特記事項: SunFDDI アダプタ

第 3 章 Sun Enterprise 10000 サーバーでの SunFDDI 6.0 の使用

Dynamic Reconfiguration (DR) について

Solaris 2.5.1 および Solaris 2.6 オペレーティング環境でシステムボードを取り外すときは、あらかじめ SNMP デーモンを終了し、SMT (ステーション管理) ドライバがカーネルから組み込み解除されていなければなりません。

この操作はホストウィンド?ウのコマンド行で以下のコマンドを入力することで実行できます。



# /etc/opt/SUNWconn/nf/bin/nf_snmd_kill

SMT (ステーション管理) デーモンによってFDDI 統計情報が SunNet ManagerTM (SNM) コンソールに返されます。ネットワークのデータは、SNMP デーモンがないと監視できません。

システムボードを取り外し、最低 1 個以上の FDDI アダプタが検知されたら、以下のコマンドで SNMP デーモンを再起動し、SMT ドライバをカーネルへ再組み込みします。



#/etc/opt/SUNWconn/bin/nf_fddidaemon start

FDDI 構成の一部であるシステムボードを一度取り外すと、データは FDDI アダプタ内で転送されなくなります。

構成を元に戻すには、システムボードを取り付けて ifconfig コマンドによって FDDI アダプタを割り当てます。データが FDDI アダプタ内を移動できるようになります。

FDDI アダプタには、IP アドレス、ネットマスク、ブロードキャストの各値がアクティブな状態に設定されている必要があります。データを転送しない FDDI アダプタの影響は、使用中のトポロジによって異なります。


注 -

SunSolve データベースには、DR および FDDI 6.0 に関するパッチが公開されていることがあります。


Alternate Pathing (AP) について

FDDI と AP をともに使う場合、メタネットワークに一意な MAC アドレスを指定する必要があります。起動時に MAC アドレスが正しく設定されるように、起動スクリプト /etc/rcS.d/S30rootusr.shifconfig コマンドを追加してください。詳細は、使用中の AP のバージョンの『Alternate Pathing ユーザーマニュアル』を参照してください。

アクティブなメタネットワークに接続されたシステムボードを取り外す場合、あらかじめ FDDI パスグループを切り替えます。切り替えをしない場合、DR はシステムボードの取り外しを許可しません。

パスグループを切り替えることにより、メタネットワークで送受信されるデータに影響することなくシステムボードを取り外せるようになります。プライマリ、セカンダリのどちらの場合も、すべての AP デバイスはリングの一部となります。稼働中のトポロジによっては、FDDI デバイスを取り外すことによって FDDI リングが途切れてしまいます。

SunFDDI SAS アダプタと DAS アダプタ

SunFDDI SBus アダプタ (SAS および DAS) と SunFDDI 6.0 ソフトウェアは、Sun Enterprise 10000 上の Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 オペレーティング環境での動作が保証されています。下記に Sun Enterprise 10000 上の 1 つのドメインでサポートできる SunFDDI アダプタの数の上限を示します。

表 3-1 FDDI アダプタの数の上限

オペレーティング環境 

SAS アダプタの数の上限 (SBus のみ) 

DAS アダプタの数の上限 (SBus のみ) 

Solaris 2.5.1 

Solaris 2.6 

Solaris 7(64 bit) 

Solaris 7(32 bit) 

Solaris 8(64 bit) 

Solaris 8(32 bit) 

SunFDDI SAS アダプタの設定

ここでは、SunFDDI SAS アダプタの検証に用いた設定を説明します。

ポイントツーポイント接続の設定

異なるドメイン上の FDDI SAS アダプタ 2 つを直接接続し、双方に同じサブネットアドレスを持たせます。たとえば、IP アドレス 10.10.1.80 を持つドメイン A 上の FDDI SAS アダプタと IP アドレス 10.10.1.81 を持つドメイン B 上の FDDI SAS アダプタを使用した場合、同じサブネットアドレス (10.10.1) を使っているので有効な環境を構築できます。

FDDI コンセントレータ

FDDI コンセントレータ (端末集配信装置) は、ポート M 経由で 1 個以上の FDDI SAS アダプタを FDDI コンセントレータに接続します。FDDI コンセントレータには、複数の M ポートおよび A ポートと B ポートが 1 個ずつ必要です。FDDI コンセントレータは、各 FDDI SAS アダプタのサブネットアドレスが認識できなければなりません。

ポイントツーポイントの設定と同様、FDDI SAS アダプタ間で通信をするにはアダプタが互いに同じサブネットアドレスを持っている必要があります。

ドメイン内で 2 つ以上の FDDI SAS アダプタが FDDI コンセントレータに接続されている場合、AP が使えるようになります。

SunFDDI DAS アダプタの設定

このセクションでは、SunFDDI DAS アダプタの検証に用いた設定を説明します。

FDDI コンセントレータを使わないリング

このリングは、ある FDDI DAS アダプタの A ポートを他の FDDI DAS アダプタの B ポートに接続することを繰り返して任意の数の FDDI DAS アダプタを環状につなげることで設定できます。

このリング設定は、ドメインを複数含むことができます。SAS アダプタの場合と同様、リング内の FDDI DAS アダプタが互いに通信するにはアダプタどうしが同じサブネットアドレスを持つ必要があります。リング内に同一ドメインの FDDI DAS アダプタが 2 つ以上インストールされている場合、リングで AP を使えるようになります。

たとえば、一切の FDDI コンセントレータ、デバイス、ハブなどの装置を使わずにリング接続されているドメイン A と B があるとします。

ドメイン A は 2 つのシステムボードで構成され、それぞれのボードに FDDI DAS アダプタがあります。システムボード 1 には FDDI DAS アダプタ nf0、システムボード 2 には FDDI DAS アダプタ nf1 がついています。

ドメイン B は 1 つのシステムボードで構成され、それには FDDI DAS アダプタ nf2 がついています。以上のような条件の場合、次のようにケーブルを接続してリングを構成します。

デュアルホーミング

FDDI コンセントレータが 2 つある場合、FDDI DAS アダプタの B ポートを 1 つ目の FDDI コンセントレータの M ポートに、アダプタの A ポートを 2 つ目の FDDI コンセントレータの M ポートに接続することで、デュアルホーミングトポロジを構築できます。FDDI コンセントレータの M ポートすべてに対してこのプロセスを繰り返すこともできます。

同じ FDDI DAS アダプタの A ポートと B ポートを 1 つの FDDI コンセントレータに接続することはできません。

SAS アダプタと同様、FDDI アダプタ間で通信をするにはアダプタが互いに同じサブネットアドレスを持っている必要があります。

ドメイン内で 2 つ以上の FDDI DAS アダプタが FDDI コンセントレータに接続されている場合、AP が使えるようになります。

SunFDDI DAS アダプタと SAS アダプタを使った設定

この節では、FDDI DAS アダプタと SAS アダプタをともに設定する方法を説明します。

ポイントツーポイント接続の設定

基本的に SAS アダプタのポイントツーポイント接続の設定と同じ方法です。 FDDI SAS アダプタと同じ要領で、DAS アダプタのポートの A ポートまたは B ポートのどちらかを使います。FDDI SAS アダプタのポートを FDDI DAS アダプタのいずれかのポートに接続します。

FDDI コンセントレータ

DAS アダプタと SAS アダプタが通信するように FDDI コンセントレータを設定するには、リングを使う方法、リングを使わない方法の 2 つの方法があります。ここでは両方の方法を説明します。

リング設定を使った DAS アダプタと SAS アダプタの通信

はじめに FDDI SAS アダプタを FDDI コンセントレータの M ポートに接続します。次に FDDI DAS リング設定のどこに FDDI コンセントレータを設置するかを決めます。

以下の例では、FDDI コンセントレータを FDDI DAS アダプタ nf1 と nf2 の間に設置します。FDDI DAS アダプタ nf1 の A ポートを FDDI コンセントレータの B ポートに接続し、FDDI コンセントレータの A ポートを FDDI DAS アダプタ nf2 の B ポートに接続してリングを完成させます。

例:

FDDI コンセントレータを使う前のリング設定

FDDI コンセントレータを使ったリング設定

リング設定を使わない DAS アダプタと SASA アダプタの通信

FDDI SAS アダプタを扱うのと同じ要領で FDDI DAS アダプタの A ポートまたは B ポートをコンセントレータの M ポートに接続します。そして、他のドメインの FDDI SAS アダプタのポートを同じコンセントレータの M ポートに接続します。

同じ DAS アダプタの A ポートと B ポートの両方を同じコンセントレータに接続しないでください。

コンセントレータの A ポートと B ポートを使って複数のコンセントレータを接続することもできます。

SunFDDI SAS アダプタと DAS アダプタについて

この節では、SAS アダプタと DAS アダプタについての特記事項を説明します。

光バイパス

光バイパスは FDDI DAS、SAS の両アダプタでサポートされていません。コンセントレータを使わない DAS アダプタのリングでシャットダウンをバイパスするには、光バイパス (入力および出力ファイバに接続するためのデバイス) が必要です。FDDI コンセントレータを使う場合は、コンセントレータがバイパスを提供するため、ステーションをバイパスする必要はありません。

パイプの切断

Solaris 2.6 環境においてドメイン間で大量の入出力を行っている場合、パイプが切断されてしまうことがあります。 tcp_rexmit_interval_max の値を確認してください。



# ndd -get /dev/tcp tcp_rexmit_interval_max

値が 60000 以外の数値の場合、次のコマンドでパラメータをリセットします。

# ndd -set /dev/tcp tcp_rexmit_interval_max 60000

スクリプトを作成して /etc/rc2.d ディレクトリに保存すると、システムのリブートで設定が失われないようにすることができます。