この章では、Sun Enterprise xx00 サーバーで使用する OpenBootTM コマンドについて説明します。
以降のセクションで使用される OpenBoot コマンドの構文について、例示します。
この例の「--」記号は、スタックのダイアグラムです。「--」記号の左側のエントリは、コマンドが実行される前のスタックの状態を表しています。右側はコマンド実行後のエントリの状態です。このようなエントリがいくつもある場合、スタックの最上部は他のエントリより上位にあり、最右端に位置します。以下の例では、コマンドの実行前は c がスタックの最上位にあり、コマンドの実行後には z がスタックの最上位にあります。
コマンド (abc -- xyz) |
OpenBoot コマンドの使用法に関する詳細は、『OpenBoot 3.x コマンド・リファレンスマニュアル』などを参照してください。
環境を監視する際に使用するコマンドを以下に示します。
表 1-1 環境監視コマンド
コマンド |
用途 |
---|---|
disable-environmental-monitor 使用法: disable-environmental-monitor ( -- ) |
画面に ok プロンプトが表示されているときの電源装置の状態、ボードの温度およびボードのホットプラグの監視を中止する。 |
enable-environmental-monitor 使用法: enable-environmental-monitor ( -- ) |
画面に ok プロンプトが表示されているときの電源装置の状態、ボードの温度およびボードのホットプラグの監視を開始する。 |
ハード障害が発生した場合には、XIR を使用してシステムをリセットすれば、障害が発生した時のシステムの状態が取得されます。
XIR を実行する場合は、クロックボードの XIR ボタンか、遠隔コンソールの XIR シーケンスから実行します。
XIR が実行されると、メモリーの内容は消去されますが、CPU のいくつかの状態は一時的に保存されています。この情報を見るには、以下の説明を参照してください。
XIR の情報を表示する場合は、XIR の後に続けて、ok プロンプトで以下のコマンドを実行します。
ok .xir-state-all |
#1 ok .xir-state-all TL=1 TT=3 CPU ID#1 TPC=e0028688 TnPC=e0028688 TSTATE=9900001e06 CPU ID#5 TL=1 TT=3 TPC=e002755c TnPC=e0027560 TSTATE=4477001e03 #1 ok .xir-state-all TL=1 TT=3 |
各 CPU に対する CPU の状態が表示されます。
各略語の意味は以下のとおりです。
TL - トラップレベル
TT - トラップタイプ
TPC - トラッププログラムカウンタ
TSTATE - トラップの状態
XIR は NVRAM の auto-boot? 変数を上書きしません。
Sun Enterprise xx00 サーバーには、タイムアウト時にシステムのハードリセットを行う、ハードウェアタイマーの機能があります。この機能を使用する場合は、 /etc/system ファイルで watchdog_enable を 1 に設定してください。
フラッシュ PROM の管理には、以下のOpenBoot コマンドを使用します。
表 1-2 環境監視コマンド
コマンド |
用途 |
---|---|
flash-update-system 使用法: flash-update-system ( -- ) |
デフォルトのフラッシュ イメージをシステムの全ボードにダウンロードする。 |
prom-copy 使用法: prom-copy (src dst --) |
src ボードから dst ボード にフラッシュ PROM をコピーする。src (コピー元) と dst (コピー先) はスロット番号で識別します。 |
update-proms 使用法: update-proms ( -- ) |
PROM 各種の最新版のコピーを、同種の他のボードのものと同じにする。 |
システム構成と診断情報を表示する場合は、OpenBoot コマンドの代わりに Solaris の prtdiag コマンドを使用します。診断情報には、システム上で障害の発生した現場交換可能ユニット (FRU) が一覧表示されます。 prtdiag についての詳細は、マニュアルページを参照してください。
-v 最新の AC 電源障害および最新のハードウェア障害 (可能であれば環境状態も) の情報を表示します。
-l システムに障害やエラーが存在するときのみ syslogd(1M) に出力を記録します。
TOD クロックの管理に関する以下のコマンドについて説明します。TOD は Time of Day (I/O ボード上の NVRAM を含む) の略語です。
表 1-3 環境監視コマンド
コマンド |
用途 |
---|---|
copy-clock-tod-to-io-boards 使用法: copy-clock-tod-to-io-boards ( -- ) |
クロックボードの NVRAM と TOD クロックの内容を、システム内の正常な I/O ボードすべてにコピーする。 |
次の表は、Sun Enterprise 6x00、5x00、4x00、3x00 の動的再構成 (DR) 機能に関連のある NVRAM 変数の抜粋です。
表 1-4 固有の NVRAM 変数
変数名 |
説明 |
---|---|
configuration-policy |
この変数は、失敗したハードウェアを DR 機能がどのように処理するかを決定します。この変数の各数値 (component、board、system) は、失敗が発生した場合に使用不可にするハードウェアのレベルを決定します。デフォルト値は、component です。 |
disabled-board-list |
この値は、使用不可のボードの 16 進数のボードスロット番号です。空白の場合は、使用不可のボードがないことを示します。デフォルト値は、空白です。 |
memory-interleave |
この変数は、CPU ボードとメモリーボード間でメモリーをどのようにインタリーブするか決定します。値は、min または max のいずれかです。min は動的再構成の処理を許可します。max は大規模メモリー構成を処理を許可します。デフォルト値は max です。 |
sbus-probe-default |
この値は、SBus デバイス (0-3) と I/O ボード上にあるそれ以外のオンボードデバイス (オンボード SOC を表す 16 進数の d) です。各デバイスは、リストされた順番にプローブされます。 |
sbus-specific-probe |
この数値は、ボード番号とコロンで区切られたデバイス番号 (0-3 および d) のリストから構成されます。 |
上記の数値を設定したり、設定解除するには、用途に応じて、OpenBoot コマンドの setenv または set-default コマンドを使用してください。設定は、次回の起動時に有効になります。
OpenBoot コマンドの使用方法について、いくつか例を示します。
ok setenv configuration-policy component (設定に失敗した場合、component のみ使用不可になります) |
ok setenv configuration-policy board (component に失敗した場合、ボード全体が使用不可になります) |
ok setenv disabled-board-list 7af (この例では、スロット 7、10 (16 進数の a)、15 (16 進数の f) にあるボードが使用不可になります) |
ok set-default disabled-board-list (この値が null に設定されると、すべてのボードがボードリストから削除されます) |
ok setenv memory-interleave min (この例では、ボード間のインターリーブが停止されます) |
ok setenv sbus-probe-default 123d0 (この例では、SBus デバイスの 2 番、3 番、4 番に続き、SOC デバイス、そして SBus デバイスの 1 番の順番でプローブされます) |
ok setenv sbus-specific-probe 4:320 (この例では、ボード 4 と SBus デバイスの 3 番、2 番、0 番の順番でプローブされます) (そのため、SBus デバイスの 1 番と d は除外され、プローブされません) |