nettest は、システムの CPU ボード上のすべてのネットワーキングコントローラと、独立したネットワーキングコントローラ (たとえば、2 つ目の SBus Ethernet コントローラなど) を検査します。このテストを行うには、1 つ以上のシステムが接続されているネットワークに、テストするマシンを接続する必要があります。
本バージョンの nettest は、Ethernet (ie、le)、トークンリング (tr、trp)、quad Ethernet (QED)、光ファイバ (fddi、nf、bf、pf)、SPARCclusterTM 1 システム (em)、ATM (sa、ba)、HiPPI、100 Mbps Ethernet (be、hme) などの、あらゆるネットワーキングデバイスに使用することができます。
nettest は、主として ICMP (Internet control message protocol) を使用し、ネットワーク上に少なくとも 2 台のマシン (テストされるマシンと、テストターゲットとして十分に信頼性のあるもう 1 台のマシン) を必要とします。両方のマシンとも、TCP/IP (transport control protocol/internet protocol: ICMP は TCP/IP の一部) をサポートしている必要があります。ターゲットマシンは、ICMP ブロードキャストまたは RPC ブロードキャストに応答するように設定されている必要があります。
nettest は、最初に、テストするターゲットマシンを決定します。ターゲットが指定されていない場合は、ICMP ブロードキャストを送信してターゲットを見つけます。必要なすべてのターゲットを見つけられない場合は、RPC ポートマッパーデーモンに RPC ブロードキャストを送ります。ターゲットが指定されている場合は、そのマシンを使用します。
必要なターゲットを見つけた後、nettest は以下のテストを実行します。
ランダムテスト (Random Test) -任意の長さのランダムデータを含む 256 個のパケットを送出します。
増分テスト (Incremental Test) -増分データを使用して最小から最大までのパケットサイズでパケットを送出します。(最大値と最小値はデバイスごとに異なります。)
パターンテスト (Pattern Test) -最大長の 256 個のパケットを送出します。各パターンには 1 つのテストパターンがあり、すべてのバイトパターン (16 進で 0 〜 0xFF) が使用されます。つまり、第 1 パケットにはパターン 0 があり、第 2 パケットにはパターン 1 があるというようにして、最終パケットのパターンは 0xFF になります。
nettest はスケーラブルテストです。しかし、システム上で使用可能なネットワーク接続されたデバイスの最大数は 255 であり、デバイスごとのインスタンス数は 200 に制限されています。このため、すべてのテストに対してデフォルトのインスタンス数を指定する -i オプションを使用して SunVTS を起動した場合は、ネットワーク接続された各デバイスに 200 を超えるインスタンスを割り当てることはできません。
ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.1 ユーザーマニュアル』を参照してください。
Configuration: では、テストされるシステムのホスト名、ホスト ID、ホストアドレス、ドメイン名を指定します。
表 32-1 nettest のオプション
オプション |
説明 |
---|---|
Target Host |
1 つまたは複数のテストターゲットを指定します。ターゲットホストの入力には、ホスト名またはインターネットアドレスのいずれを使用してもかまいません。ターゲットホストを指定しない場合は、ブロードキャストによって必要なホストが見つけられます。デフォルトの設定では、このフィールドは空です。 |
Receive Timeout |
デフォルトは 120 秒です。0 〜 600 秒の範囲で変更することができます。 |
Number of Retries |
デフォルトの再試行回数 (エラーフラグが立てられる前の回数) は 7 回です。これを超えるとエラーが通知されます。このフィールドも 0 〜 128 の行範囲で変更することができます。 |
Print Warning |
デフォルトでは無効になっています。Enable を選択すると、タイムアウト時の再試行など警告エラーが表示されます。 |
nettest は、3 つのテストモードをサポートしています。選択されたモードに従い、ネットワークデバイスに対して異なるテスト方法がとられます。
表 32-2 nettest のテストモード
テストモード |
サポート |
説明 |
---|---|---|
接続テスト |
○ |
すべてのネットワークインタフェースから指定したデバイス名を検索して、デバイスが接続されているかどうかを検査します。一致する名前がない場合は、デバイスが接続されていないとみなされ、テストは失敗します。一致する名前がある場合は、デバイスが接続されているとみなされます。 |
機能テスト (オフライン) |
○ |
3 つのテスト (ランダム、増分、パターン) を順にすべて実行します。 オプションで、負荷をかけてテストを実行することができます。 |
機能テスト (オンライン) |
○ |
この場合はユーザーのアプリケーションが動作している可能性があるので、nettest はアプリケーションに極力テストの影響を与えないように動作する必要があります。このため、オンラインモードではランダムテストだけを使用します。ネットワークデバイスを共有し、システム資源を使用することができるので、アプリケーションに対する影響はきわめて小さくなります。 |
/opt/SUNWvts/bin/nettest 標準引数 -o target=h1+h2+..., dev=インタフェース,test=タイプ,packets=n,pattern=16 進数,delay=秒数, timeout=秒数,retry=n,warn
表 32-3 nettest のコマンド行構文
引数 |
説明 |
---|---|
target=h1+h2+... |
ホスト名またはインターネットアドレスのいずれかでテストターゲットのリストを指定します。 |
dev=インタフェース |
ネットワークインタフェース名を指定します。デフォルト値は、 Ethernet ネットワークの le0 です。 |
test=タイプ |
テストタイプを指定します。ランダムテストには Random、増分テストには Increment、パターンテストには Pattern と入力します。デフォルト値は、すべてのテストを実行する Random+Increment+Pattern です。 |
packets=n |
ランダムまたはパターンのパケット数を指定します。デフォルトは 256 です。 |
pattern=16 進数 |
16 進形式でデータパターンを指定します。デフォルトは 0 〜 0xff のすべてのパターンです。 |
delay=秒数 |
次のサブテストを行うまでの時間間隔を秒数で指定します。デフォルトは 30 秒です。 |
timeout=秒数 |
タイムアウトにするまでに待つ秒数を指定します。デフォルトは 120 秒です。 |
retry=n |
テストのタイムアウト再試行数を指定します。デフォルトは 3 回です。 |
warn |
有効にすると、警告メッセージを表示します |
64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。