの総数。 |
brdcstxmt |
インタフェースによって送信されたブロードキャストパケットの総数。 |
buff |
着信データパケットのサイズが SMR 入出力バッファーのサイズを超えた回数。 |
collisions |
n/a (送信衝突)。常にゼロ (0)。 |
crc |
再利用時に破壊されたデータ (ヘッダー) バッファーを検出した回数、または破壊されたデータ (ヘッダー) バッファーをリモートドメインから受信した回数。 |
fcs_errors |
受信したパケットのうち、IDN パケットヘッダーの CRC (巡回冗長検査) に失敗したパケットの数。 |
ierrors |
入力エラーの総数 (たとえば、STREAMS バッファーの割り当ての失敗、メールボックスの破壊、無効なバッファーの指定など)。 |
inits |
IDN ドライバの初期化回数。 |
ipackets |
IDN ドライバが各チャネル (ネットワークインタフェース) で受信したパケットの数。 |
ipackets64 |
インタフェースによって受信されたパケットの総数の 64 ビットカウンタ。 |
linkdown |
指定されたドメインへの既存の IDN 接続が接続状態でなかったことを検出した回数。 |
macrcv_errors |
受信されたパケットのうち、受信インタフェースのアドレスと異なる着信先アドレスを含むパケットの数。 |
macxmt_errors |
内部 IDN 送信エラー (たとえば、接続の障害) が原因でインタフェースがパケット送信に失敗した回数。 |
mboxcrc |
ドメインが、破壊されたメールボックスヘッダーを持つ送信または受信メールボックスを検出した回数。 |
multircv |
インタフェースによって受信されたマルチキャストパケットの総数。 |
multixmt |
インタフェースによって送信されたマルチキャストパケットの総数。 |
nocanput |
IDN ドライバがプロトコルスタックへのデータのプッシュを試みたときに STREAMS キューが満杯であった回数。 |
nolink |
指定された相手先ドメインとローカルドメインとの接続が確立されていなかった回数。 |
norcvbuf |
着信パケットを受信するためのバッファーを割り当てられなかった回数。 |
notbufs |
ドメインが送信メッセージ用に SMR 入出力バッファーを割り当てることに失敗した回数。 |
noxmtbuf |
送信パケットを送信するための送信バッファーを割り当てられなかった回数。 |
obytes |
インタフェースによって送信されたバイトの総数。 |
obytes64 |
インタフェースによって送信されたバイト総数の 64 ビットカウンタ。 |
oerrors |
出力エラーの総数 (たとえば、送信メールボックスの破壊、SMR 入出力バッファーの割り当ての失敗、データパケットのヘッダーの破壊など)。 |
opackets |
IDN ドライバが各チャネルで送信したパケットの数。 |
opackets64 |
インタフェースによって送信されたパケット総数の 64 ビットカウンタ。 |
rbytes |
インタフェースによって受信されたバイトの総数。 |
rbytes64 |
インタフェースによって受信されたバイト総数の 64 ビットカウンタ。 |
reclaim |
ドメインが送信バッファーの再利用を試みたが、そのバッファーでエラー (たとえば、ヘッダーの破壊、不正な SMR オフセット) を検出した回数。 |
rx_collisions |
n/a (受信衝突)。常にゼロ (0)。 |
sigsvr |
クロスドメインコールを受信した後に、ドメインがチャネルサーバーに対してメールボックスの読み取りを開始するようにシグナルを送信する必要があった回数。 |
smraddr |
ドメインが、SMR への無効なオフセットを指定した SMR 入出力バッファーを検出した回数 (これは、特に受信先ドメインのメールボックスの受信バッファーに関係します)。 |
toolong_errors |
受信されたパケットのうち、予想した IDN MTU サイズよりも大きかったパケットの数。 |
txfull |
受信メールボックスが満杯状態のときに試みられたパケット伝送の回数。 |
txmax |
未処理パケットの数が idn_window_emax の値を超えたときに試みられたパケット伝送の回数。 |
xdcall |
着信パケットを受け取ったことを返答するために、ドメインがクロスドメインコールを実行する必要があった回数。 |
以下の表に、netstat -k idn または kstat -n idn を使用した際に利用できる広域統計情報を示します。
表 3-4 kstat(3K)広域統計情報
統計情報 |
説明 |
---|---|
buf_fail |
ドメインが SMR 入出力バッファーの割り当てに失敗した回数。 |
buf_fail_last |
最後に SMR バッファーの割り当てに失敗した時点の lbolt のタイムスタンプ。 |
curtime |
広域 kstats に保存された他のタイムスタンプの基準となる、kstats が収集された時点の lbolt のスナップショット。 |
dropped_intrs |
不明なメッセージ (プロトコル) タイプ、または不正な IDN バージョンが原因で、ドメインによってドロップされたクロスドメインコール (DMV 割り込み) の総数。 |
link_last |
最後にリンク要求、つまり接続要求が発生した時点の lbolt のタイムスタンプ。 |
links |
ドメインが参加した接続操作の回数 (各ドメイン接続は 1 つのリンクとして数えられます)。 |
reap_count |
ドメインがマスタードメインからの取得要求に応じて、取得できたスラブの総数 (この数はドメインが存在する間の累計値です)。 |
reap_last |
最後に取得が発生した時点の lbolt のタイムスタンプ。 |
reaps |
SMR スラブをいくつか取得するようにドメインがマスタードメインから要求された回数。 |
reconfig_last |
最後の再構成時の lbolt のタイムスタンプ。 |
reconfigs |
ドメインが再構成に参加した回数。 |
slab_fail |
ドメインがマスタードメインからの SMR スラブの割り当てに失敗した回数。 |
slab_fail_last |
最後に SMR スラブの割り当てに失敗した時点の lbolt のタイムスタンプ。 |
unlink_last |
最後に切断要求が発生した時点の lbolt のタイムスタンプ。 |
unlinks |
ドメインが切断操作に参加した回数 (各切断は 1 つのリンク解除として数えられます)。 |